筋緊張

①正常な筋緊張:体重や重力に対して姿勢を保つのに必要な十分な緊張の高さと、目的的行動や外的刺激に対して素早く適切に対応できる適度な低さという幅のある状態。

②過緊張:運動する範囲が狭くなり、速やかに動くことが困難な状態。

→将来的には脱臼や関節拘縮の恐れがある

③低緊張:姿勢保持困難で重力に負けないだけの筋緊張を高めることが難しい。

・蛙様肢位:背臥位で股関節を外転・外旋・屈曲

W position:肩関節を外転・外旋・肘関節を軽度屈曲

・外反扁平足:足関節~足部の筋緊張・靭帯組織の緩みで足底アーチが形成されない状態

④筋緊張の動揺:正常の範囲を超えた範囲にまで筋緊張が動揺する状態。安定した姿勢保持と目的に応じた動作が困難。

⑤同時収縮:主動作筋と拮抗筋が釣り合うように同じ様な収縮をすることによって、姿勢を安定させたり関節を固定させたりすること。

・過剰な同時収縮→CPの頸直型

・同時収縮の欠如or十分でない→アテトーゼ型や失調型

⑥相反抑制

主動作筋が収縮することで運動は行われるが、それと同時に拮抗筋の段階的な弛緩と引き伸ばしによって適度な運動が行われること。

⑦筋緊張の評価

・視診

・触診

・他動運動

反射・反応

原始反射の統合と姿勢反射の発達は、中枢神経系の成熟を反映する。

原始反射は胎生56ヶ月より発達し、成熟と共に消失し始め、大脳皮質により抑制されていく。

①脊髄レベル

脊髄性反射は筋を協調させて、完全な屈曲または伸展のどちらかのパターンをとる。

※生後2ヶ月までは正常に出現

・交叉性伸展反射①:背臥位一側の下肢を伸展し、他側の下肢を屈曲にし、伸展しておいた方の下肢を屈曲すると、他側の下肢が伸展する。

・交叉性伸展反射②:背臥位で両側の下肢を伸展し、一側の大腿の内側を刺激すると反対の股関節が内転・内旋し、足関節が底屈する。

②脳幹レベル

脳幹の反射は「静止的な」姿勢反射であり、空間における頭部と身体の変化に応じて全身の筋緊張の分布に変化を起こす。

※生後46ヶ月までは正常に出現

ATNR

STNR

③中脳レベル

立ち直り反応は互いに関連しあい、空間における頭部と身体の正常な関係、ならびに身体各部の相互関連に役立つ。

※生後10ヶ月~12ヶ月頃に最高の協調効果を生み、座位、四つ這い、立位へとつながっていく。

・立ち直り反応

Moro反射

④皮質レベル

身体における重心の変化に応じて身体を順応させるようになる。

1)四つ這いを可能にするのは何反射?

→対象性緊張性頸反射・前方へのパラシュート反応

2)どの反射が抑制されることで、四つ這いを可能にする?

→非対象性緊張性頸反射

3)寝返りを可能にするのは何反射の出現?

→身体に対する身体の立ち直り反射

4)どの反射が抑制されることで寝返りは可能?

