安堵した私が、その復元されたチョコをそっと握って再び、冷蔵庫に戻ろうとした時だった。
「こんちは---!! 」
「ギャッ!! 」
焦った私は、握っていたチョコレートを落としそうになったので、慌てて空中で掴もうとしたのだが、掴んだ場所が悪く、チョコレートの包みは無情にもビリビリに破れてしまった!
「嘘っっ!! 」
「佐川で---す! 」
「…… 」
何の事は無い。先日アマゾンで購入したマイクロSDカードが届いただけだったのだが、悪いことをした罪悪感が私にそうさせたのか、せっかく復元したチョコは無残にも、もう、どうにもならない形になってしまっていた。
「あの…代金引換ですけど…大丈夫ですか(-_-;)? 」
「あ…はぁ…はい…… 」
私は力なく答え、デスク裏のバッグから1万円札を取り出した。別に宅配の人が悪い訳じゃないのに、何故か非常にバツの悪そうな表情をしている。現金を渡す私の後ろでは、欠片になったチョコと、かろうじて銀紙に包まれたままのそれが無残に散らばっている。
「あの…大丈夫ですか…?すみませんね…ノックして入ってきたら良かったですね… 」
「あ、いえ、その…多分…大丈夫ですぅ… 」
宅配の人は余計な気を遣いながら「ありがとうございました」と、ひと言言い残してドアを閉めた。振り向きたく無かったが、エクソシストみたいに首だけ後ろを振り返ると……厳しい現実だけが床に散らばっている。
何も考える事が出来ずに、その散らばったチョコレートに視線を釘付けにしながら、そっとデスクに着いて煙草に火を着けた。まさに「現実逃避」。
「はぁ…… 」
煙草の煙が目に染みたのか、涙が頬を伝う。バールで頭に穴開けられたら死んじゃうのかな?きっと死んじゃうよ。いや、100%死ぬ……
そう考えると身体はガタガタ再び震えだす。やだ。こんなしょうもない事が原因で人生の幕を下ろしたくない…
再び少し冷静さを取り戻すと、誰がいつ事務所に戻ってこないとも限らない。万一、チョコの所有者であるSさんなんか戻ってきた日にゃあ、速攻終わる!!
煙草の火を揉み消して、私はすぐに散らばったチョコレートを回収し始めた。
何故、こんな事になったのか?いくら考えても私には分からない。一体、誰が悪いのか?そりゃ私。うん、何故だか分かんないけど、そこだけは納得。
自分自身の「本能」が憎い。次に生まれ変わってくる時は、もっと小食の、線の細いピアノ少年?かなんかに生まれてきたい……
きっと私の前世は古代ローマかなんかで不幸にも餓死してしまった美しい少年なのだろう。あぁ、不幸の連鎖。時代を超えてなんと悲しい物語…
「さ…小芝居はこのくらいにして…このチョコ食べてあげないと腐っちゃう♡ 」
そうボソボソ呟きながら、私は残りのチョコレートを「介錯」する事にした。今更残した所で、もうどうにもならないという開き直りに加え、完全に理性≤食欲だったのだ。
そして、それら全てを始末し終えた時…果てた後の様な虚しさだけが私を包んでいた。
(続く)
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