大谷翔平がデコピンのことを紹介した時点で、大谷翔平の結婚が近い、と推察した人がいた。


あんな誠実な人が愛犬を長いシーズンの間に誰かに預けるわけがない、誰かといる、もしくは、いることを決めたはず、としたらそれは結婚する人に違いない、という推察だ。素晴らしい推察力だと思う。

カウンセリングを生業にしていると、人の心や行動力に、ある程度の推察力が必要になる。私自身も、日常の生活の中で、このような推察力を見聞きすると、それを学びにしている。

いっぽう、カウンセリングを教えていて、心理学等をたくさん学んでいるにもかかわらず、この推察力が弱い方が結構いる。
それをどうして伸ばしてあげるかが、指導のポイントになる。

洞察力は、学んだことより、実際に自分の人生の中で経験した、自分や他者についてのデータ(私が「人間データ」と言っているもの)がベースになる。
ただ、この人間データは、単に多くの人と接すればいいというものではない。
関心、が必要なのだ。

推察力は基本的に、関心がある方向にしか広がらない。大谷翔平の件も、多くの男性は、彼の結婚より、野球のパフォーマンスのほうに関心があるだろう。だから、犬の情報で、想像が広がりにくいのだ。

あるテーマの専門家、つまりそのことについての推察力を身に着けるには、
①まずはその分野に関心を持つこと、つまりアンテナを張ること
②そのうえで、多くのデータを蓄積すること
の2つが必要になる。

心理、対人支援に関わる人は、感情の動きの専門家になり、先が読めるようなることが求められる。
既存のカウンセリング理論を学びすぎて、人の心理や行動をフラットに見られないと、感情の自然な流れに気がつきにくい。
ただ単に面接回数をこなしても、固定の視点だけだと、同質のデータだけになり、データの広がりがなく、成長も遅くなるのだ。例えば、性差だけに気を取られると、男性はこう、女性はこう、というデータに基づく人間観しか作れない。推察力も乏しくなる。

ひとつの事象に接したら、自分で関心を持って、そのことを考えてみる。素朴な疑問を持つ。どうしてそう言った?なぜ、そう行動した?なぜそう反応した?


そして、答えが見つからないときは、ぜひ、人間データの豊富な先輩に意見を求めることだ。その繰り返しで立体的な人間データを蓄積し、推察力を高めていこう。

 

<お知らせ>

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