早速翌日、私は嫌がるYくんを引き連れて、昨日河野京子が墓参していた場所を見に行く事にした。墓石を見ればとりあえず誰の墓かは分かるだろうし、それを河野氏に投げれば、何かを思い出すかも知れないとの期待もあった。
「僕は忙しいっすよ!何で僕が… 」
「まぁ、そう言うなよYくん。付き合ってよ… 」
Yくんを連れ立った理由はズバリ「青色のソフトクリーム」だ。冷静に考えれば、オッサン1人で買う勇気が無かったので、無理矢理付き合わせたのだ。勿論、彼にはその事はまだ伝えてはいない。
「そんなもん、わざわざ僕まで行く必要あるっすか? 」
「まぁ、そう言うなよ…きっと良い事あるから♡ 」
「なんすかそれ? 」
彼は自分が行っている作業の中断を余儀なくされるとすごく嫌がる。勿論、分かってはいたが人気の無い寂しい場所での確認作業なので周囲にも気を配らなくてはならないのだ。押し込む様にYくんを助手席に乗せると私は車を出した。
「お前、そんなに拗ねんなよ… 」
「拗ねてないっす!頭にきてるだけっすよ! 」
「お前…相変わらず言い難い事言うなぁ… 」
「当たり前っすよ! 」
「終わったら、いいもの驕るから( ´艸`) 」
「何すかいいものって」
「まぁ、楽しみにしておけよ… 」
そんな会話をしているうちに、空はどす黒く重たい雲に覆われる。今にも雨が降りそうな雰囲気だった。
「急がないとこりゃ降り出したら事だぞ」
「僕には関係無いっすよ! 」
「なんで? 」
「だって僕、車から降りないっすから… 」
「…… 」
国道を北に向かってひた走るうちにフロントガラスを雨が打ち付け始める。もっと早く事務所を出てくれば良かったと悔やむが、時既に遅し、だ。
「でも社長… 」
「何だよ? 」
「何でそこまで対象者の墓参りに拘るんすか? 」
「…… 」
改めてそう尋ねられると上手く説明する事が出来ない。敢えて言えば、「旦那も知らない行動」程度の話だからだ。もっとも、肝心な河野氏が気にしている訳でも無いので、無視してしまえばいいのかも知れないが、何故だかそこに執着してしまう自分がいた。
「わかんねぇよ。ただ、勘ってヤツだ」
「社長の?あてにならない? 」
「五月蠅いなぁ… 」
これだけ雨が降れば梅雨入り宣言が今日、明日あたり出るのかも知れない。宣言が出たからどうのこうのといった話ではないのだが、兎に角、梅雨時期の調査は何かと厄介だ。
勿論、墓石を見たからといって何か重大な事が分かるとも考え難い。しかし、いつも必要以上の事を狩野省吾弁護士に期待される身としては、そんな石ころ程度の小さな「気付き」すらも見逃さない様にしなければならない。
「ほれ、ここから曲がった地域だ」
「ぅわ!こりゃ寂しいっすねぇ…寂しいって言うか、一歩間違えば少し怖いっすよ! 」
「だろ? 」
「確かにこんなとこで若い女が墓参りしてたらすごく目立つし気にはなるっすねぇ… 」
「だろだろ? 」
そんな会話を交わしながら私達は別れ道を右へ入った。
(続く)
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