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おとやんのブログ

バイクの楽しさとは、重力と遠心力の狭間に身をあずける心地よさと見付けたり。

 世は空前のバイクブーム、だそうです。

2022年6月7日付けの日経産業新聞の記事によると、二輪免許の教習所は入校待ちが生じるほどに活況を呈しているとの由。

また新車も中古車も需要に供給が追いつかず、品薄で車両価格が上昇の一途であることも皆さん御存知の通り。

 

 一方で、気になる情報も。押しも押されもせぬ名車、バイク界のメートル原器と言っても過言ではないレジェンド、CB400SFが2022年10月生産分を持って生産終了となるニュースがバイク界をザワつかせています。

 

「生産終了決定ッ!! CB400スーパーフォア/スーパーボルドール...」 

同記事は同時にV4エンジンの名機 VFR800F/Xやゴールドウイングの一部モデルも同時期に生産終了することを伝えています。

 そして私が昨年から密かに恐れていた事態も…。

【号外】スズキ「GSX-S750」が生産終了?!

GSX-S750については2017年のデビュー以来、例年2月ごろにその年のニューモデル(といってもカラーリングの変更のみのマイナーチェンジですが) が発表されていたのが、今年2022年は音沙汰なしだったので 「もしや…」 と思っていました。兄貴分のGSX-S1000がフルモデルチェンジした時点で 「やはり…」 に変わり、上記Web記事を目にした時点で 「合掌。礼拝。」となった次第です。

稀代の名機CB400SFが生産終了するご時世、マイナーメーカーであるスズキの、さらに不人気車種であるGSX-S750が生産終了したとしても世の殆どのバイク乗りにとってはさざ波がたったほどの影響もないと思われますが、私にとってはかなりの一大事でした。

 

 「GSX-S750は稀代の名車である」 というお題ならブログ記事3回分ほどは優に書けますが今回はそれはさておき、個別モデルの生産終了に感じる寂しさとは別に、これらの生産終了のニュースがバイク界の今後を暗示しているように思えてなりません。

1980年代~2000年代の、「正真正銘のバイクブーム」を知っている身からすると昨今の各メーカーのラインナップの痩せ細りぶりには理屈抜きで危機感を感じます。

かつては「こんなバイク、誰が乗るんだろ…」みたいな少々意欲的なモデルも含めて各社がラインナップの豊富さを競っていて、ジャンル、デザイン、エンジン型式、カラーリング、排気量帯、いずれも 「こんなのに乗りたいんだよねー」 と思えば、どこかのメーカーがそれに近いものを出している、という選択肢の豊富さがありました。

そして、その多様性こそが、当時のバイクブームが本物であることの何よりの証でした。

 

 私の愛機GSX-S750、名車中の名車CB400SFなど、名だたる名車たちが軒並み生産終了に追い込まれる大きな原因の一つがご存知のように「令和2年排出ガス規制」への対応に多大な費用がかかるためです。

欧州のユーロ5相当の同規制は日本では新型車を対象に2020年から導入されていましたがこの規制が2022年11月から既存車種にも適用されることにともなって、今回の大型リストラとなった次第です。

2022年6月23日付けの日本経済新聞にそのあたりの事情が掲載されています。

同記事によると、上述のホンダの生産終了の他にスズキではGSX-S750以外にもGSX250Rなど5車種、ヤマハは旗艦車種FJR1300シリーズのうち2モデルを生産終了予定との由。

同記事によると日本の4メーカーの計約190車種のうち、2022年末までに1割にあたる約20車種が生産を終える予定とのことです。

記事では排ガス規制対応へのハードルの高さにも言及されていて、新型エンジンの開発には数億円規模の費用がかかり、排ガス浄化装置で使われる貴金属の価格が高騰していることも逆風のようです。

厳しくなる一方の排ガス規制に加えて将来の電動化や今後の日本市場の需要先細りまで見据えるとメーカー各社としては今の需要が旺盛だからといって内燃機関の新モデルをお金に糸目をつけずに開発、という状況では到底ないということのようです。

 私にとっては昨今の状況は空前のバイクブームどころか、「バイク界の黄昏」 のように思えてなりません。

 

