プーチンがウクライナに侵攻した。
元自衛官としては、「これが国際社会の本質」と改めて感じる。長い平和に慣れてしまっている今の日本人には、ぜひ今回の様々な動きを真剣に観察し、日本の政治を考える機会とし、選挙での一票に生かしてほしい。また、元気な人は、平和を訴える活動をしてほしい。


一方で、カウンセラーとしては、弱っている人は戦争報道から距離をとってほしいとも思う。
実は、今、多くの人が過剰に不安を感じやすい状態なのだ。


コロナの影響で、ただでさえ不安が過敏になっている。しかも2年間のコロナ禍での生活で、多くの人が疲弊している。そして、物理的にも精神的にも孤立を感じている。疲れて、しかも孤独であると、原始人的な不安がさらに大きくなりやすい。
そこに、また根源的な命を脅かす「戦争」の報道。ショッキングな映像が毎日流れてくる。


戦争とは本質的には、精神の戦い。敵国に「負けた」と思わせた方が勝ちである。そのため、従来から様々な心理戦がおこなわれてきた。今回は、核の脅し、フェイク動画、SNSなどの活用・制限、サイバー攻撃などが巧みに運用されている。


本来は直接関係ない我々日本人でも、そのような情報を受け取ってしまうと、一層不安が惹起され、最悪思考に流れやすい。つまり、日本人も関わるだろう第3次世界大戦の勃発イメージにまで発展しやすいのだ。
実は、私のクライアントの多くが、第3次世界大戦におびえている。うつ状態になると、不安は通常の2倍から3倍大きく感じるものだ。

不安は、原始人が身の回りの危険から生命を守ろうとするための感情。近くに泥棒やストーカーがいるときは、それに見合う防衛体制をとるための動機になる。
ところが、今、私たちがどんなに不安になっても、自分の身を守る態勢を作れはしない。今回の戦争報道に触れすぎると、単に不安イメージを膨らませ、自分が消耗するだけの結果に陥りやすい。


コロナの場合は、自分の周りのことなので、報道や情報を遮断することは難しかったろう。しかし、国際情勢の場合、いまの段階なら、大きな対応は政府や専門家に任せ、個人としては、あまり報道を負わないようにしよう。特に、自らインターネットの検索を続けるのだけは、不安暴走を避けるためにも、自制した方がよさそうだ。