神田沙也加さんがお亡くなりになった。ご冥福をお祈りしたい。
このような時は、マスコミだけでなく、ネット上に様々な情報が流れる。皆さんの関心の高さに応じて情報量も多くなる。


私は、これまで400件以上の自殺や事故に接してきた。お亡くなりになった周囲のケアをしてきたのだが、現場では様々なことがうわさとして流れる。私たちが客観的にいろいろ調べてみると、その多くは誤りだった。人々の思い込みや憶測がいろんな形で噂として加工され、広まっていた。


一般人でさえそうなのだ。有名人の場合、この現象が大きくなる。
テレビや新聞などのマスコミは、ある程度の規制がかかるようになってきたが、ネットの世界ではほとんど規制なく、様々な情報が流れる。受け手は、自分の憶測に沿う情報を「本当の情報」と感じ、それを他者に伝えたくなる。


ぜひ、このような時の情報の多くは「誤り」である、ということを覚えておいてほしいと思う。


このような情報に強く影響を受ける人に、3つのケースを想定して、アドバイスしたい。
1つ目のケース。同じように死にたくなってしまう人。長引くコロナの影響で少しうつっぽくなっている人は多い。そんな人は、神田さんに自分を重ね合わせてしまう思考になりやすい。そういう人は、少なくともネットの記事をしばらく見ないようにした方がいい。
死にたい気持ちは波。強い波が来ても、いずれ収まる。今回の波を乗り越えてほしい。
できれば睡眠をきちんとって、日常の生活に集中する。不安な気持ちは、ぜひ親しい人と話をしてほしい。


2つ目のケース。神田さんのファンの方。ショックが大きく、情報から距離を置くのも難しいかもしれない。ファン同士で連絡を取り合い安心するのは良いが、根拠のないうわさに集団であおられやすくもなる。ファン以外の人とも会話して、冷静な思考になるように努めてほしい。


3つ目のケース。想像力が豊かな人。入ってきた情報をもとに、神田さんの心情を想像し、そこに入り込んで自分も苦しくなる。大阪の火事などのイメージも重なってしまう。
この方も、情報からできるだけ距離をとり、想像の暴走を止めてほしい。やはり冷静な人と話をすることは落ち着きを取り戻す力になる。


3つのケースの複数が重なる方は、特にネット情報からしばらくの間、距離をとることをお勧めする。避けたいのは、ネットの情報→一人での想像→ネットの情報で確認→想像が確信化する、というパターン。


人はつらいとき、一人でいると不安が大きくなる。誰かと話をしてほしい。ぜひ、上の3つのケース以外の比較的冷静な家族、友人などの仲間に、お弔いのつもりで、神田さんのことを話してみてほしい。