2021年4月1日(木)日経朝刊16面(企業1)に「君たちはどう働くか ① 新人よ、仕事を創ろう テレワーク離れても「密」に DX 文系も必須のスキル」との記事あり。

新入社員の君たちはどう働くか――。

新型コロナウイルス禍は働き方や企業のあり方を大きく変えた。

荒波のなかでの船出となるが、不安は「知ること」で乗り越えられる。

テレワーク、ジョブ型雇用、副業、デジタルトランスフォーメーション(DX)。

4つの新しい潮流を紹介しよう。

コロナ禍対応で企業は急速にテレワークの導入を進めている。

都内の人材サービス会社に勤める糸畑舞優さんは20年4月に入社しテレワークで苦労した。

先輩に質問したいときに「今、電話してもいいのか」迷った。

厚生労働省の調査ではテレワークのデメリットについて「同僚や部下とのコミュニケーションがとりにくい」が56%で最多だった。

各社は交流しやすい仕組みづくりに挑んでいる。

富士ソフトは自社開発のバーチャルオフィスで課題解決に取り組む。

自分を表すアバターを動かせ、誰かの席の周りにアバターが密集しているとチャットの雑談が盛り上がっていると分かる。

新卒社員を様々なポストを経験させて育てる――。

そんな日本型の終身雇用モデルではなく、職務に最適な人を割り当てる欧米流の「ジョブ型」を導入する動きがじわりと広がっている。

KDDIで働く江端杏奈さんは大学院で位置データの解析を研究。

12の職種ごとに学生を個別採用するKDDIの取り組みを知り、20年4月、データサイエンティストとして入社した。

KDDIは今春から管理職ら約3000人にジョブ型配置を広げた。

30の職種ごとに必要な能力や業務などを明示し、等級と組み合わせることでポストに最適な人材を配置できるようにする。

成果主義の色合いが強まり競争が激化するが、江端さんは「怖いけどやりがいがある」と話す。

企業はIT(情報技術)でビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。

デジタルネーティブな若い世代への期待は大きい。

楽天は18年度から技術系以外の新入社員にも、3~6カ月かけてプログラミングなどの技術研修を実施。

基本学習を終えたらチームを組んで「ハッカソン」を開き、ウェブサービスなどを作りあげる。

受講者は「配属されてからもエンジニアとのやりとりで困ることがなかった」と話す。

AIやデータ分析を知らずにできる仕事は減っていく。

「難しいことは専門部署に」という受け身の姿勢ではいられない。

コロナ禍を機に副業を解禁する企業が増えた。

他社での勤務を通じてスキルアップし、得た経験や人脈を還元してもらうのが狙い。

業績悪化から人件費抑制策として導入が広がった面もある。

IHIはまず20年11月、社内の他部署で働ける「社内副業」を始めた。

就業時間全体の2割までを、所属部署以外の仕事に充てられる。

鉄などの接合技術を研究する白川麻衣さんは毎週8時間、新規事業を担当する部署で働く。

取り組むのは、畑違いの画像認識アプリの開発だ。

同社は21年1月、他社での副業も解禁した。

井手博社長は「在宅勤務や一時休業で生まれた時間を有効に使ってもらう」と狙いを語る。

新入社員の君たちはどう働くか――。

新型コロナウイルス禍は働き方や企業のあり方を大きく変えた。

荒波のなかでの船出となるが、不安は「知ること」で乗り越えられる。

テレワーク、ジョブ型雇用、副業、デジタルトランスフォーメーション(DX)。

4つの新しい潮流を紹介しよう。

「今日は在宅勤務だ。4月からオフィスの面積が半分になり、会社に行くのは週2日。

グループの先輩の顔も覚えきれないし、同期とすれ違ってもわからない。

明日は少人数でランチに行けないか聞いてみようか。

それにしても一日家の中だと集中しにくいな」

コロナ禍対応で企業は急速にテレワークの導入を進めた。

厚生労働省によると、2019年にテレワークを導入していたのは企業の20.2%だった。

20年7月時点での実施企業は全体の34%に達した。

企業規模によって実施率は大きく異なり、従業員1000人以上の企業では74.7%だった。

テレワークの定着を前提に、オフィス面積を減らす企業も出てきている。

ぐるなびは既に4割削減し、富士通は3年かけて半減。

明治安田生命保険も3~4割の削減を検討している。

都内の人材サービス会社に勤める糸畑舞優さんは20年4月に入社し、テレワークで苦労した。

先輩に質問したいときに「今、電話してもいいのか」迷った。

「業務が止まって、フラストレーションがたまることがよくあった」と話す。

1年間でチャットツールなどを使い仕事はスムーズになったが「入社以来同期と集まって飲み会を開いたことがない」。

孤独感の解消にも工夫が必要になる。

厚生労働省の「テレワークの労務管理等に関する実態調査」でテレワーク実施企業の従業員にデメリットを聞いたところ「同僚や部下とのコミュニケーションがとりにくい」が56%で最多。