→非対称性緊張性頸反射

前頭葉

【前頭葉の皮質領域と役割】

・前頭前野:行動の企画ワーキングメモリー

・運動連合野:運動の選択構成準備

・一次連合野:運動の実行

【前頭葉の病変部位による障害】

・外側面病変:運動のプログラム崩壊

・内側面病変:精神活動の選択性障害

・眼窩部病変:脱抑制性格変化

Truelleの分析】

・前頭前野病変…運動の単純化(プライミング障害

・運動前野病変…脱自動化(運動メロディ障害

・眼窩内側病変…脱抑制

【ワーキングメモリー】

ある活動や課題を正しく遂行していくために必要な情報を一時的に、しかも能動的に保持していく過程

【前頭葉症候群】

遂行機能障害…環境を認知することから行動の結果を予測して、行動を制御するために情報を役立てていく機能の障害

【行動抑制障害】

環境依存症候群:ある環境に極度に依存してあたかもその場に属するように振舞う現象

1)利用行動:物品を提示すると単に把握するだけでなく、物品をその用途に応じて使用する現象

2)模倣行動:検者のジェスチャーを模倣する現象

【前頭葉内側面病変による病的現象】

Alice Hand Sign:左手が他の人の手のように不随意に無目的な行動をとる現象

道具の強迫的使用:目の前のものを見るか触ると、本人の意思とは関係なく、右手が強迫的に使用してしまう現象。必ず把握反射・本能性把握を伴う

拮抗失行:右手の随意運動に対して、左手が不随意に反対目的の行動をとる現象

意識

【意識レベル】

覚醒

傾眠

昏睡

【意識の3段層】

自己意識:意識はそれ自身を意識できる

アウェアネス:対象や事象に気づくという意識

覚醒:目覚めた状態

記憶

【記憶のプロセス】

符号化貯蔵検索再認


【記憶の分類】

言葉で表現ができる陳述記憶と、言葉で表現ができない非陳述記憶とに分けられる。


『陳述記憶』

エピソード記憶…時間と空間がはっきりしている。

障害されると健忘症に。

意味記憶…知識


『非陳述記憶』

プライミング効果…ぱっと見たものを無意識的に覚えていて、何かを見たときに思い出す。

手続き記憶…学習していくうちに動作を覚えていく


【エピソード記憶の障害】

逆向性健忘…過去のことを思い出せない

前向性健忘…新しいことを思い出せない


Papetzの回路】

海馬脳弓乳頭体乳頭視床路視床前核帯状回海馬


・左の海馬の障害:視覚性の障害

・右の海馬の障害:言語性の障害


【記憶障害の評価】

・即時記憶…数秒~数十秒

評価:数字の復唱逆唱


・短期記憶…数十秒~数分

言語性の記憶評価:三宅式記名力検査

視覚性の記憶評価:Reyの図形


・近時記憶…数分~数日、1年位

評価:自叙伝的記憶検査


・手続き記憶の評価:ハノイの塔

右半球症候群

半側空間無視

視空間認知障害構成障害Balint症候群など)

病態失認

地誌的見当識障害道順障害地誌的記憶障害

運動維持困難

消去現象

右向き傾向

無関心脱抑制全般的注意障害など

半側空間無視(USN

大脳半球の損傷部位の対側の刺激に反応せず、またそちらを向かない状態。

責任病巣:頭頂葉・側頭・後頭葉接合部前頭葉視床

USNのメカニズム】

注意障害説…「方向性」の注意方向へ向きやすく、左方向へ向きにくいというもの。

運動障害説…左方向へ向かう運動が低下するというもの

表象障害説…イメージ上で無視がおこるというもの

【半側空間無視と同名性半盲】

・半側空間無視…注意の障害で視野は問題ない。

・同名性半盲…脳神経Ⅱ視床後頭葉視覚連合野にかけての障害であくまで視野の問題。左半盲の場合でも、左を向くことが可能で注意も向けられる。

USNにおけるADL観察のポイント】

『移乗・移動動作』

車椅子のブレーキのかけ忘れ、フットレストの上げ忘れ、麻痺足の上げ・下ろし忘れ、など

『更衣動作』

左側の更衣が拙劣になる。上下・左右がわからなくなる

『整容動作』

髪の毛をとかす際に左側をし忘れる(Personal Neglect

Personal Neglect(自己に対する無視)