 もう一つの私なりの懸念事項は一向に減らないバイク事故です。

この表は 「令和3年版 交通安全白書」 の交通事故死者数の推移の数字を拾って作成したグラフです。

もう一つは同じ交通安全白書の数字をもとに作った2010年を基準とした2020年の死者数減少率の表です。

これらを見るに、2020年の自動二輪乗車中の死者数の絶対値はトップ2の歩行中や自動車乗車中に比べて半分以下であるものの、減少率は自動二輪乗車中は他のシチュエーションに比べて最も減少幅が少なくなっています (= 死者数があまり減っていない)。このことは折れ線グラフの右下がり具合を見ても一目瞭然。

歩行中、自動車乗車中は歴然と右下がり、自転車乗車中と原付乗車中も緩やかではあるものの右下がりであるのに対して自動二輪乗車中は微減・横ばいです。

どころか、2020年は前年と比較すると若干ではあるものの増えてさえいます。

こういった死亡事故件数の多さも昨今の「空前のバイクブーム」に水を差すものです。

 

冒頭に紹介した2022年6月7日付け日経産業新聞の記事ではこのことに触れるとともに、記者の実体験として危なっかしげな初心者に加えて車列間や路肩をすり抜けするベテランライダーにも言及しています。

この記事ではさらに、一向に減らない自動二輪車の事故へのメーカー側の取組みとして、自動二輪車に自動車並みの自動ブレーキシステムを搭載する試みについても紹介されています。

記事にも書かれていますが我々ライダーにとっては、意図しないタイミングで想定外の強さで制動されるとかえって車体挙動が不安定になるであろうことは容易に想像が付きます。クルマで普及したものをそのままバイクにも、とはいかない訳です。

また、ただでさえ高騰気味の車両価格がおせっかいな上にさほど安全性向上に貢献するとも思えないギミックの搭載で更にハネ上がるとなると、バイク界にとってよいことなのか悪いことなのか、よくわからない話になってきます。

 

 こういったバイクを巡る難しい諸問題に対して、いちライダーである自分になにかできることがあるのだろうか?というのはここ数年の私の中の課題であり疑問でもあります。

 前半の環境問題については正直、良い回答は得られていません。

自動車に比べて快適ではなく、多くの人も荷物も運ぶことはできず、移動の手段としては甚だ効率が悪いバイクという乗り物。生活の足というにはあまりにも不便でどう言い訳しようとも趣味の乗り物です。ましてや通勤でも通学でもなくただパイロンを並べたコースを走り回る練習会に至ってはもはやいかなる言い訳も思いつきません。その趣味の乗り物が二酸化炭素を排出することをもしも面と向かって非難されたら、どうにも抗弁のしようがありません。

我々にできるのは無意味な暖機運転はしない、空ぶかしはしない、街なかで必要以上に急加速して無駄にガソリンを消費しない、といった程度でしょうか。

要は人の目があるところで悪目立ちするような乗り方はしない、ということですね。

また練習会ではむやみに本数をこなすのではなく、考えながら実のある練習を心がけたいです。

 

 一方で後半に述べた安全に関しては、バイクを後ろ指さされるような乗り物にしないために我々が関与できる余地は比較的大きいと思います。

これは安全に、マナーよく乗りましょう、に尽きます。

安全運転の技量向上については福岡県について言えば県内や近隣他県で開催されるグッドライダーミーティングのような講習会や、長井鶴交通公園(宮若市)や小石原川ダムふれあい公園(朝倉市) のような練習場所もあり環境的には比較的恵まれています。また、伝手がないと参加が難しかったりするケースもありますが一般の練習会もいくつかあります。

私のように安全運転の技量向上のための練習が楽しくて仕方がない、という人間にはこういった類の練習は一石二鳥です。

それともう一つ安全ということに関して言うと、ヘルメットは当たり前のことながらプロテクター類の着用というのも比較的簡単に実行できて効果も期待できる手段です。私は通勤のような普段使いでもバイクに乗っていますが、どんなに短距離であっても炎暑の夏でもプロテクター内蔵のジャケットと膝にパッドを入れることができるパンツを必ず着用しています。

