2021年3月31日(水)日経朝刊2面(総合1)社説に「海上物流のリスク再認識を」との記事あり。
エジプトのスエズ運河で大型コンテナ船が座礁した。
欧州とアジアを結ぶ海上物流の要衝が6日にわたって航行できなくなり、国際的な供給網に支障が出た。
経済のグローバル化が進み、海上物流の重要性は増している。
国際航路の弱点はスエズ運河にとどまらない。
国際社会はリスクを改めて認識し、安全航行の確保と遮断への備えを高める必要がある。
コンテナ船は愛媛県の企業が所有し、台湾の海運会社が運航していた。
コンテナ1万8000個を積んでオランダ・ロッテルダムに向かっていた。
コンテナを山高く積んだ船が水路を塞ぎ、400隻以上が足止めを受けた。
スエズ運河は地中海と紅海をつなぐ。
年間2万隻が通り、海上物流の約1割にあたる物資が運ばれる。
欧州からアジアへの航行日数はアフリカ南端の喜望峰を回る経路より1週間程度短くできる。
アジアの貿易需要の拡大に伴い、スエズ運河の利用は増え、航行する船舶も大型化している。
日本を含む、極東を目的地とする貨物量は5年前と比べ倍増した。
中東から欧米に向かう原油や液化天然ガス(LNG)もスエズ運河を通る。
座礁事故を受けて原油価格は一時、急反発した。
世界経済を支える動脈といっていい。
今回の事故はその重みを改めて知らしめた。
運河を管理するエジプト政府は座礁の原因を丁寧に調べ、再発防止に取り組んでほしい。
必要なら積載量や気象など航行の条件を見直すべきだ。
ホルムズ海峡やマラッカ海峡など、海上物流の要衝はほかにもある。
1月に寒波のために日本で電力需給が逼迫した原因のひとつは、発電燃料となるLNGを米国から運ぶために通るパナマ運河の航行が滞ったためとされる。
国際的に重要な航路の安全確保はすべての国にとって共通の利益である。
遮断を防ぐ国際連携が欠かせない。
企業は特定の航路への集中を回避する国際航路の活用や、非常時に備えた供給網の多重化を検討する必要がある。