自分の身体の左側に対して注意を向けることができない

右向き傾向

注意を喚起しない限り、頭頚部が持続的に右を向いている。

消去現象

一側に与えられた感覚刺激は左右いずれも知覚できるが、両側同時刺激では一側しか知覚できない状態。

病態失認

片麻痺を否認もしくは無視する症状。

言語反応で確かめられる。

片麻痺無認知…片麻痺に気づかずあたかも正常であるかのようにふるまう

片麻痺否認…「片麻痺はありません」ときっぱりと否認

身体パラフレニー…片麻痺を否認し、異常な判断を示す

余剰幻肢…麻痺肢に加えてもう1本手がある様に感じる

地誌的見当識障害

街や家の中を移動する際、どちらへ行けばよいかわからず道に迷う症状。

前向性地誌的記憶障害…主に新しい道順を覚えられない。

街並失認…何の建物なのか、どこの風景なのかなど、熟知した街並を同定することができない。

構成障害

造形作品を生み出す課題において、作品の空間的形式が失われる状態。

・左半球損傷:企図性の問題

・右半球損傷:半側空間無視の影響

痴呆でも生じる

運動維持困難

指示に従って閉眼、舌を出す、開口などの動作をし続けることができない。

メカニズム:運動維持に必要な注意機構の障害。空間的固有感覚情報の利用障害

失認

失認とは、ある一つの感覚を介して提示された物品の認知障害で、感覚障害知能低下意識障害注意障害などで説明がつかないもの。

※他の感覚様式では容易に認知可能

『視覚失認』

【統覚型視覚失認】

光の強弱や対象物の大小などが分かるにもかかわらず、対象が何かわからない。

※模写もできない

【連合型視覚失認】

対象の形態に関する視知覚が十分に保たれているのに、対象が何かわからない。

※模写はできる

・病巣はいずれも両側後頭葉

『視覚失語』

物品を見ても何であるか呼称できないが、その物品の意味を理解していることは、使用方法やカテゴリー分類に成功することで証明される。

※模写はできる

『相貌失認』

発症前に熟知していた顔を見て、誰だかわからず知っている相手かどうかの判断もつかない。

未知相貌については、老若・男女・表情の区別がつかない場合がある。

※声を聞けば誰だか分かる

・病巣は右後頭側頭葉が重視されている

『触覚失認』

体性感覚障害がなににも関らず、物品を触って何であるか認知できない。

→ポケットの中のものが何であるかを認知できない。

触覚・痛覚・温度覚などは正常に保たれ、皮膚書字覚も保たれている。

・病巣は頭頂葉が重要視されている。

症候群

・症状の一定の組み合わせを症状群とし、その一定の組み合わせを病巣と関連付けて重視すること。

→いくつかの症候がきまった病巣で同時に認められる。


Gerstman症候群】

左右失認

手指失認

失書

失算

病巣:左半球頭頂葉角回


Balint症候群】

精神性注視麻痺

→周辺視野にとらえている刺激に視線を移動できない

視覚性注意障害

→同時に一つの対象しか知覚できない

視覚失調

→視線上にとらえている対象物に正確に手を伸ばし掴むことができない

評価:円の中に点を打つ課題


Korsakoff症候群】

健忘

見当識障害

作話

病巣:乳頭体とそれに隣接する脳弓

アルコール性のものが多い

2 瞬時記憶知的能力は保たれている

注意障害

・注意の機能は汎性あるいは全般的なものと方向性のものとに分けられる。


【覚醒水準・持続性注意】

注意の強度の維持力

障害されると、時間経過に伴い課題の成績が低下する。

評価法:等速打叩課題


【選択性注意】

多くの刺激の中から、1つの刺激に反応する能力

評価法:仮名拾いテスト


【配分性注意】

2つ以上の刺激に配分される注意の量

評価:PASAT


【転動性注意】

2つ以上の刺激に対して注意を転換していく能力

評価:letter cancellation

失語症

一般に人の言語の中枢は半球にあるとされるが、その一部、あるいは広範囲に損傷を受けると失語症を呈することとなる。その症状は、出力の障害入力の障害に大別されるが、前者の場合を運動性失語、後者の場合を感覚性失語と呼ぶ。特に後者の場合は、意味不明な言葉となるジャーゴンがしばしば見られる。


・言葉における4つの機能は、話す書く聞く読む。前者2つは出力の要素、後者2つは入力の要素である。


【発語における個々の症状の整理】

喚語困難…誤想起が障害された状態

保続…前に話したことがくり返される

迂言…回りくどい言い方

字性錯語Ex,「ハサミ」→「ハカミ」

語性錯語Ex,「ハサミ」→「サイフ」

新造語…単語として意味のない発語

ジャーゴン…文章として意味不明な発語(錯語新造語の羅列)

プロソディ障害…アクセント、リズムなどの障害

文法障害…助詞、助動詞などの誤り