午後2時
告別式が始まる
父の遺影の向かって右には
父が愛した
お酒と
父が生涯打ち込んだ
書道の筆を供えておいた
若さまは
堂々とされてて
ご住職よりも
美しく澄んだ声での読経
昨日からご住職の
我が家とお寺さんのつながりを聞いていて
今日は若さまの読経で
お寺さんを大事にしていた父としては
後を継がれる方に
告別式の読経をしていただいて
さぞうれしかったことと思う
菩提寺さんは
安泰ですね お父さん
こんな立派な後継ぎがおられる
焼香も終わり
喪主のあいさつ
昨日から
夫は何度こうして
皆さんの前で挨拶をしたことか
夫はもともとサラリーマンで
研修をしたり
会議の司会をしたりしていたので
人の前で挨拶することは
さほど苦では無い
苦ではないが
原稿は用意していたようだけど
大変だったろう
父の好きだったお酒と
父の生きがいだった書道の筆を
お供えしたことを
皆さんに聞いていただき
晩年父がやっていた仕事を
今、夫が受け継いでいること
それを受け継ぐといった時
その時が
生涯で一番父が喜んでくれたことを
皆さんの前で紹介した
夫はこで「うっ」と言葉を詰まらせた
わざとか感極まったかは定かでないが・・
上妹はあそこが一番良かった
泣きそうになったわ
と言ってくれた
夫はあいさつすると
何時もOTSURUに
「どうやった?」
って聞く
聞かれれば
「立派やったよ」
っていうしかないでしょ
ほんとにそういうときもあるけど
ちょっとどうよってときもあるが
否定すると機嫌が悪い
褒めておかないとね
こういう時は
でも
ほんとにアカン時は
ちゃんというよ
いよいよ出棺の運びとなる
皆さんがお供えしてくださった生花を
会場のスタッフの方たちがこぞって
惜しげもなく
むしり取るような感じで
(急いでいらっしゃる)
御棺に入れる花を
用意してくださっているのだ
長い生花の茎を
御棺に入れるサイズに
引きちぎるのである
ハサミも使わず手で
そのむしり取るやり方は
それはそれは
合理的で
手慣れた手つきで
芸術的でもあった
生花はたくさんあったので
御棺の中は
本当に花でいっぱいになった
父の遺影の横に置いてあった
御供の日本酒は
紙パックは父の足元に
瓶入りの物は
ふたを開けて
最後に樒の葉で
みんなで少しずつ
父の口を湿らせてやった
「お父さん お酒ですよ
飲みたかったねえ」
思い残すことなく
最後のお別れをして
溢れんばかりのお花の中で眠る
父の御棺を閉めた
棺の上には
父の娘二人(上妹と末妹)が
美しく整えられた花盛を
今までの感謝を込めて供えた
娘たちが乗せた花に
みんなで寄せ書きしたタペストリー
その棺を孫と婿たちが担ぎ
出棺の運びとなった
出棺
午後3時
夫が位牌を持ち
霊柩車に乗り込む
斎場に行くものは
マイクロバスに乗車
遺影を持った上妹は
マイクロバスに最後に乗り込む
斎場に向かう
たった15分の間に
空は急に曇り
土砂降りになった
斎場到着 午後3時15分
予定通り
斎場到着時も
雨はかなり降っていた
斎場はバス乗降時に
濡れないようになっていたので助かった
誰も傘など持っていなかったから
斎場では
また読経があり
焼香があり
父の棺は
火葬炉のなかへ
この時
火をつけるお役目を
事前に決めておく必要があり
葬儀社の方が夫に
「スイッチ押されますか?」
と聞かれたとき
「遠慮します」と答えた
押せばいいのに
一度きりやで
こんな機会
とOTSURUは思った
今回は
係りの方が
チョイっとさりげなく押して
おしまい
さて焼きあがるまでの
一時間半の間
精進落としのお食事を
皆さんで召し上がっていただく
一つ一つ進んでいき
無事に終わっていく


