経験論に基づく実証主義によって定義された、生物学的な生物の定義は、既知の地球生物のみを対象とするが故に不完全となる。


これに対し、宇宙生物学では地球外生物の探査なども行われる。

これは空想の世界ではない。

地球以外に生物が発生し得る条件(通常は水と温度、有機化合物の存在など)を持った星を観測によって探索したり、火星や小惑星などに探査機を送り込んで、生物活動の痕跡を探したりする。

また、他の星から届く電波の中に、地球外知的生物が出している電波はないか探したり、逆にこちらから電波を送ったり、パイオニア、ボイジャーのような惑星探査船に「宇宙人への手紙」を積んでみたり、行き当たりばったりではあるが、キチンと実証できる方法で、可能性が追求されている。


これらは、UFO映像を見て空想を膨らましたり、それらしい話を間接証拠として恣意的に繋ぎ合わせて語られる宇宙人との取引の陰謀論ではなく、実物を直接調べる立派な科学研究だ。


地球外生物を探索する場合、それは既知の地球生物とは異なる何者かを探すのである。

当然のことながら、何を探しているのかをまず決めておかなければ探しようがない。そして、地球外生物に地球生物の定義が当てはめられるとは限らない。

地球外生物も含めた生物の定義にはどのようなものがあるだろう?

代表的な定義は、NASAが公表している定義である。


ダーウィン的進化が可能な自己維持する化学システム


これは、あくまでも現時点における便宜的な定義である。

まずは、これを作業仮説として、こんなヤツを探してみましょうということだ。


そして、一読してみて分かるのだが、この定義は、先述の生物学的な地球生物の定義とほとんど変わらない。

微妙にニュアンスは異なるのだが、要は言葉による対象の切り取り方が違うだけである。


次にこの定義を詳細に検討してみよう。