脱9条のススメ    護憲・リベラルのための憲法9条講座 -21ページ目

脱9条のススメ    護憲・リベラルのための憲法9条講座

かつてガチガチの9条平和主義者だった私がその大矛盾に気づいてしまいました。
様々なテーマでリベラルの視点から、具体的・論理的に脱9条論を展開します。

【答え】
 


9条を改正しようとしまいと、日本はこの60年間軍事力を整備して来ました。それはアメリカの要請と日本政府の判断によるもので,今の体制が続く限りこの先も同様だと考えるべきでしょう。(そのままで良いと言っているわけではありません)ただ
日本が世界に脅威を与えるほどの軍事大国になることなど、まずアメリカが望まないし、アメリカが望まないほどの軍事力など日本が持てるはずもありません。


 

アジアの国々に脅威を与えている軍事大国といえば普通に考えてまず中国でしょう。この10年間で軍備予算は10倍になり、周辺諸国の領土・領海を次々に脅かしている。そして北朝鮮。国際的な約束を次々と破り、核開発・ミサイル開発を強引に進め、韓国延坪島には突然大砲ぶち込んで十人以上もの死傷者を出す。こういう国を近くに持つアジアの国々にしてみれば、日本や韓国など民主化・近代化された文明国が、より軍事力を整備して中国や北朝鮮を抑止・牽制して欲しいと思うのがフツウでしょう。実際、いきなり大砲をぶちこまれた韓国は(形式的に?)大砲を打ち返しはしたものの、全面戦争とはならないような冷静な対応を見せました。このように

近代化・民主化された国はそう簡単には戦争など始められないというのが現実世界です。日本にとってももちろん同様です。

 


 

しかし9条さんたちはそうした現実を決して見ようとはしません。あいも変わらず戦争を仕掛けるのは日本、他の国はそんな悪いことは決してしないという“9条の定理”(主張1 参照 )を疑うことはありません。アジアの軍事的脅威と言えばムカシも今も日本に決まっているのだ、と。

 


 

近代化・民主化された国はそう簡単に戦争など始められない、と言いましたがアメリカ・フランスなどの核保有・軍事超大国は別です。フランスなどはそれでも国連決議などの無い軍事行動は起こしませんが、アメリカは時にそんなものお構いなしに暴走する。イラク戦争がまさに国連決議も大義もない戦争だったわけですが、日本はいち早くこの暴走戦争への支持を表明しました。そして給油活動など現場でもアメリカ軍を全面的に支援した。もちろんこの時も憲法9条は健在です。改正なんかされていません。

 


 

こうしてみると、この項で9条さんが主張している“9条を改正するとアメリカに追従して世界に向けて戦争を仕掛ける。”なんて危惧は意味を成さないことになります。だって9条があったってアメリカに追従してイラクに向けて戦争を仕掛けているんだから、既に。

 

一方で、フランス・ドイツ・カナダなどはアメリカと強力な軍事同盟国でありながら(ドイツやカナダには米軍基地もあります)アメリカのイラク戦争に支持も協力もせず、これをを非難しました。(もちろんこれらの国は憲法9条など持っていません。)

 

ということは“アメリカに追従して戦争をすること”と憲法9条の間には何の関係もないことがわかります。

 

 

 

 ではフランス・ドイツ・カナダと他の同盟国とは何が違うのか。と、これが一言で説明出来ればハナシは簡単なのですが、一つ一つの国についての事情については色々と説明がされていますがこの三カ国だけにあって他の同盟国にはないものを見つけるのはなかなか難しい。ただはっきりしているのは自国の意思を明確に持つためには、たとえ何らかの軍事同盟に加盟していても、最後の最後には自分の国は自分で守るという明確な意志とそれを支えるシステムを持っていることでしょう。現在の日本にはそんな意思もシステムもありません。だから地位協定にしてもアメリカと対等な交渉など出来るはずもない。同じ敗戦国であるドイツが対等な交渉を進め、地位協定を改定してきたこととは対照的です。尖閣問題などについても、はたしてアメリカが守ってくれるのかばかり気にしてるのが現状です。そしてイラク開戦時には小泉首相はまっさきに支持を表明した。国防をほぼ全面的にアメリカに頼っているあのコスタリカがイラク戦争で“有志連合”に名を連ねていたのも象徴的です。

 

 

 