そして、マナーよく乗る。これはお金も労力もかけず、誰でもできます。

不正改造したバイクで暴走行為などはマナー以前の問題なのでここでは割愛しましょう。それよりも日常よく目にするケースに話を絞ります。

クルマとクルマの間をすり抜けて車列の先頭に出たところで目的地につくまでの時間はそれほど変わらないでしょう。リスクを取る価値はないと思います。クルマのドライバーから買う反感の大きさと比べたら割に合いません。

路肩には変なものが落ちていてパンクするリスクもあります。ここを走るのもデメリットのほうが大きいと思います。

以前に比べて数が減ったバイクはその分、道路上では存在感が際立ちます。皆に見られています。見られて舌打ちされるより、私はマナーよく乗って「バイク乗りってかっこいいな。」と思われたいです。

私一人ができることは微々たるもので、バイク界の将来は決して明るいものではなさそうですが、多くのライダーがマナーよく乗って、事故が激減して世間の見方が変わって「まあ、クルマに比べて排気量も比較的小さいし、そもそも数も少ないんだからバイクは排ガス規制、大目に見ても良くない?」 てな感じに世間の空気が変わらないかなぁ、なんて期待するのは少々楽観的過ぎますかね (^^;)。

 

 2021年3月納車のGSX-S750、乗り始めて早くも一年と少し経過しました。

納車直後は「新しい車両だ…。」という新鮮さや嬉しさがあったり、前の車両(GSX-S150)を基準に見てしまうのであまり客観的にその車両のことを判断できないと思いますが1年間、みっちりと練習会などで乗ってきたので良いところもイマイチなところも今ならキチンと評価できると思います。

 

良いと思うところ

1) 総じて扱いやすい

サイズは大きく見えるのですが、タンク両側に張り出したシュラウドのせいでそう見えるという面が大きいと思います。

乗って、操ってみると750ccというのはやはりミドルクラスだな、と感じられます。

装備重量は212kg、重心が高めなので最初は取り回し (駐輪場での押したり引いたり) に苦労する場面も少しありましたがすぐに慣れました。

身長170cm、体重57kgの標準的、いや少しひょろめのオジサンである私でも大丈夫、ということは言えます。

また、立ちゴケした場合は恥ずかしさもあって普段出ないような力を振り絞ってエイヤッと起こすせいもありますが、重いながらも一人で起こせます。

絶対的な重量を考えると小柄な方や女性はちょっと苦労するかもしれません。

運転面での扱いやすさは特筆してよいと思います。アクセルを戻したときのエンジンブレーキの効き方は非常に穏やか。

S150の場合はシフトダウンで減速する際にクラッチを繋ぐ直前にブリッピングを入れてエンジンブレーキの効きを穏やかにしていましたが、S750ではそのような配慮は無用。シフトダウン後のクラッチミートが少し雑になっても強烈なエンジンブレーキでショックを受けるということはほとんどありません。特に扱いやすいと感じるのは、アクセルを戻してエンジンブレーキで少し速度を落としてそのまま再度アクセル開で加速するような場面。

S150のような単気筒では神経質になるようなシーンですが、S750ではよほど乱暴なアクセル操作をしない限りはスムーズにこなせます。

野獣の牙を模したというヘッドライト脇のポジションランプや、マッチョなシュラウドのようないかつい外観とは裏腹にとてもジェントルで扱いやすいバイクです。

 

2) 余裕ある性能

750ccで112ps。これ以上、何が要るのでしょうか?の性能です。

コレだけパワーがあれば街乗りは充分。交通の流れに乗れないなどありえません。

高速道路はと言うと、実は1年ちょっと乗っていて、高速に乗ったのは2022年の5月、下関で開催の練習会にお邪魔した道中が最初でした。

S150で高速道路を走った際には、性能を使い切るとまでは行かないにせよ、エンジン頑張ってますネ!的なものを感じましたが、S750では余裕綽々。

エンジンパワーに余裕があると逆にガツガツ走ろうと思わず、心にも余裕ができることを知りました。また、動力性能に余裕があると長距離走ってもあまり疲れませんね。

クローズドコースでマシンの限界を引き出すような場面ならいざしらず、もし高速道路も含めた日常使いでこの性能に不足を感じるようなら、ちょっと危険なのでバイクに乗るのは控えたほうが良いかと思います。

