目の前のこと(3) | 小説 介護される日々

小説 介護される日々

介護される 介護する 寄り添う気持ちとともに。

母さんがクリニックへ通うことになった。

ひとつ向うの駅にあるという。

一人では行けそうもないので、

娘が一緒に行ってくれるそうだ。


訪問診療に来ている医者のところだというので、

「薬は毎回早く出してくれるように言ってくれ。」と言っておいた。


母さんは朝から支度して娘を待っていた。


娘が迎えに来て出かける時に

「昼過ぎるかもしれないけど。」と言っていた。

私の昼ごはんは用意してあったので、

「ゆっくししてくればいい。」と送りだした。


二人が帰ってきたのは昼ちょっと過ぎだった。


「昨日、看護師さん呼んだんだって?

 なんで言ってくれなかったの?」と

娘が帰ってくるなり言う。


そうだったかな。

なぜ呼んだんだろう。

薬がなかったからかな。

まあ大したことではないのだろう。


今日は薬もあるし、腹痛もないので大丈夫だ。


母さんは認知症検査もしたという。

娘曰く「同居は出来ないのか?と言われた。」という事だが、

母さんも私も二人の生活以外は考えられない。

たとえ娘でも、もう何十年も離れて暮らしていれば気も使うし、気がねだ。

医者にそんな事言われる筋合いもない。


今日が穏やかに過ごせるためには

二人でずっとやってきた暮らしをすることなんだ。

それしか考えられない。