 つまりハッキリしているのは、アメリカに追従して大義のない戦争をしないためには、アメリカに頼らなくても最後の最後には自分の国は自分で守るという明確な意志を持つ事が最低限必要だという事です。9条の文面を守ることなんか何の役にも立たないことはイラク戦争における日本の対応でハッキリと証明されてしまったのです。

 


 

 一方で、“アメリカに追従する戦争”とは別に、“かつてのように日本が独自に世界に向けて戦争を仕掛ける”事を危惧する声も聞かれます。しかしこれこそが“戦争の歴史”を全く学んでいない人の発言でしょう。

 

 

 

 確かにかつて日本が世界に向けてムチャな戦争を仕掛けて大きな失敗をしてしまったのは事実でしょう。しかしこの事実は日本の政府や軍部や国民が自らの意思で選択し行動した結果であると同時に、

世界史の大きな流れの中の出来事

である事も見逃してはなりません。

 

 

 

 16世紀に始まる大航海時代のヨーロッパ列強(英国・スペイン・ポルトガル・オランダ・フランス等)による世界の植民地化は、この後アメリカも後を追い20世紀まで続きます。この時代、軍事力によって世界を侵略し植民地化することは列強にとって間違いなく“国益”にかなっていたということです。こうした中、ヨーロッパにおける後発国であるドイツ・イタリアと、アジアで唯一列強に対抗しようとした日本が世界の植民地争奪戦に参加しようとしたのが世界史の大きな流れの中における第二次世界大戦の位置づけになります。

 


 

結果、ドイツ・イタリア・日本は惨敗したわけですが、既存の列強も大きな傷を負い、世界の歴史はここで大きく流れを変えることになります。列強による“弱小国”の侵略・植民地化が列強の国益にかなっていた時代は終わり、新たな列強の参加、そして世界の植民地が飽和状態になったことにより列強同志の戦争が避けられなくなり、結果、侵略・植民地化が列強にとっても“国益”に合わなくなったということです。国際連合が設立され、既に独立していた中南米諸国に続いてアジア・アフリカ諸国が次々に独立を果たします。

植民地化のための侵略戦争の時代は事実上終ったということです。

 

 

 

 この後、東西冷戦下の朝鮮戦争・ベトナム戦争などがあり日本も大きく関わることになりますが、東西冷戦の終了により、当然冷戦下の戦争の時代も終わりを告げます。この後湾岸戦争・イラク戦争も含め、戦争といえばほぼ局地戦や民族紛争・内戦だけの時代を迎えます。

 

 

 

 こうした世界の戦争の歴史を経て現在があるわけですが、はて、“9条を変えると日本がかつてのように世界に向けて戦争を仕掛ける”と唱える人は日本が何のためにどんな戦争を何処にしかけると考えているのでしょう。今時、領土的野心に駆られ、

安い労働力と資源を求めて侵略戦争でもするのですか。そんな物が欲しければ途上国に投資して資源開発するなり工場建てるなりすればいいだけで、こちらも儲かる途上国も喜ぶで何の問題もない

自国の兵士を送り込み世界のヒンシュクを買ってまで侵略戦争を仕掛ける必要なんて全くないわけです。

 

 

 

 それでもまあ最悪の事態を想定しておくのは良いことです。何しろ9条さんにとっては日本というのはリクツも何もなく凶悪な戦争を仕掛ける唯一の国なわけですから。(9条の定理・主張1参照)

 

 仮に日本がそのような損得勘定も見通しもない侵略戦争を計画したとしましょう。

まあたちまち同盟国アメリカに取り押さえられてそんな計画はトンザです。更に最悪の事態を想定して、アメリカにうまく根回しするとか、アメリカとの同盟関係を解消してまでも独自の侵略戦争に乗り出したとしましょうか。すぐに国連で日本への非難決議がなされ、それでも日本がその侵略戦争を辞めなければ国連での武力制裁決議にもとずき、NATO軍だの中国軍だのが国連軍を形成して日本軍に攻撃を仕掛けます。核を持たない日本軍はたちまち制圧されて終わりということになります。

 

 

 

 もういいでしょう。このように今の時代、核も持たない国が大義のない侵略戦争など出きっこないんです。する必要もないし。つまりこの先もし日本が単独で戦争をせざるをえない時が来るとしたらそれは“世界が認める自衛戦争”しかありえません。

 

 

 

 もちろんこのような外圧やら武力行使やらで日本の暴走が止められる前に日本人自身がこのような選択をするはずはないと私は思っているし、仮にそうなりかけたとしても日本の民主主義がしっかりと機能してそのような暴走はさせないと思っています。しかし