次が54.4%で「上司とのコミュニケーションがとりにくい」だった。

富士ソフトは自社開発のバーチャルオフィスで課題解決に取り組む。

自分を表すアバターを動かせ、誰かの席の周りにアバターが密集していると雑談が盛り上がっていると分かる。

たばこ部屋のようにアバターが集う休憩スペースもある。

多くの人と話せばポイントがたまってアバターの衣装が豪華になる。

「在宅勤務になってからの方が会話が増えた相手も多い」とある男性社員はいう。

コミュニケーションに不安を感じるのは先輩も新人も同じ。

人材サービス会社の糸畑さんが「電話をしたときには雑談もするようにした」というように、小さな交流の工夫も大事だ。

テレワークは利点も多い。

同じ厚労省調査でメリットの1位は「通勤時間を節約することができる」で89.1%、「通勤による心身の負担がない」が82.4%だった。

満員電車の「痛勤」から解放され、会社の近くから広い部屋を借りられる郊外へ転居する動きも広がる。

新卒で一括採用した社員を、ジョブローテーションで様々なポストを経験させて育てる――。

そんな日本型の終身雇用モデルではなく、職務に最適な人を割り当てる欧米流の「ジョブ型」を導入する動きがじわりと広がっている。

KDDIのCXデザイン部で働く江端杏奈さんは大学院で位置データを解析する研究をしてきた。

知見を生かしたいと考えていたところ、12の職種ごとに学生を個別採用するKDDIの取り組みを知り、20年4月、データサイエンティストとして入社した。

現在はアンケート調査やツイッターを分析し、顧客向けサービスを開発。

「やりたい仕事ができて満ち足りている」と話す。

KDDIは新卒だけでなく、今春から管理職ら約3000人にジョブ型配置を広げた。

22年4月には全社員に導入する計画だ。

具体的には30の職種ごとに必要な能力、業務範囲などを明示し、等級と組み合わせることでポストに最適な人材を配置できるようにする。

昇格や降格も柔軟にし「入社年次に関係なく実力本位で決まるため、最短2年で昇格する若手もいる」(横尾大輔・人事企画部長)。

成果主義の色合いが強まり競争が激化するが、江端さんは「怖いけどやりがいがある」と話す。

「結婚や出産で一時的に仕事を離れる可能性がある女性の方がより直線的なスキルアップが必要。

その意味でジョブ型は女性にありがたい制度だと感じる」

ジョブ型の導入企業は富士通や三菱ケミカルなどまだ一部にとどまる。

ただ、日本の1人当たり労働生産性は、19年で8万1183ドル(約890万円)。

経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国のなかで26位で、1970年以来で最も低かった。

生産性を高める手段として、社員が自主的にキャリアを形成できるジョブ型導入は有力な手段だ。

欧米企業ではポストに最適な人材が社内にいなければ、社外から募るため、雇用の流動性は高い。

ジョブ型に移行すれば、社員は社内外で厳しい競争にさらされる。

「好きな仕事」に手は挙げやすくなっても、勝ち取るのは簡単ではない。

会社の研修や社員教育にとどまらず、自ら目指すキャリアに必要な能力を磨く必要がある。

「今日も朝から『SQL』『基礎』でネット検索だ。文系から営業職に入ったのに『データ分析くらいできないと』と言われてデータベースの扱いを覚えなければならなくなった。どこまで身につければいいんだろう」