 

3) フィーリングが良い

2019年のスズキ ファンライドフェスタでこのGSX-S750に乗ってそのフィーリングにココロをわしづかみにされて購入に至ったのですが、自分の愛機として日々乗っているとこの選択は間違っていなかったな、としみじみ思います。

四気筒にじっくり乗るのは (教習所のCB400SFを除いて) 初めてなので他メーカーの四発との相対比較はできていないのですが、エンジンはパワフルなのに極めてスムーズ。それでいて無表情かというとさにあらず、ハンドルを通じて伝わってくる微妙なエンジンの振動が実にイイ。

スムーズだけど調教され切ってはいないというか、「今は大人しくしてるけどいつでも暴れる準備はできてるゼ」 とエンジンが主張しているような、そんな感じ。

グレタ・トゥーンべリさん (スゥエーデンの著名な環境活動家) に叱られるかもしれませんが、一度コレを味わってしまうとやっぱり電動バイクなんかには乗れないな、とついつい思ってしまいます。(電動バイク、乗ったことありませんが…。)

それと、吸気音や排気音と言った音関係が心地よいです。マフラーはノーマルのままですが野太いけれどうるさくはないという絶妙なところを突いてます。全然知らない方から突然、「音、いいっすね!」と話しかけられたことも一度や二度にあらず。それと、吸気音だと思うのですが、アクセルを戻したときの「ヒューン」という感じの音。

練習会でスラロームコースを走っていて調子が良いとき、アクセルを開けたときの排気音と閉じたときの吸気音が生み出すリズムが実に心地良いんです。

 

4) 手が届く価格帯

大型自動二輪のカテゴリで四気筒で新車で100万円以下で購入可能、となるとこのGSX-S750以外に選択肢はそれほど多くないと思います。

(知る限りではホンダのCB650Rくらいでしょうか。)

メーターがアナログでスマホ連携できないとか、サイドスタンドがパイプの先端を潰しただけみたいだとか、大した電子制御はついていないとか、あらを探すと色々ありますが、タイヤはノーマルでBATTLAX HYPERSPORT S21(まあ特筆するほどではないにせよ)、エンジンは上述の通り、フロントのブレーキキャリパーはラジアルマウントだったり、ABSもトラクションコントロールもちゃんと装備していて走りに直結する部分にはシッカリお金がかかっているので心配は御無用。

要不要のメリハリを付けて手の届く価格で提供するというスズキの姿勢は若者のバイク離れが深刻な昨今、もっと評価されて然るべきと思います。

 

もうちょっと頑張れるかな、と思うところ

あまりないのですが、強いて挙げるならばクラッチが重いところでしょうか。

ちょっと前の大型車並みだとは思いますが兄貴分のGSX-S1000あたりと握り比べても重めです。

普段乗りで不便を感じるほどではないのですが、渋滞でのストップアンドゴーが長くなってくると人差し指と中指の二本掛けが苦しくなってきます。

また、信号待ちで一速に入れてクラッチを切った状態で青になるまで待つというのも二本掛けではしんどいです。私は信号待ちのときはニュートラルに入れてます。

私はクラッチレバーの先端近くに指を掛けるなどいろいろ工夫してますが手が小さめの方、握力に不安がある女性などは苦戦するかもしれません。

あと数万払っても良いのでアシストアンドスリッパークラッチがついたらこのバイク、申し分ないです。

 

結論

普段GSX-S750に乗りながら感じたことをいくつかの評価軸で整理してみましたが、端的に表現するならば 「唯一無二、孤高の750cc」 と言った感じでしょうか。

このモデルを世に出してくれたスズキの開発陣に心から御礼を言いたいです。

教習所で大型自動二輪の免許が取得できるようになり、どうせ乗るならリッタークラスという感じでライダーの目が1000cc以上のモデルに向く中、バイクメーカー各社のラインナップ動向を見るに、国内正規モデルに話を限定するならば早晩750cc四気筒というカテゴリーのモデルは市場から消えるのかもしれません。もしかしたらGSX-S750はこのカテゴリーの最後のモデルになる可能性すらあります。

