第二弾 「うそでしょ~!?」 みたいなホントの話 | 音楽で旅を!<オトタビ ブログ>

第二弾 「うそでしょ~!?」 みたいなホントの話


木曜日の夜7時頃、無事に愛媛の実家に到着!

早速、その翌日から公演が始まりました。

初日からいきなり 朝 4:00起き ~ 5:30 現地入り ~ 6:30スタート!

地元の倫理法人会のモーニングセミナーでの、演奏とお話でした。




頑張って起きましたとも!
トイピアノを弾いて、しゃべりましたとも!
新たな出会いがありましたとも!

それだけでもラッキーな1日。

ところがところが、さらにさらに!
驚くべき出来事がありました。

演奏、お話、朝食会もすべて終えて、あとは片付けて帰るだけとなった時。

「もしかして昔、茨城県の ○○○○○ で ○○○○○ という舞台に出られ、ピアノを弾かれませんでしたか?」

そう話しかけて下さる方がいらっしゃいました。

実はその方のお顔を見ながら、どこかでお会いしたことがある気がして、時々コンサートにいらして下さっている方かな?、、、と。

でも、茨城と聞いてハッとしました。

私が ≪音旅舎≫ を始める前に所属していた事務所時代。
多分、15~16年ほど前のことです。

当時、全国から実演団体数が集まり、舞台作品をプレゼンテーションする場で、私が制作した舞台を観て、茨城で一早く上演の機会を作って下さった Rさん だったことを思い出しました。

その作品は、大所帯のラテンバンドだったため、公演料金もそれなりに高額で、営業的な難しさも感じつつ……
でもとても面白くて、全国に広げていきたいと、力を注いでいたものです。

「これが観たい!」と選定し、大ホールで上演する機会を下さった方と、まさか故郷でお会いするとは!

しかもあれは茨城県。
ここは四国の愛媛県。
お互いに 「なんでここに?」

聞けば数年前、ご主人様の転勤でたまたま愛媛に移り住まわれ、ご自身も新しい事業を始め、たまたま昨日のモーニングセミナーに参加されたそうです。

あの時の私とは気づかぬまま・・・。

ところが、セミナー終了後の雑談の中で 「昔は打楽器とのアンサンブルもよくやっていた」 と発した私の一言に 「もしや?」 と、改めて名前と顔を見て、思い出して下さったそうです。

それだけでも、奇跡的な再会です。

でも、私にとってRさん との再会は、運命? と思える意味のあるものでした。

というのも・・・

当時のそのラテンバンドの公演は、とても盛り上がり、主催者にもお客様にも満足いただけたと  “思い込んで”  会場をあとにしました。

しかしその後しばらくして Rさん から長いお手紙が届きました。


メンバー全員の演奏技術や構成演出など含めて、公演内容はとても良かったこと。
お客様も概ね満足されて帰られたので、主催者としてはホッとしたこと。

でも。
だからこそ。
私の舞台作りに対する意識について、伝えたいことがあると。。

『演奏のクオリティが高くても、それだけで 「舞台のプロ」 と言えるでしょうか。

あの規模の内容ならば、音響照明もきちんとプロの担当者を配し、もっと完成度を高めることが出来たはず。
そこへの意識や姿勢に、少し、疑問も感じました。
本当に良い舞台にするための予算ならば、私達も 「どうやって捻出すべきか」 知恵を絞り、共に創る覚悟はあっただけに、残念でもありました。
これからの貴女の舞台作りの肝になるのは、きっと意識一つだと思います。
きつい言葉になっているかもしれず、ごめんなさい。
でも、畑さんだから伝えたいと思いました。』


言い回しはもっと柔らかく、言葉を選んで下さっていたと思いますが、主旨はこのような感じでした。



頭をガーンと殴りつけられたような衝撃でした。

当時の私の立場は、バンドリーダーでもあり、コンサート部門の  “雇われ責任者”  。
ノルマはもちろん、低予算で会社に利益を出さなければならない。

ご依頼や駆け引きの末 「高くなるなら他を探す」 と言われるケースも多々あり、仕事を失う怖さばかり考えていました。

社内でもコンサート部門に対して風当たりが強く、私以外はフリー契約の演奏者たちに、内部事情を話すことも出来ない。

私だって精一杯やってるのに。。。

情けなく、悔しく、敗北感に覆われた私は、その手紙を小さく折り畳み、デスクの引き出し奥にしまいこみました。

でも、わかっていたんです。


言い訳


お客様にとっては、数ヶ月に一度、あるいは数年に一度。
もしかしたら、生まれて初めて触れるかもしれない、生の舞台です。
その日その時は “たった1回” のスペシャルなものなのに。

担当者の立場や会社の事情なんて、お客様にとっては関係ないことです。

「その時、あなたはベストを尽くしましたか?」

つきつけられたメッセージに、胸を張れなかった自分がいました。。。

Rさん ご自身も、悩み、言葉を選び、勇気を振り絞ってこの手紙を書かれたのだと、痛いほど伝わってきました。
苦言でもあり、でもそこに 愛 も感じました。


以来、舞台作りをしていく上で、何かに流されそうになった時。
道に悩んだ時。
板挟みの中で苦しくなった時。
断る勇気が必要になった時。

さらにその後、事務所を辞め ≪音旅舎≫ をたちあげた時も。

Rさん にいつ再会しても、恥ずかしくない自分でいたいと思い続けて、今に至っています。


それが 15~16年ぶりに突然、今の私を聴いていただく日が訪れたのですから!
しかも、たまたま帰省した先で!
これって、神様の抜き打ち面接?  (笑)

埼玉から820キロ、自力で運転してきてからの早朝演奏は、正直、眠くなかったといえば嘘になりますが。 (笑)

ありのままの今の自分を見ていただけたこと。
恥ずかしいなど感じることなく、素直に嬉しかったです。
大きなギフトをいただきました。




そのあと場所を移し、再会の喜びやご恩を伝え、お互いの近況報告をし、お別れしました。

その夜届いた Rさん からのメッセージには、こんなことが書かれていました。

「畑さんとの再会に、なんかじわじわ感動してしまって・・(中略)

私は○○○○○で、7年間事務局をやっていましたが、劇団の人に手紙を書いたのは、畑さんへだけでした。
たぶん、畑さんの誠実な人柄がとても好きで 心から応援したかったんだと思います。

今朝も、演奏も、お話もとても心に響きました。
ありのままの、等身大の自分を見せることができるのは 本当の意味で自尊心があるからだなと思いました。(中略)

これからもずっと応援しています。
再会に感謝します!」


Rさん はその後、コーチングやカウンセリングのプロとなり、日々お忙しくされているそうです。

前以上に優しく包み込むようなオーラを纏われていて、人の心に向き合うお仕事は、きっと、天職だと感じました。



その日の夕方は、私が作詞作曲した合唱曲を、コンクール目指して猛練習中の小学校合唱部を訪問したり。



その翌日は、障害を持つ子ども達のデイケア施設で、トイピアノを弾きながら交流したり。



その後、トイピアノコンサート開催を検討して下さっている会場を訪問し、オーナー様のお人柄に触れながら、ステージプランをご提案したり。



毎回 オーダーメイドのコンサート♪
これからも丁寧に続けていきます。


今週からは、続々とメンバーが愛媛入りしてきます。
公演内容も、2人~3人~4人~と、編成も規模も膨らんでいきます。

音響&照明はどうするのかって?

もちろん、規模に応じたプランを練り、信頼しているプロに依頼してあります。

Rさん!
あの時の教訓は、私の中でずっと生きていますよ。


「その時、あなたはベストを尽くしましたか?」