すぐに車を転回させた私は、勢いそのままに菊水インターチェンジへ進入したのだが、既に彼女は料金所を通過した後で車は見えない。
「Yくん! 」
「大丈夫…見てるっす… 」
Yくんはそう話しながらスマホを眺めていた。
「福岡方面っす! 」
「了解!! 」
すぐにETCバーを潜り福岡方面へと走り出す。高速道路へ乗ると一気に加速し、車を飛ばすが一向に彼女の車は見えない。
「やっぱ飛ばすなぁ…全然見えねぇや… 」
ある程度予測はしていた事だが、こうなると尾行は一気に厄介になってしまう。
位置情報を受信するにはちょっとしたタイムラグがあり、示した位置が正確ではない事が多い。もしも途中、彼女がサービスエリアやパーキングエリアに立ち寄った場合、いや、最悪、どこかのインターチェンジで下車した場合、彼女の車を追い越してしまう可能性があるのだ。
急がなければ追い付けないし、だからといって闇雲に飛ばして追い越してしまえば元も子もない。そんなジレンマと熱発に挟まれて、どうにもピリッとしない尾行が続いていく。
「どうだ?どうだ?? 」
「五月蠅いっすねぇ!どうにもならんっすよ! 」
どこかでYくんが助手席のドアがパカッ!と開いて落っこちないかなと念じながら運転を続ける。
「来たっすキタ――(゚∀゚)――!! 」
「何が!? 」
「広川(サービスエリア)で止まったっす! 」
「マジか!? 」
「間違いないっす! 」
善は急げとばかりに強くアクセルを踏み込む。広川へ着いたら着いたで、素早く探さないと入れ違いで出られては何にもならないからだ。
暫く走ると「広川サービスエリア2km」の標識が見えてくる。ここはサービスエリアとインターチェンジが同じ場所にあるのでそこから一般道に出られたとしても不思議ではない。
「いいかYくん。素早く見つけないとモタモタしてたらまた同じ事になるぞ… 」
「って言うか、あんたがちゃんと尾行してたらこんな事にはなってなかったっすよ! 」
コイツをサービスエリアの中に置き去りにしようと誓った私はウインカーを立て、サービスエリアに進入する。もはや、私は肩で息をする程までに熱が上がってしまっていた。
広川SAは、九州自動車道の中に数あるサービスエリアの中にあって、いつも賑わっているイメージしかないので人混みが苦手な私はほとんど立ち寄った事が無い。この日も車がごった返していて、平日にも関わらず駐車場を探す車列がちょっとした渋滞を作っていた。
「ぅわ!まいったなぁ… 」
「こりゃ見つかんないっすよ… 」
頼りは赤いボディー。とにかく目に付く赤い車を全て確認するが違う車ばかり。
「あぁ!あれっす!! 」
「!! 」
Yくんが指差した方向に視線をやると赤い車がサービスエリアを出ようと走り出した所だった。
(続く)
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