オートヴォルタに入国してから

スムーズにワガドゥグまで、やってこられた。

 

途中で一緒だった青年が自分の家に

空いた部屋があるから使わないかと言われ

行ってみると住み心地が良さそうなので

世話になることにした。

 

土壁に土間だけど空気の感じが丁度良い。

食事は近くに店があるので心配いらないし

この町自身、非常に穏やかなので

しばらく過ごそうと思った。

 

町中のトラベルエージェントで見ると

この町からリヨンまで格安チケットが出ていて

サハラを諦めればいつでもヨーロッパに

逃げ出せそうだ。

 

町中のカウンター式のカフェでは

トマトと玉ねぎの入ったオムレツを出していて

毎朝、朝食はカフェオレとパンとオムレツだ。

 

市場に行くと幼かったころ大好きだった

ゴマのおこしを売っていて、早速食べると

同じ味でビックリした。

この辺でも貴重品かと思っていたら

皆良く食べられている様子。

 

後、子供の売り子が売っているものに

生姜ジュースを凍らせたものを

小さいプラスティックパックに入れて

安い値段で売っているものもあり

これも味が気に入ったのと渇きをいやすのに

丁度良いので、お世話になった。

 

ある日、部屋を世話してくれた彼と歩いてると

映画館で御用金を上映するのを見つけた。

 

ここの映画館は屋根は無く、陽が落ちてからの上映だ。

生姜ジュースのシャーベットを買って

二人して観てみた。

フランス語に吹き替えてあるので

かえって僕の方が理解できていなかったようだが

察しているうちに、大体のストーリーは解った。

フランス語でも御用金の事はゴヨウキンと発音していた。

 

別の日に散歩して空港に行ってみると

滑走路の脇に誰でも通り抜けられる道があり

こんな国際空港もあるんだなと思ったのと

同じ敷地に住む老人の部屋から流れてくる

ラジオから、日本の浪曲そっくりの音楽が

聴こえてきて、不思議な気分に陥った。

現地の部族語の浪曲だった。

 

人との距離感が僕にピッタリのこの町は

旅の最中で居心地の良さは1,2だった。

ところが隣の国ニジェールのヴィザが

この国では取れないことが解り

話は暗転。

 

予定外のアビジャンまで行くことになってしまった。

 

出てくるときに青年に宿代は払ってきたが

出来る範囲の金額だった。

 

明日また。

 

注 オートヴォルタは現在のブルキナファソ。