"孤高" という言葉にはこのモデルがこのカテゴリーの一つの到達点、一つの完成形であるという賛辞と、もはやこのモデルのこの地位を脅かす後継車種はスズキからも他メーカーからも出ないかもしれないという一抹の寂しさの両方の意味を込めたつもりです。

 

カーボンニュートラルへの対応や若者のバイク離れなど、今後のバイク業界がどうなっていくのか、予断を許さない状況ですが、普通自動二輪のカテゴリーとリッターモデルをつなぐ中間のカテゴリーとして、扱いやすさとパワーのバランスが取れたミドルクラスの良さが見直されて、このクラスのラインナップが充実することを心から願ってやみません。

 ここ数年、上達と速さの追求に明け暮れてきましたが大型バイクに乗り始めて早1年。慣れてきた今こそ安全の基本に立ち返るべきときではないか?と思って実に3年ぶりにグッドライダーミーティングに参加してきました。

 

 福岡県は以前は1年に1回の開催で、参加のたびにアンケートには「複数回開催してください!」と書き続けてきましたが今年は3回、開催される予定です。アンケートで訴え続けてきた甲斐がありました。

 今回、4月2日に参加したのが今年の第一回目。場所は筑豊自動車運転免許試験場 (飯塚市鶴三緒) です。年1回のときは筑後運転免許試験場だったのでここは初めてです。

かなり広々した感じです。

北九州に住む身としては筑後まで行くのはまあまあ覚悟がいるので飯塚で開催してもらえるのは実にありがたいです。

以前は参加者が結構多くてごった返していたような記憶でしたが3回開催で分散したせいか、人数としてはそこまで多くはない印象です。

参加者も三々五々集まってきて時間になり開講式。

この日は今シーズンの初回ということもあり、コースも比較的難度低めに設定していただいているとの由。ありがたいデス。

二輪普及安全協会の方のご挨拶を聞いていて、「今日は速く走らなくていいんだな…。」 と、しみじみ感じて何やらホッとしたような心持ちになりました。

思えば免許取得以降、バイクの練習ができる環境を求めて暗中模索の日々。グッドライダーミーティングに始まり、長井鶴を経て、練習会へ。

練習会に参加するようになってからはひたすら速くなること、上手くなることのみを追い求めてきたような気がします。

それがいつの頃からか、速くなくては、上手くなくては、こんなに練習しているのになぜ?! にすり替わってバイクに乗るのが億劫になったこともありました。まさに本末転倒。

初めてApe50に乗って風を切ったときは時速30kmでも世界が変わったかのように楽しかったのに…。

普通自動二輪免許取得後、北九州で1番安全なライダーになるという目標を胸に初めてグッドライダーミーティングに参加したときのこと…。

短いご挨拶を聞きながらあんなこと、こんなことが頭の中に思い浮かんできました。

 

 ともあれ、ご挨拶も一通り終わり講習開始。まずはライディングポジションについて。ライポジについては思い出があって、初めて参加したグッドライダーミーティングで、白バイ隊員の方に 「上手になるためには普段乗りの際に何を意識すればいいですか?」 と質問したところ 「乗車姿勢。」 と即答されました。

正直、もっとテクニカルな答えを期待していたのでなんだか拍子抜けしたことを覚えていますが、他の隊員さんも一様に頷いていたので何はともあれ、ネットや書籍で正しいライディングポジションを研究し、自分なりに意識しながら乗ってきましたが今にして思えば最も意識すべきは乗車姿勢、というのはまさしく至言。正しい乗車姿勢無くしてはその上に何を積み上げても砂上の楼閣ですから。

 とか、思いながら自分が意識してきたことを復習する気持ちで指導員さんの説明に耳を傾けました。

それから慣熟走行("慣熟" といいながらまあ、結構なペースでしたが) を経ていよいよコース走行。

 

