アロマテラピーの講座を定期的に
開催するようになってから
しばらく経ちました。
作業療法士でもあるアロマセラピスト
というプロフィールのせいか
介護の現場で働いている方または
いずれは介護の分野に関わってみたい
という方が多く受講されています。
特にアロマトリートメント講座は
時間的にタイトなスケジュールで
なかなかおひとりおひとりとじっくり
お話しすることができていないのですが
アロマテラピーを用いて
「何がしたいのか」
「何ができそうなのか」
さまざまな思い、時には夢を
聞かせていただいています。
率直な印象として
アロマテラピーに携わる側からみる
【介護アロマテラピー】と
介護の現場の側から見るそれとは
少し景色が違うなあと思うのです。
介護の現場において、アロマテラピーは
「なくてはならないもの」ではありません。
では、食事と適切な医療・介護があれば
生きていけると言えるでしょうか。
人は「なくてはならないもの」
だけで生きているわけではありません。
なくても生きていけるものたちが
その人を癒し、時には救い
その人らしさをかたち作っています。
「なくても大丈夫なもの」を取り入れ
それがかけがえのないものだと
気づいてもらうためには
アロマテラピーに携わる側にとっても
それ相応の覚悟と努力が必要なはず。
アロマテラピーの素晴らしい効果や
ますます拡がる可能性を
大声で語りたくなりますが
ひとりよがりになってはいけないと
自戒を込めてそう思っています。
多忙な介護の日常にあって
さらに、よりよいケアのために
アロマテラピーを取り入れてみたいという
介護職の方が多くおられるのは事実です。
あれもして差しあげたい
これもしたいと思っていても
忙殺されて手がまわらないという
ジレンマを抱えていたり、結果的に
疲弊してしまうこともあると
実際にお話してみるとよくわかります。
また基本的に介護サービスとは
ケアプランという計画書をもとに
提供されるものですから
個々のスタッフの思いひとつで
行動するものでもないのです。
個々のスタッフ間で
アロマテラピーに対する知識や思いに
温度差がある中で
それでもやっぱりアロマテラピーを
提供して差しあげたいという
介護者の思いをかたちにするには
どうしたらいいのか、考えさせられます。
それでは、外部からボランティアとして
介入することについてはどうでしょうか。
高齢者施設でアロマトリートメントの
ボランティアをしたいと希望される方は
私の想像以上に多いと実感しています。
すでに実際の活動を通じて
「思い」をかたちにしている方には
本当に頭が下がります。
ですが、受け入れ先を個人で探すのは
どんどん難しくなってきています。
さて、どうでしょうか。
受け入れ先の施設の方が
アロマテラピーについて知識が乏しく
安全性やリスクを考えずに
簡単に受け入れてしまったとしたら。
介護の現場では、利用者の身体にできた
ほんの小さな内出血ひとつ見逃すことなく
それを発見した場合には
「事故報告」として書類をあげ
ご家族に逐一報告し、原因をさぐります。
そういう世界なのです。
トリートメントを受けていただく
利用者に関する情報の共有
事故が発生した場合の責任の所在など
むしろ厳しくなるのが当然といえます。
介護の現場においてアロマテラピーの導入が
どんどん進んでいるといわれていますが
実際には「いいのはわかっているけれど…」
というところで止まっている施設が
ほとんどなのが現状でしょうか。
アロマテラピーに携わる側と
介護の現場で働く側
少しずつ違う景色を見てはいても
めざすゴールは一緒
それぞれの「思いの先にあるもの」は
なんら変わらず同じだと思うのです。
【介護アロマテラピー】
いまの私自身に何ができるのか
自問自答は続きます。


