青い子供と、赤い子供と、緑の子供と、茶の子供が遊んでいる。青い鳥が飛んでいる青い空の下の青い家の近くだ。そばには赤と青のサッカーボールが転がっている。しかし、4人の子供たちには顔がない。表情がない…。
チェコの画家ヨゼフ=チャペック(1887-1945)は、ナチスの強制収容所で命を落とした。『青い空』は死後1948年に、彼の遺した多くの絵の中から子供の絵を15点選び、チェコの代表的な詩人フランチシェク=フルービン(1910-1971)の詩をのせた詩画集。クレーの天使と、マティスの線と、カンディンスキーの青と、ゴッホの揺らぎが結婚した、何とも幸福な空間と時間がそこには広がっている。子供たちの楽しげな声。小鳥のさえずり。緑の光線。萌える新緑。木々を揺らす風。チョコレートのような暮色。青と白の雪…。詩によると、それは春から冬へと至る、1年間の物語となっているようだ。チャペックが実際にそのような物語を想定して絵を描いていたかどうかは分らないが、フランチシェク=フルービンによる詩は読者を心地よい場所へと導いてくれる。
どれも好きな詩画だが、とくに気に入ったのは「ひぐれどき」。
「ごはんですよ」と呼びかけるおかあさんに、「ちょっとまってて わたし おなか すいていないの だって おひさまがしずむときは どこもかしこも チョコレートみたいになるんですもの」と答える子供たち。いつまでも遊んでいたい、帰りたくない子供のストレートな気持ちが甘いチョコレートとなって溶けていく。子供がとっさに付いた嘘が、そのまま実現してしまったかのような世界だ。茶色に染まった家の美味しそうなことといったらこの上ない。確かにこれでは帰れないよなと思うのだ。
チェコという風土によるのか、あるいは作者の不幸な運命故だろうか、15枚にはどこか暗い影があり、通奏低音となっている。その滲み出したクレパスの粉が、鳥となって春から冬へと飛んでいく。それは子供たちに託した希望であり、自由への扉ではないだろうか。
なお、ヨゼフ=チャペックの弟は、チェコの国民作家で『ロボット』で知られるカレル=チャペック(1890-1938)。
青い空 (世界の絵本)/フランチシェク=フルビーン

¥1,890
Amazon.co.jp
チェコの画家ヨゼフ=チャペック(1887-1945)は、ナチスの強制収容所で命を落とした。『青い空』は死後1948年に、彼の遺した多くの絵の中から子供の絵を15点選び、チェコの代表的な詩人フランチシェク=フルービン(1910-1971)の詩をのせた詩画集。クレーの天使と、マティスの線と、カンディンスキーの青と、ゴッホの揺らぎが結婚した、何とも幸福な空間と時間がそこには広がっている。子供たちの楽しげな声。小鳥のさえずり。緑の光線。萌える新緑。木々を揺らす風。チョコレートのような暮色。青と白の雪…。詩によると、それは春から冬へと至る、1年間の物語となっているようだ。チャペックが実際にそのような物語を想定して絵を描いていたかどうかは分らないが、フランチシェク=フルービンによる詩は読者を心地よい場所へと導いてくれる。
どれも好きな詩画だが、とくに気に入ったのは「ひぐれどき」。
「ごはんですよ」と呼びかけるおかあさんに、「ちょっとまってて わたし おなか すいていないの だって おひさまがしずむときは どこもかしこも チョコレートみたいになるんですもの」と答える子供たち。いつまでも遊んでいたい、帰りたくない子供のストレートな気持ちが甘いチョコレートとなって溶けていく。子供がとっさに付いた嘘が、そのまま実現してしまったかのような世界だ。茶色に染まった家の美味しそうなことといったらこの上ない。確かにこれでは帰れないよなと思うのだ。
チェコという風土によるのか、あるいは作者の不幸な運命故だろうか、15枚にはどこか暗い影があり、通奏低音となっている。その滲み出したクレパスの粉が、鳥となって春から冬へと飛んでいく。それは子供たちに託した希望であり、自由への扉ではないだろうか。
なお、ヨゼフ=チャペックの弟は、チェコの国民作家で『ロボット』で知られるカレル=チャペック(1890-1938)。
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