こんにちは!オトノアジト音楽教室の渡邉です。

相変わらず大変な情勢の中ですが、今日も元気にブログ更新してまいります!✏️

 

時間が経つのはあっという間で、今回は4月最後の文献紹介となります。🕔🏃‍♂️

というわけで(?)、今回は"体験型"にて文献紹介をお送りしたいと思います!

体験型…?

大人向けのコンテンツのため仕方がないのですが、どうしても文字数が多く、かつ少し難しくなってしまうこのコーナー。

しかし!今回はお子さまと一緒に音楽研究を学べるスタイルになっております🌡🧒

おうち時間の中で、是非試してみてください。

それでは今日も始めていきましょう!🌱

さて、自粛ムードに入ってから久しいですが、みなさまはどのようにお過ごしですか?

私は仕事の合間に音楽を聴きながら食べ、聴きながら食べ…🍔🍕

お気に入りの音楽を聴くと気分が良くなって、ついつい後先考えず食べてしまいます。😹

前回の記事では、音楽がストレスに与える影響について取り上げましたね!)

なんだか、音楽のおかげでご飯がより一層美味しくなる気もするのです…って、あれ。

 

今日の疑問:あれ?音楽って食事にも影響を与えるのでは?

毎回、私の勝手な疑問に答えていくスタイルで進んでいますが…

自粛期間に音楽×食事を繰り返してふと疑問に思ったことなのです。🌀

音楽は食事にも影響与えるのではないか??

というわけで調べてみました🔍💥

今日の文献:音楽が基本味覚に与える影響に関する時間強度分析を用いた考察

本日ご紹介する文献はこちら。↓リンクから論文に飛ぶことができます(英語。上記のタイトルは邦訳したものです)。

Assessing the Impact of Music on Basic Taste Perception using Time Intensity Analysis

今回は海外の文献をご用意しました!

英オックスフォード大学の実験心理学部のQian Janice Wang氏およびCharles Spence氏、亜ナシオナル・デ・トレス・デ・フェブレロ大学のBruno Mesz氏による共同研究です。

 

 

早速ですが、"体験"しちゃいましょう

今日の文献がどんな研究かもご説明しないまま恐縮ですが、早速に体験コーナーへうつります。

 

ここで1つ!皆さんに用意していただきたいものがあります。

コーヒー、ココア、紅茶、チョコレート、etc...何かしらおやつのご用意をお願いいたします。🍩

大人の方は、お気に入りのワインでも宜しいかと…🍾

 

オトノアジトからは、以下の2曲をご用意させていただきました。

 

 

 

高音と低音のコントラストが激しい曲となっておりますが、

まずはおやつを楽しみながら、この2曲を別々に聴いてみていただければと思います。🍡

 

さて、いかがでしたでしょうか。

いきなりですが質問です。

味に変化はありましたか??

 

同じものを食べているはずなのに、聴いている曲によって味の感じ方が変わりませんでしたか?

お子さまの反応はいかがでしょうか。

 

もうお気づきのことかと思いますが、今日の文献は

「音が味覚にもたらす変化」についての研究なのです!👅🎶

 

では、実際に研究をみてみましょう!

聴く音に合わせて、味の感じ方は変化する

聴く音によって味の感じ方が違うだなんて、不思議ですよね。🤔

この研究では、21〜69歳の21名(うち女性11名、男性10名)を対象とした実験について記述されています。

被験者らにワインと4種類の音楽を与え、それぞれの音楽によってワインの味の感じ方がどう変わるかを試したのです。

この研究では特に甘味と酸味について着目しながら行ったそうです。🍷

 

 (中略) – a switch from sour to sweet soundtrack enhanced sweetness intensity, whereas the switch from the sweet to sour soundtrack enhanced sour intensity. 

(訳)「酸味の音」から「甘味の音」へと切り替えると被験者は甘味を強く感じるようになり、その一方で「甘味の音」から「酸味の音」へ切り替えると、酸味を強く感じることとなった。

(「酸味の音」「甘味の音」とは何ぞやという話ですが、

別途「酸味用」「甘味用」と定義づけられたサウンドトラックが実験用に作成され、使われています。)

 

音の性質によって、人間は甘味・酸味の感じ方を左右されるということがわかります。

そんなことってあるの!?と驚きの内容ですが、実験結果から確かに証明されているのです。

音の高低差がもたらすもの

実は本文献の筆者の1人であるSpence氏、

人間は高音によって人間が甘味を強く感じ、低音によって苦味を強く感じることを別研究で明らかにしています💡

 

ここで、冒頭の体験コーナーのことを思い出してみてください。💭

1曲目を聴いているとき、つまんだチョコレートがいつもより甘く感じませんでしたか。

また、2曲目ではいつもより苦く感じませんでしたか。

摩訶不思議ですが、これはまさに音楽によって味の感じ方を左右されているからなのです。

音が味付けをする?

この文献にも出てくるのですが、Spence氏が提唱する言葉に"Sonic Seasoning(ソニック・シーズニング)"というものがあります。

「音による味付け」という意味です。

 

すてきな表現ですが、決しておしゃれなだけの表現ではないのです!

これこそSpence氏が研究している「多感覚知覚(Multisensory Perception )」をよく表す1語だと言えるでしょう。

 

難しい言葉になってしまいましたが、つまり「すべての感覚は作用し合っている」ということ。

私たちが味を感じられるのは味覚や嗅覚の働きによるもの、というのは当然ですが、それだけではないのです。

すべての感覚が作用しあって「味」という情報を処理しているのです。

 

今回で言えば、味覚・嗅覚と聴覚。👁👂

一見したところ無関係のように思われるこれらの感覚ですが、このように作用し合っているからこそ

音楽が食事に大きな影響を与えるのだとわかりますね。

 

こう考えると、音楽の可能性って無限大に思えてきます!

五感を組み合わせて音楽を目一杯楽しめるレッスンを展開していきたいと夢が広がります😆

 

おわりに

料理は五感で感じるものとはよく言われますが、音楽がまさかここまで味覚に影響をもたらすだなんて、

驚かれた方も多いのではないでしょうか。😲

ちなみに私もこの実験をやってみました(実験という名目で食べたいだけ)が、

ハイカカオチョコレートがいつもより甘く感じました🍫

おうち時間を使って、簡単に美味しく実験できてしまうので、是非ご家族と楽しんでみてくださいね🏡

参考文献

✔︎Qian Janice Wang, Bruno Mesz, Charles Spence, "Assessing the Impact of Music on Basic Taste Perception using Time Intensity Analysis", 2017

✔︎音楽の聴取が味覚の感受性に及ぼす影響 ―甘味,酸味,苦味を対象に―, 山田真美,加藤みわ子,森博子, 愛知淑徳大学論集―人間情報学部篇, 第8号, 2018年3月

✔︎Anne-Sylvie Crisinel, Charles Spence, ‘‘What’s Your Taste in Music?’’ A Comparison of the Effectiveness of Various Soundscapes in Evoking Specific Tastes, ,i-Perception 2015, 6(6) 1–23

✔︎QUARTZ(2015), High-pitched music makes chocolate taste sweeter, and other sonic seasonings, 2020年4月23日

✔︎WIRED(2016), 高音の音楽を聴くと、食べ物を甘く感じる:研究結果, 2020年4月23日

 

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今回も最後までお読み頂きありがとうございました。
ご意見・ご質問や「オトノアジトにこんなことを調査してもらいたい!」等々、

コメント欄にてお待ちしております。😊

音楽のいろいろな側面を、一緒に探っていければと思います。

それでは次回もお楽しみに!