因果関係とは何なのだろう?因果関係などという関係が本当にあるのだろうか?

先に結論を言うと、因果関係は確かにあると思われる。

因果関係とは、複数の出来事間の関係である。出来事間に直接的な関係があれば、それがどのような関係であっても、そこには何らかの因果が認められる。
そしてその関係は、原因→結果の一方通行の関係であり、非対称な関係である。

因果関係が在るということが論理的に確定できない理由は、それがアプリオリなものとして想定されたものだからである。
我々は「因果関係は在る」という前提で出来事間の関係を解釈しているのだ。
「因果関係」とは、我々が物事を解釈するための思考のフォーマットであり、「在る」という前提でしか考えられないものである。

もう少し、踏み込んで考えてみよう。
先に「因果関係とは出来事間の関係」と説明したが、因果関係は出来事の内部構造であるとも言える。
例えば「車が走る」という出来事は、複合的な出来事である。
「気化したガソリンに点火して爆発する」「エンジンのピストンが回転する」「ピストンの回転が車輪に伝わる」等々、様々な出来事が複合して、「車が走る」という出来事が成立する。
そして、車が走るためには、その出来事を構成する様々な出来事間に因果関係が成立している必要がある。「ガソリンの点火」が原因となってエンジンは始動するし、ピストンの回転が原因となって車輪は回転するのだ。
これは言い換えると、因果関係で繋がった複数の出来事は、複合的な一つの出来事を構成するということである。
「ベニヤ板を殴った」と「ベニヤ板が割れた」という2つの出来事に因果関係があるということは、「ベニヤ板を殴って割った」という一つの出来事に統合できるということである。