ウソを書いてはいけない~教科書「子育て支援」~ | のめしこき日記

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 「ウソを書いてはいけない」というと、毎度の朝日新聞かとお思いでしょうが、今回は保育士養成課程の教科書です。

 

 保育士養成課程の必修科目に「子育て支援」があり、同名の教科書を使って授業していました。自分なりに自信のある科目は教科書など使わないのですが、専門外教科では教科書を使うのが便利なのです。

 某出版社の「子育て支援」という教科書で授業準備しているとき、「多文化保育・教育の法令的根拠と歴史」という項目で、以下の記述がありました。

 

【多文化教育関連の法令では、日本国憲法26条、世界人権宣言26条、経済的社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)13条、児童の権利に関する条約2条・29条などの法的根拠がある】

 

 これはちょっと疑問に思いました。日本国憲法が外国籍の子どもたちの保育・教育の権利を認めていて、同様に国際条約も認めている。と書かれているからです。

 それで調べてみました。

 

日本国憲法26条:「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。 2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」とあり、日本国籍のあるもののみについて言及しています。

①世界人権宣言26条:「すべて人は教育を受ける権利を有する」とあり、それぞれの国で教育を受ける権利を保証しなさいと読むのが常識です。

②経済的社会的及び文化的権利に関する国際条約A規約:「締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する」とあり、やはり外国籍の子の教育については述べられていません。

③児童の権利条約2条:「締約国は、その管轄の下にある児童に対し」とあり、これは国籍のある児童と読むのが妥当です。

③児童の権利条約29条:「児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成」は国際親善の意味合いになると理解するのが当然です。

 

 国際条約(この場合は①②③)を結ぶときには日本国憲法と照合し齟齬がなければ批准し、国内法をそれに合わせ改正します。齟齬があるときは批准しません。もし、②③に外国籍の子はその居住国(この場合は日本)の保育・教育を受ける権利があるなら、憲法と齟齬が生じるので批准しないことになります。

 

 教科書の記述では「多文化教育には法令的根拠がある」と述べていますが、私は以上の理由を出版社に示し、著者と「相談して善処してください」とメールで要望しました(2022年1月下旬です)。この章の執筆者は、韓 在熙さん(四天王寺短期大学教授)という方です。

 

 なお、別の章で別の筆者が「情緒障害短期治療施設」「軽度発達障害」という用語を使っていました。知らなかったのか、うっかりなのかは知りませんが、こちらは大した間違いではないので増刷時に訂正してくださいと付け加えました。

情緒障害短期治療施設:2017年の児童福祉法改正により児童心理治療施設と名称変更しています。

軽度発達障害:平成19年3月に文部科学省から軽度発達障害という表現を、原則として使用しない旨の通達が出されています。発達障害が使われています。

 

 出版社は真摯に対応し、著者に問い合わせ、3月末返答が届きました(次回)。