 そうこうするうちに早くもお昼休み。

個人的にはお昼のお弁当がグッドライダーミーティングの楽しみの一つだったりします。

何の変哲もない幕の内弁当ですが、グッドライダーミーティングの場で食べるとなんだか数段美味しく思えたりするのです。

思えば2,000円の参加費で一日指導が受けられて、お弁当に飲み物まで付くって、相当お得ですよ。コレは。

 

 この日の講習で、自分の中で特に課題というか、シッカリやろうと思っていたのが急制動の練習です。

この練習ばかりは公道ではもちろんできないし、普段の練習会でもまずやらないのでこの機会にしっかりと学び直そうと心に決めていました。

その意味では、午後イチの指導員さんのパニックブレーキの実演もとても勉強になりました。

パニック状態でのブレーキングではまず、安全には停止できないことがよくわかりました。

まずはパニックブレーキをかけなくてはならないような状況にならないよう、その手前の危険予知 (いわゆる、かもしれない運転) が大事だと改めて思った次第です。

 

 時間はあっという間に過ぎて、15時に閉会となりましたが、以前に参加したグッドライダーミーティングで一緒だった方と再開できたり、休憩時間にバイクの話ができたりと、とても楽しい一日でした。

ライディングスキル的に、安全運転の面で、いずれにおいてもやはりグッドライダーミーティングはとてもためになったのですが、私としてはこれらに加えて 「楽しかった」 と思えたことが一番良かったと思います。

バイク、特に大型のバイクに実用性を求めるのはちょっと方向違いで、やはりその魅力は乗って楽しいこと。楽しむための乗り物に一日乗って、「ああ、楽しかった。」と当たり前に思えること。このバイクの原点に改めて気づかせてもらえるのがグッドライダーミーティングかな、と思います。

普段参加している練習会ももちろん、私にとって貴重で大切な場所ですが、安全意識の高さという普段の練習会とは違った共通項で繋がったメンバーが集まるグッドライダーミーティングも私にとっては大切な場だな、と改めて感じた一日でした。

 なんだか最終回っぽいタイトルですが、別段店じまいするわけではありません。

 均すとおよそ2週間に1回程度、今は練習会に参加しています。

練習したい、うまくなりたい、練習できる場所や仲間を求めて探し回って、巡り巡って今の練習会にようやくたどり着きました。

 参加し始めて1年とちょっと。無我夢中で練習してきましたが最近ちょっと疲れ気味というか、参加するのがやや億劫になっていることに気づきました。何ということ。あれほど探し求めた練習の場なのに。

 はじめはいいペースでうまくなっていっていた (と、自分では感じていた) のがいつの頃からか練習量ほどには伸びなくなってきました。

タイム計測をすると、その日の最初に出したタイムを夕方までに一日必死こいて何秒か縮めて、やった!と思っても上級者は自分が一日かけて出したタイムより遥かに早く、ウォーミングアップで走っている。

YouTubeで参考になりそうな動画を見て、上手い人の走りを見て自分と比べたり、書籍やWebで情報を漁ったり、何をやってもうまく行かない。

ある日、練習会に向かう途中でなんだかドンヨリしている自分に気づきました。

オレこれを楽しいと思ってるのだろうか…と。

 といったことを感じていた先日、練習会の際に師と仰ぐ人に 「最近、さっぱりタイムが縮まらなくて…。」 みたいなことを何気なく話したところ、その方も以前そういうことがあったとの由。

その方は若い頃にミニバイクのレースをしていたそうですが、レースなので自分の走りや他の人との優劣がタイムで定量的に表示されます。ある時からそのタイムを見るのが苦痛でレース活動自体が次第に面白くなくなり、ある日、トランポの車にバイクを積みながら、オレこれを楽しいと思ってるのかな…と感じたそうです。

 練習会の中でも指折りの凄腕の人にもそんなことがあったのか、となんだか私も気が楽になりました。

タイムを計測するのも悪くはないのですが、他人との比較となると途端にプレッシャーが生じて楽しくなくなります。(自分が他の誰よりも圧倒的に速ければまた話は別かもしれませんが…。)