いわゆる戦後民主主義が大好きな護憲派の皆さんに限って日本人の民主主義を信用していないようです。


自衛隊を、憲法上合法なものにするという民主的なシステムに組み込んだ途端、日本の民主主義は機能しなくなり日本が軍事的暴走を始めると信じて疑わない。そういう護憲派さんたちの心配を払拭するためにこんなナサケナイ“世界による日本制裁”の話を持ちださざるをえないわけです。

 

(“集団的自衛権で日本はアメリカの戦争に巻き込まれるのか
経済至上主義は戦争を導きのか ”も御覧ください)
【答え】 
おっしゃっていることがよくわかりません。日本が今まで“9条を基軸とした平和外交”に徹してきたというのは何を指しているのでしょうか。戦後を振り返ってみても、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争と日本はず~~~っとアメリカの戦争外交に追従して来ました。アメリカなどその一方では、時に第三者として紛争国同志を話し合いのテーブルに付かせるなど、平和外交も間違いなくおこなって来ましたが、日本がそういうことを持ちかけた事など基本的にはありません。

 

 

 国連など国際機関などでも、軍縮決議や核使用凍結決議などで、ことごとくアメリカに追従して反対票を投じてきました。これらには核保有国である英国までが賛成したものも含まれます。こうした日本の外交姿勢をどうやったら平和外交などと呼べるのか全くわかりません。

 

 

 

 “主張3”で触れましたが、日本にしろコスタリカにしろ、自国の防衛を基本的に自分で面倒見られない国に自主的な平和外交など出きっこないわけです。もちろん今や自国の防衛を自国だけで全う出来る国などアメリカなどの核保有国などゴクゴクわずかで、そのため、どこも軍事同盟を結んでいます。それでもやはり基本は自分の国は自分で守る。その姿勢があれば、イラク戦争のような大義なき戦争の時に、フランス・ドイツ・カナダのように、例え同盟国であってもアメリカを非難することが出来る。ドイツ・カナダのように自国内にアメリカ軍基地を抱えていてさえ、です。

 

 

 

 まあ9条の文面だけを大事に抱えて、自国の領土すらアメリカがホントに守ってくれるかにばかり心配している国に自主的な“平和外交”なんか出きっこないんです。決して技術や根性の問題などではなく、論理的な問題として。

 
【答え】
 世界のあちこちで国政選挙や地方選挙が行われ、注目すべき選挙活動や選挙結果が
日々日本にも伝えられてきます。中にはホンの数議席にしろその国で初めて極右政党が議 席をとったとか、反原発政党が議席を伸ばしたとかも日本に伝えられるわけです。そんな時代にもし9条を認め見習おうなどという政党がどこかの国に出現し議席の一つでも取ろ  うものなら日本では大ニュースになるはずです。が、そんな話は聞いたことがない。  


もちろん議席こそがその国の有権者の意識のすべてを表すと言うつもりはありませんが、  

“世界が”認め見習おうとしている、というからには少しなりとも世界の何処かでくらいは議席に反映するのではないでしょうか。そうした裏付けもなしに“1周前を走っている” 

とか言われても、これはこの発言者の勝手な思い込みであるという他ありません。 

  
まあこの人もただウソッパチを並べているわけではないのでしょう。きっと世界の何処  
かで9条を褒めてくれるヘンな人とか社交辞令が上手な人何人かに会ったことがあるのだと思います。 きっと世界の何処かにも9条の条文だけを見て現実は知らずに日本に憧れてしまうおっちょこちょいが居るのでしょう。


“軍事力は持たない”などといっても実際には自衛隊を持ち、世界最強の米軍が世界最大レベルの基地を持ち日本の軍事力の肩代わりをしているという現実を知らずに“こんな平和憲法を維持しながら日本のような経済大国が成り立っているのか”とカンチガイしてしまう。、ちょうど日本の護憲派さんがコスタリカのゴク一面だけを聞きかじってコスタリカに憧れてしまうように、です。で、日本人と見るや、“日本はスゴイ。9条はスゴイ。”と持ち上げる。ほめられた9条さんはこれこそ世界の潮流だと思い込んでしまう。


9条に都合の悪い情報は一切耳に入らないが、都合の良い情報だけはいくらでも肥大してしまうという9条さんのいつものパターンです。

  そうではない、と言うのであればぜひ“世界が認め見習おうとしている、”と言えるだけのデータを出してほしいものです。XX国のOOさんとか言う一個人名では無く。