私は現代人のうつ状態は、ほとんどの場合、疲労が原因であると考えている。
そしてうつ状態になると、不安、自責、自信の低下という思考の偏りが生じる。
その結果、疲労感(負担感)、不安、自責、自信の低下は、うつの人がとてもつらいと感じる要素になり、この要素をたくさん感じる生活をしていると、うつは改善せず、悪化してしまう。

さて、疲労感(負担感)と書いたが、その2つの差は何か。
私は、次のように区別している。

疲労感は、活動した後に感じる疲労した感じ。
負担感は、これをやって、と言われて感じる予想上の疲労感。つまり、不安に増幅された将来の疲労感。

うつの初期の対処法として、「おうち入院」を勧めている。
3日間ほどしっかり休める体制を取れば、これまでの蓄積疲労の借金、つまり疲労感をだいぶ解消することができるだろう。


一方で休みなさい、おうち入院をしなさいと提案しても抵抗を示す人がいる。そういう人は、休めば休んだ分だけ、後でつけが回ってくると感じている場合が多い。
確かに三日間でも一週間でも、休んだ後に多くの業務が自分に降り掛かってくるようなら、休み中もそのことが気になり、結局しっかり休めないという状態になる可能性は高い。

現実に、そうなのか、そうでないのかとは別に、その人のうつ状態の中で、疲労感のほうが大きいのか不安のほうが大きいかで、すぐ休めるかそうでないかが決まる部分がある。

疲労感より不安のほうが強い場合、今感じる疲労感の苦しみより、不安によって拡大された将来の疲労、つまり負担感のほうが大きくなるので、今、休めない。

このように、休もうとすると逆に休み明けの負担感が強くなってくる人や、おうち入院をしても、なかなか休めなかった、と言う人。

そういう人の場合、過去の疲労のケアだけでなく、将来の不安のケアを合わせて行う必要がある。具体的には、今後の業務を少なくする作業を行うことだ。
これが上手にできると、将来の重しが取れ、同じ3日のおうち入院でも、より効果的に回復できる。

ところが、もう既に第2段階のうつ状態になっていると、「休むこと」だけでも勇気がいる。さらに「業務を削ることも」となると余計に難しくなってしまう。

うつ状態になった時に、上手に休めるため、業務を減らせるためのコツは「仕組み化」だ。次の号で説明しよう。

 

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