 そもそも、自分はなぜバイクに乗っているのか。

バイクに初めて乗った時のことから改めてさかのぼって思い出してみました。

バイク屋の人にミッション操作の方法をざっと聞いて、Ape50でおっかなびっくり走り始めた時のこと。

初めてGSX-S150に乗って広い国道のど真ん中を走った時の感動。

その頃、運転技術は今より格段に拙くても、今の自分より遥かに大きな楽しさを感じていました。

人見知りの自分が知らない人しかいない練習会に飛び込んだのは、嫌というほど練習できる場所と新しい出会いを求めてのこと。

 そういったバイクの楽しさやバイクに抱いていた期待を忘れて目の前のタイムや上手い人との優劣の比較といった袋小路に入り込んでバイクに乗るのが億劫になるなんて、なんともモッタイナイ話じゃないですか。

 といったわけで先週の練習会は 「とにかく楽しもう!楽しくなけりゃバイクじゃない!原点回帰!」 を念頭に参加しました。

自分がやりたい練習を嫌というほどできる楽しさ。

定常円8の字をひたすら回る。アクセルワーク、ブレーキワーク、車体を大きく動かす、ニーグリップで車体をコントロール、上半身を脱力…。いろんなことを考えながらする練習は楽しい。自分は地味な練習が好きなんだなぁ、と再認識する。

18m間隔で並べたパイロンをひたすらオーバルで回る。右旋回はスムーズだけど、左旋回はイマイチぎこちない。右と左で何が違うのだろう?考えながらの練習は楽しい。

私のオーバルを見ていた人から逆操舵を意識したらいいかも、とアドバイスをもらう。やってみるとさっきよりスムーズに旋回できる。仲間との対話は楽しい。

タイム計測コースを走る。自分のタイムの伸びだけを意識する。そもそも、他の人が自分より速かろうが遅かろうが自分のタイムには何の影響もないじゃないか。

コース全体のどこを速く走れればより効率よくタイムが縮まるか、自分がどこでタイムをロスしているか、考えながら走る。様々なライン取りを試しながら走る。こういった工夫の積み重ねもまた楽し。

昼から夕方にかけて、走るたびにタイムが少しずつ縮まってきた。これは楽しい。

タイム計測がないスラロームコースのときはトレイン走行という楽しみがある。上手な人の後ろに何台も並んでいる。よし、自分も。

上手な人はどんなラインで走っているのだろう。考えながら必死でついていくのはとても勉強になるし、何より連なって走るのって楽しい。

 バイクに限らず、「楽しいかどうか」 は大切な評価基準だと思います。

バイクのような趣味性の高い乗り物の場合は尚更そうだと思います。

荷物も積めない、夏は暑く冬は寒い。雨に降られればずぶ濡れ。楽しくないならとてもじゃないけど乗ってられません。

趣味でやっているのだから楽しいことはある意味当たり前の話で、最初は「楽しい!」と感じながらやっていたはずです。しかし真面目に熱心に取り組むほどこの当たり前が見えなくなることが往々にしてあります。

変な袋小路に入り込んでバイクの楽しさを見失いかけていましたがそこから引き戻してくれたのは練習会で出会った仲間との何気ない会話でした。

練習会って、やっぱり楽しいです。

 GSX-S750に乗り換えたばかりの頃に練習会でS1000に乗っている方にタイヤ交換頻度について尋ねたさいには 「こういうところ(練習会)で走ってると結構消耗が早くて、6,000kmくらいで交換かなぁ。」 と言われたのですが、この度、2,500km(!)でタイヤを交換することとなりました。

S150では3年間で一度もタイヤ交換はしないまま乗り換えたので初のタイヤ交換となります。

 それにしても2,500kmとは、とんだ想定外…。

 

写真左はフロントタイヤで、写真ではわかりにくいのですがサイド部分はほぼ溝がなく、センターもスリップサインが見えています。練習会に参加している猛者たちに診てもらったところ、持ってあと練習会1、2回分との由。

写真右のリアタイヤはフロントよりはややマシですがスリップサインが見えかけていてこちらも時間の問題といった感じです。

フロントのサイド側が極端に減っているのは212kgという車重もさることながら以前に比べて旋回時にフロントブレーキをしっかり使えるようになったことが大きいと思っています。

