数年前のことだ。私がいつものように公園でテニスの壁打ちをしていると、中学生たちが授業でマラソンを始めた。


昔からのことだが、一生懸命走る子もいれば友達と談笑しながら歩いて済まそうとする子もいる。


一通り終わった後に先生が、いわゆる手を抜いている子供達を、大きい声で指導していた。子どもたちも「教育委員会に言いますよ」などと反論して穏やかではない。もう一人の先生が取りなして、なんとかその場を収束させた感じだった。

遠目で見ていた私の心の中にも「もっと真面目にやれよ、言い返すなんて生意気だ、素直になれよ」という感情が湧く。

そのようなときは自分の価値観を問い直す良いチャンスだと思っている。
自分がその先生の立場なら怒りの感情が第3段階になり、冷静な分析はできない。このようにちょっと離れて客観的に見れる時、つまり感情が第1段階にあるときに、自分の根底にあるゴールデンファイル(信念のようになっている価値観)を見直してみる努力をする。

公園帰りの自転車をこぎながら、「もしこれが算数の授業だったら」と考えてみる。
マラソンは手を抜いていることが明白に見えるが、算数でぼーっとしている生徒を先生はあんなに叱るだろうか。むしろついていけない子に対して丁寧な指導をする先生が多いのではなかろうか。

こう考えてみると先生の怒りの本質は、「自分の指示通りに動かない」ことに対する怒り、上下関係に対する怒りだったのではないかと気が付く。

自分も鹿児島出身の昭和の男だ。どうしても熱血であったり従順であったりすることに強いゴールデンファイルがあるようだ。年を取れば取るほど頑固になる傾向もあるので、このゴールデンファイルのチェックを常に忘れないようにしていこうと思う。

 

<お知らせ>

〇「自衛隊式メンタルトレーニング - 折れない心を育てる 」がワニ・プラス社から発売されました。元東部方面総監の 渡部悦和さんとの共著です。

〇2月14日、フォローアップ講座を開催します。目標、期待値、ゴールデンファイルについて話します。