妻の詰子が鏡を見ながら顔に美顔器をあてている。

「詰子ちゃん、何やってるの?」

無視して鏡とにらめっこだ。

「詰子ちゃん、聞こえてる?」
「フフフ……」

微かに鼻を鳴らして、含み笑いをしている。
仕方がないので、大きな声で呼んでみる。

「おーい、詰子ちゃ〜ん」
「ハハハハ」
「はぁ~、もし俺が詰子ちゃんを無視する側だったら、後ろ回し蹴りが飛んでくるところだよ」
「ハハハハ」
 

あとがき

説明するのが面倒なのか、集中したいのか、見ればわかるでしょということなのか、理由はよく分かりませんが完全な無視でした。
あいかわらず詰子には驚かされます。

さて、僕たちはもうすぐ還暦です。
子供のころ60歳というと、かなりのじいさん、ばあさん、というイメージでしたが、いざ自分がその歳になるとまだ若いつもりでいます。
体力の衰えは感じますが、詰子の場合、美を追求する気持ちは年頃の女の子と同じなんだなと思います。
逆に僕は身なりに無頓着なので、詰子を見習ったほうがいいのかもしれません。

まぁ、いつまでも心身ともに元気に若々しくいたいものです。

 

セントレアにあるフォーポイントバイシェラトンに泊まっている。
普段の生活では朝食を取らないのに、旅先での朝食ビュッフェはいつも食べ過ぎてしまう。
不思議だ。
今日も例外なく、お腹がパンパンだ。

もうすぐチェックアウトの時間になるので帰りの支度をしていると妻の詰子が言う。

「回転寿司に行きたいんだよね」
「えぇ〜、朝ごはん食べすぎてお腹がパンパンだよ」
「だよね、でも行こうよ」
「ん〜、仕方ないな」

魚魚丸という寿司屋にやってきた。
詰子によると愛知県で人気のある店らしい。
昼時とあって8組のお客が待合にいる。
僕たちも順番を待っていると、かつおの藁焼きショーが始まった。
見ているだけで美味そうなのが分かる。

「詰子ちゃん」
「なに?」
「なんか、お腹空いてきた」
「ハハハハ。あんなに文句言ってたのに!?」
 

あとがき

詰子に連れていかれて、はじめてこの店のことを知りました。
かつおの藁焼きショーが人気のお店だそうです。
1時間ごとに藁焼きショーがあるのですが、タイミングが合わず、僕たちは食べることができませんでした。
残念。

焼穴子、焼玉子も有名みたいで、こちらは美味しくいただきました。



焼穴子、あら汁

焼玉子

旅先だと食欲が増すからホントに不思議。
近場で2泊3日でしたが、今回もリフレッシュできました。

 

 

セントレアにあるフォーポイントバイシェラトンに泊まっている。
これから空港内のレストランで夜ごはんを食べる。
空港まではホテルの送迎バスで行く。

「詰子ちゃん、そろそろバスが来るから行くよ」
「うん、わかった」

部屋であわてて支度をしている妻の詰子を見て違和感を覚えた。

「詰子ちゃん、その服、裏返しじゃない?」
「ん~、裏返しじゃないよ」
「あっ、そう。反対に見えた。っていうか、最近、目が見えてないから、俺もときどき表裏反対に着ちゃうんだよね」
「あぁ~、わかる。私もたまにある。あと、前後ろ反対とか」
「前後ろ反対? いやぁ~、さすがにそれはないな」
「ーーーー。オツトくんもあるくせに、ないとか言ってくる」
 

あとがき

前後ろ反対は違和感があるので滅多にないはずなのですが、詰子はあるらしい。
まぁ、初老ですからね。
多少のことでは驚かなくなりました。

さて、この日は空港内にある「ヒモノ照ラス」で食事しました。
僕はアジの干物、詰子は銀鱈の干物です。
どちらも脂がのっていて、旨味が凝縮されていて美味い。

 