 フロントブレーキが有効に使えないと悩んでいた時期もあったのでこれはこれでちょっと嬉しい気もしますが、出費を考えると2,500kmでの交換はやはり痛いですね。

ちなみに、これも練習会メンバー情報ですがS750が履いているのはブリジストンの BATTLAX HYPERSPORT S21 ですが、BATTLAXはフロントのサイドの偏摩耗が顕著に出やすい傾向にあるとのことです。

(あくまで一般ユーザーの経験則の範囲の話ですが。)

 

 あまり交換を引き伸ばしてスリップ、転倒というのも面白くないので何はともあれ、タイヤ交換の手配から。

せっかく交換するなら (違いがわかるかどうかはともかくとして) 別のタイヤを試してみたいと思い、練習会で師事している方にどのメーカーの何が良いか相談してみたところ、候補を2つあげてくれました。

 ・MICHELIN PILOT POWER 2CT

 ・PIRELLI DIABLO ROSSO2

交換する店舗は 「Naps 福岡店」 。これまた練習会で師事している方に福岡-北九州界隈のタイヤ価格情勢をヒアリングして決めました。Naps福岡店ではバイクに乗りはじめの頃からよく買い物をしているのでおなじみです。

電話でタイヤの在庫状況を確認したところ、前者のミシュランはあいにく店頭在庫がなく取り寄せに時間を要するとのこと。後者のピレリは店頭在庫あり。ということで今回はピレリに決定。

ちなみにお値段は、タイヤそのものの価格+外したタイヤの処分料+工賃+その他諸々で前後合わせて\45,000強。

んー、高いなぁ。でもこればかりは致し方なし。

 

 Napsでは作業を待っている間にピット内を見ることができます。タイヤ交換とはどのような作業か、しげしげと観察。

(それにしてもGSX-S750、どこから見てもかっこいいな…。)

 

作業を見ていると、滞りなくスムーズに進んでいきます。一見、簡単そうに見えますがこれはメカニックの方が作業に慣れていて、充分に広い作業スペースがあり、適切なツールが手の届くところにちゃんと揃っているからこそ。経験無し、道具もろくに持っていない、マンション住まいの身ではちょっとハードルが高い作業のようです。

バイク周りのことで自分でできることは極力、自分でやりたいとは思うのですが、タイヤ交換に関しては (少なくとも現時点では) ちょっとムリそうです。

単に古いタイヤを外して新しいタイヤに交換するのみではなく、重量配分が均等になるようにウエイト位置を変えるといった細かな調整も必要なようです。こういった人手がかかる作業に対して然るべき対価を払わなくてはバイクショップもやっていけないよな、と改めて感じた次第。

(痛い出費であることは否定できないにせよ。)

 

 なにはともあれ、交換も無事に済んで、初めての練習会。

サイドまでちゃんと溝がある!(当たり前ですが…。)

新品のBATTLAXと定量的に測り比べたわけではなくあくまで見た目の印象だけの話ですが、ROSSO2は溝が深く、スリップサインがその深い溝の底の方にあるように感じられます。

タイヤ表面が一皮むけるまで、最初の方はそろりと走り、午後からは少しペースアップして走ってみました。

タイヤの違いなんて、自分にはわかるわけないと思っていましたが、ペースを上げて旋回に入ってもなんとなく安心感があるように思えます。

とは言ってもBATTLAX S21よりROSSO2がよいということではなく、摩耗を心配しながら走っていたのが、その心配をしなくて良くなったという事の効果が大きいと思われます。

いずれにせよROSSO2、好感触です。

余談ですが、BATTLAXのS21はなかなかのハイグリップタイヤで、S750にデフォルトでこのタイヤを履かせているというのはスズキというメーカーの良心の顕れだな、と私は感じています。

 タイヤ周りはなかなかお金がかかりますが、今後も交換の機会があれば今回見送ったミシュランをはじめとして、色々試してみたいです。

(でも、今回交換したタイヤにはなるべく長く持ってもらいたいです。)