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(貧乏探偵を脱出する為・・・皆様の温かい気持ちで当ブログは成り立っています
「嘘・・・・・・・・マジかい???」
私とY君の後ろを怪訝な表情を浮かべて通り過ぎる一人の中年女性・・・。
Y君は暫く私の目の前で・・・車の中で何かを探している(フリ)をしていた。
「まじ・・・?あれが対象者の・・・・・??」
「恐らく女っす・・・・・・。」
私達はしばし・・・・呆然とした。
Y君に状況を聞きたかったが・・・・
女性は徒歩で大通り方面へ進行している。尾行するのであればそんな余裕は無い・・・。
勿論、そのまま見過ごす事も出来なくは無いのだが・・・
ご依頼者(Kさん)の為を思うと・・・見てしまった以上そうもいかない。
単純にご主人の帰宅先だけでは無く、きっと相手女性がどんな人物なのかも知りたいに決まっている・・・。
なんて・・そんな事を考えると・・・
今の状況から考えて私は殆ど顔を見られていない。どうせ尾行するなら私の方が適任である。
しかし・・・・Y君は私が今日お借りしてきた機材の使い方を知らない・・・。
時間的に考えてまず対象者が帰宅するとは考え難かったが・・・
「そのまさか」が起こり得るのが調査である。
「どうするんスか!社長!!」
「・・・・・・・・・・っ!!」
「よし!Y君!!」
「はい!」
「俺・・・尾行するわ。Y君は・・・・俺と距離をとって車でついて来て。」
「え?僕もっすか?大丈夫っすかねぇ??」
「どのみち一人で居ても使い方(機材の)わかんねぇだろ!!それより女の(下品でごめんなさい)勤務先割り出すぞ!!その後車で速攻戻れば(ここに)いいだろっっっ!!!」
「あ!・・・そうっすね!!」
私はそう言い残し・・・ジャンパーを羽織るとダッシュで女性を追った!!
女性が大通りに出たところで、右に曲がった所までは確認出来ている。右にはバス停が確かあった筈。
私は兎に角急いで・・・・右に・・・・・
「!!!!!!!!!!!!」
ヤバイ!!
咄嗟に私は・・・・・・ダッシュしたまま、右に曲がってすぐの所にある・・・
「理髪店」に入店していた・・・・・・。
凄い勢いで駆け込んで来た私を見て・・・
驚いたのは店主とお客さんである・・・・
「い・・・・いらっしゃいま・・・・せ・・・・・
」
「は・・・・はは・・・・・」
「今日は・・・・どう・・・・・なさいますか・・・?
」
「い・・・・いやね・・・・・カ・・・・カットはお幾らかなぁ~・・・なんて・・・」
「さ・・・・3,500円ですが・・・・・
」
「あ・・・・ははは・・・・そう・・・・・パーマは?」
私は理髪店の出入口を背中で塞いだまま・・・・暫くそこの店主と間抜けな会話を交わしていた・・・。
実は角を曲がった瞬間!!
私の目に飛び込んできたのは1台のタクシーに乗車しようとする女性であった・・・。
予想に反し、タクシーに乗車しようとしていた事にも驚いたが、何よりもそのタクシー運転していたのが一瞬ではあったが・・・・確かに・・・・・
「対象者」だったのである。
私が見た瞬間は・・・・・
女性を乗車させる為に横を向いていた・・・・と思う。
多分・・・・・タイミング的には見られてはいないが・・・・。
先述した通り・・・・・私は一度対象者と対峙している。
ここでチラッとでも見つかろうモンならば・・・「アウト」である。
咄嗟に気付いたから良かった様なものの・・・まさに「間一髪」であった・・・。
「パ・・・・・・パーマは・・・・・アイロンですか・・・それとも・・・??
」
「へっ?」
「あ!そうそう・・・パ・・・・パンチ!!(パーマ)」
「ろ・・・・・6,500円ですが・・・・・
」
明らかに私と理髪店の店主は会話が噛みあっていない・・。しかも今時「パンチパーマ」の料金を聞くほうも聞くほうである。
早く・・・・早く行けよ・・・・・
私は対象者と女性の乗ったタクシーが早く行ってしまう事を心から祈った。
「ハッ!」
や・・・やばい・・・・
そう思った瞬間!!
通りから車で出てくるY君。
しかし・・・・・・Y君も何事も無かったかの様に対象者と女性の乗ったタクシーとすれ違い見えなくなった。
Y君も咄嗟に気が付いたのである。
「 (たまには)エライ!!Y君!!!」
私は心の中で安堵した・・・・
そして携帯が鳴る。
「はい?」
「いや~・・・・・・ありゃビックリしたっすねぇ~・・・・・マジ驚きましたよ・・・」
「だな・・・・・でも良く分かったな・・・」
「ったり前っしょ!!探偵の基本っすよ!!」
「いや・・・・マジで良かった・・・・。」
「どうします?」
「タクシーが動いたら合図するから・・・至急戻ってこいよ。出来るトコまでやってみよう。」
「了解っす!!」
・・・・・・と言うのが早いか・・・タクシーは走り出した。
「おい!いいぞ!!」
「了解!!!」
「あの~・・・・・・・
」
「は?」
「今日は・・・・・如何なさいますか・・・・・・
」
「すみません・・・・・急用を思い出したので・・・また来ます・・・・」
「ですよね・・・・・。
」
理髪店のご主人には本当に悪い事をしてしまった・・・。
すぐにY君は店(理髪店)の前に車をつけた。
私は素早く乗車しY君の運転で尾行を開始した!!
(続く)