失行症
・失行症とは、知的障害や、失認、麻痺、失調などの運動障害がないにも関らず、物品が何であるかも理解しているのにその用途にあった運動が行えない状態。
→学習された動作の遂行障害である。この際、神経系の求心路、遠心路の両方が保たれ、注意障害がなく協力的であることが条件である。
・失行で障害される動作は目的をもった動作であり、複雑さが同じでもできるときとできないときがある。
【観念失行】
使用すべき対象物の使用障害。
→使用すべき対象物の認知は十分に保たれており、運動機能にも異常がないのに正しく対象物を操作できない。
※「使用」目的の行為ができない。
臨床像:道具を使えない、使用方法を誤る。
責任病巣:左半球頭頂葉後方部
【観念運動失行】
社会的慣習動作を言語命令に従ったり、模倣で遂行することの障害。
※「伝達」目的の行為ができない。
臨床像:ADL上で問題とならないことが多い。身振り、手振りをすることが困難。ある道具を使用する真似をする要求には、自分の手を道具のようにして使用してしまう。
責任病巣:左半球側頭頭頂葉
【肢節運動失行】
熟練しているはずの運動行為が拙劣化している状態。拙劣化の原因として、筋緊張異常、知覚障害、失調、不随意運動などあきらかなものがないもの。
臨床像:ズボンのポケットへ手を入れられないなどの不器用さを訴える。
責任病巣:運動前野の損傷:対側の手に出現
・失行検査は、直接使用・模倣・物品の視覚提示・触覚提示、または口頭命令などの動作を喚起する状況下で行われる。指示の与え方としては、一般的に口頭命令で実施させるより、動作の模倣の方が容易である。物品を実際に使うほうがそのジェスチャーより容易である。
検査場面より日常生活における自発的行動における動作の方が容易である。
・失行の質的誤り
拙劣:つたないが課題の行為は可能
修正行為:目的とする行為に試行錯誤しながら近づく
保続:前の動作が繰り返される。
錯行為:違う動作への置き換え
無定形反応:何をしているのかわからない反応
開始の遅延:動作が開始されるまで、ためらいなどで遅延する
困惑:行為の際に戸惑いがみられる
誤使用:道具の使用の際に誤って使用する
位置の誤り:対象は正しく把握しているが、誤った位置に働きかける
省略:系列動作において途中が省略される
順序の誤り:系列動作において順序を誤る
・失行と鑑別する症状として、運動障害・失語・痴呆・触覚、視覚失認などが挙げられる。
・失行の評価の前に、対象物の認知の確認・道具の命名・使用法・道具についての概念的知識などをたずねる。
【構成失行】
描画・積み木などの2次元・3次元の構成課題で歪みや崩れを生ずる障害。
評価法:Kohs立方体、Reyの図形
【着衣失行】
両側性の着衣の失敗で、麻痺や半側空間無視に影響を認めないもの。
一側性の着衣の失敗は着衣障害とする。