ヒモノ照ラス、アジの干物定食

僕は魚が大好きで干物、刺身、煮魚と何でも美味しくいただけます。
ただ、最近は歯が悪く、硬いものがダメになり、例えばコリコリの貝やイカ、ガムのようなアンコウは全く受け付けません。

それにしても、毛が生える薬はあるのに、歯が生える薬はどうしてないんだろう。
毛より歯の方が大事だと思うのですが。
今後の再生医療の発展に期待します。

 

 

中部国際空港セントレアに行くため知多半島道路を走る。 
途中の大府SAで昼食を取ることにした。
車を停めて歩いていくと立て看板があり、そこにある大きなチャーシューがのっているラーメンの写真に目がいってしまう。

「詰子ちゃん、何食べる?」
「北海道味噌炙りチャーシュー麺」

さすが動物占いチーター。
肉には目がない。 
店に入り、それを注文した。
運ばれてくると、めちゃくちゃ美味そうだ。
詰子が確かめるようにひとくちスープを飲み、チャーシューにかぶりつく

「んぅ~」

うなっている。
余程美味しいようだ。
僕も食べてみると 、間違いのない美味しさで、チャーシューはとろとろでジューシー、肉汁が舌にまとわりついてくる。
塩加減と油のバランスが絶妙で中毒になりそうだ。 
お腹がいっぱいになったところで詰子に聞く。

「夜は何食べるの?」
「焼き肉」

さすが動物占いチーター。
肉には目がない。 
 

あとがき

久しぶりにフォーポイントバイシェラトン名古屋中部国際空港に泊まります。
たぶん2年半ぶりくらい。

ホテルと空港間の送迎バスが常時ターミナルまで行くようになっていて進化していました。
また、空港と常滑市街地を周遊する無料シャトルバス「TOKONAME SHUTTLE」も毎日運行するようになっていました。
これは2025年4月1日からだそうです。

行きのサービスエリアで寄ったラーメン屋さんは「麺場 田所商店」
調べてみると全国にあるラーメン屋のようです。
ラーメン通には有名なのかな。

 


麺場 田所商店。とても美味かった。

動物占いは人の性格を12種類の動物を使って60パターンに分けるというもので、これが不思議と確信をついているのです。
詰子は「全力疾走するチーター」で特徴は「エネルギー補給は、焼肉屋へGO!」。
焼肉を食べると超元気になります。

ということで、夜はセントレア内の焼肉屋で食べました。

 

 

今年もお盆がやってきた。
今日は妻の詰子の実家に行って、お母さんに挨拶をする。

「お母さん、調子はどうですか?」 
「いやぁ、手が腫れちゃって」

手のひらを見せてもらうと、むくんでいるというか、少し腫れているように見える。
お母さんが続けて言う。

「医者に行って診てもらっても異常なし。MRIを3回やっても原因がわからんのだわ。痛くてパンツも上げれんもん」 
「いかんですね」 

詰子が聞く。

「今も痛いの?」
「とりあえず、炎症を抑える薬を飲んで凌いどるわ」
「ほぅ」
「別の医者に行って、また検査して。ほんで、先生が『検査結果は歳のわりにきれいだ』って言うんだわ~」
「まぁ、医者はそんなものだわ」

さらにお母さんが続ける。

「『私は一生このままの状態で治らんかね?』って聞いたったんだわ」
「そしたら?」
「『治ることを前提にやってますので安心してください』って言って、薬を変えてくれたわ」
「ほぅ」
「だけど、その薬を飲んでも何の効果もないんだわ」
「ーーーー」
 

あとがき

調べても原因が分からないので、困ったものです。
最終的に、今の医療では原因を特定できず、「歳だからそんなこともある」という結論になりました。

さて、このあと、僕たちはあと何年生きるかという話になり、下手をするとお母さんはあと20年生きるだろうと。
その時、詰子は80歳。
とんでもないことになってるな。

それにしてもこの先、まだまだいろんなことがありそうです。