企業はIT(情報技術)でビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。

英語力が多くの企業で必須になったように、プログラミングやデータ分析の能力が幅広い職場で求められるようになった。

デジタルネーティブな若い世代への期待は大きい。

楽天は18年度から技術系以外の新入社員にも、3~6カ月かけてプログラミングなどの技術研修を実施している。

Java言語とデータ分析が中心だ。

基本学習を終えたらチームを組んで「ハッカソン」を開く。

ウェブサービスや機能を考え、習った技術を使って実際に作りあげる。

最大6カ月も研修にかけるのは「使える」レベルまでもっていくためだ。

受講者は「配属されてからもエンジニアとのやりとりで困ることがなかった」と話す。

技術者ではない現場社員から業務の自動化提案などが出るなどの効果が表れているという。

三菱商事は19年度入社から理系・文系問わず新人全員にプログラミング言語「Python(パイソン)」の研修を始めた

人工知能(AI)関連でよく使われ、機械学習などを簡単に使える仕組みが整備されているため、学習者が多いプログラミング言語だ。

投資先や事業の提携相手とDXやAIに関して突っ込んだやりとりをする機会は増える。

AIなどの理解促進のための研修は今後も積極的に取り入れていく予定だという。

従来必要とされていなかったスキルを身につける教育は「リスキリング」とも呼ばれる。

欧米でも同様の動きが進む。

米アマゾン・ドット・コムは25年までに10万人の従業員の教育に7億ドルを投じると発表した。

非技術系の従業員を技術系に移行させるプログラムなどを用意するという。

調査会社の富士キメラ総研の調査によれば、19年度に7912億円だったDX投資は30年には3.8倍の3兆425億円になるという。

AIやデータ分析を知らずにできる仕事は減っていく可能性が高い。

米IBMによると日本では488万4000人の労働者が新たなスキルを身につける必要があると指摘する。

IT人材の獲得を重視し、他の人材の採用を絞る動きもある。

「難しいことは専門部署に」という受け身の姿勢ではいられない。

企業はIT(情報技術)でビジネスモデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。

英語力が多くの企業で必須になったように、プログラミングやデータ分析の能力が幅広い職場で求められるようになった。

デジタルネーティブな若い世代への期待は大きい。

楽天は18年度から技術系以外の新入社員にも、3~6カ月かけてプログラミングなどの技術研修を実施している。

Java言語とデータ分析が中心だ。

基本学習を終えたらチームを組んで「ハッカソン」を開く。ウェブサービスや機能を考え、習った技術を使って実際に作りあげる。

最大6カ月も研修にかけるのは「使える」レベルまでもっていくためだ。

受講者は「配属されてからもエンジニアとのやりとりで困ることがなかった」と話す。

技術者ではない現場社員から業務の自動化提案などが出るなどの効果が表れているという。

三菱商事は19年度入社から理系・文系問わず新人全員にプログラミング言語「Python(パイソン)」の研修を始めた。

人工知能(AI)関連でよく使われ、機械学習などを簡単に使える仕組みが整備されているため、学習者が多いプログラミング言語だ。

投資先や事業の提携相手とDXやAIに関して突っ込んだやりとりをする機会は増える。

AIなどの理解促進のための研修は今後も積極的に取り入れていく予定だという。

従来必要とされていなかったスキルを身につける教育は「リスキリング」とも呼ばれる。

欧米でも同様の動きが進む。米アマゾン・ドット・コムは25年までに10万人の従業員の教育に7億ドルを投じると発表した。

非技術系の従業員を技術系に移行させるプログラムなどを用意するという。

調査会社の富士キメラ総研の調査によれば、19年度に7912億円だったDX投資は30年には3.8倍の3兆425億円になるという。

AIやデータ分析を知らずにできる仕事は減っていく可能性が高い。

米IBMによると日本では488万4000人の労働者が新たなスキルを身につける必要があると指摘する。

IT人材の獲得を重視し、他の人材の採用を絞る動きもある。

「難しいことは専門部署に」という受け身の姿勢ではいられない。

コロナ禍を機に副業を解禁する企業が増えた。

他社での勤務を通じてスキルアップし、得た経験や人脈を還元してもらうのが狙い。

業績悪化から人件費抑制策として導入が広がった面もあり、日本経済新聞社の調査では20年5月時点で約3割の企業が解禁している。

いきなり他の会社で働くのはハードルが高い。

そこでIHIは20年11月、社内の他部署で働ける「社内副業」を始めた。

就業時間全体の2割までを、所属部署以外の仕事に充てられる内容で、約100人の社員が利用している。

プラスチックや鉄の接合技術を研究する白川麻衣さんは毎週8時間、新規事業を担当する部署で働く。

取り組むのは、普段の仕事とはまったく異なる画像認識アプリの開発だ。

群生するカタバミをスマートフォンのカメラで撮影すると、珍しい四つ葉を自動で探し出す。

AIやプログラミングを勉強しながらの手探りだが「新しいスキルを身につけるのは楽しい」と話す。

IHIは21年1月、他社での副業も解禁した。

技術流出に敏感な製造業では珍しいが、井手博社長は「在宅勤務や一時休業で生まれた時間を有効に使ってもらう」と狙いを語る。

白川さんも「今夏にアプリの試作ができれば、社外副業も活用してサービスに育て上げたい」と前向きだ。

副業には注意点もある。事前審査や毎月の業務報告が必要だったり、企業によってルールはまちまち。

同業他社や深夜の勤務を禁止しているところも多い。

副業での勤務時間の分だけ本業の給与が削減される可能性もある。

他社と雇用契約を結ぶのはNGで、成果に応じた対価を得る「業務委託契約」しか認めていないケースも。

また大半の企業では月30~40時間以内に副業の勤務時間を制限している。

長時間労働で本業に支障が出ないよう管理する必要があるからだ。

こうした制限もあって、副業の稼ぎはさほど多くはない。

マイナビが20年11月に行った調査では副業の平均月収は約6万円で、希望額(約13万円)の半分だ。

ただ、本業では得られない視点や人脈はお金とは違った財産になる。

日本経済新聞社と日経HRの20年秋の調査でも、副業の目的について4割が「スキルアップや成長のため」「能力を生かすため」と答えた。