前回は、ストレス解消法がうまい人ほどストレスに弱くなる、というパラドックスについて説明しました。今回は、その2弾目。

 

ある人は、能力も体力もあり、若いころから上手に苦労し、いわゆるレジリエンスを発揮しながら、生活してきました。おかげで、ほかの人に比べて、ストレスに強いようです。このままで人生を大きなトラブルなく進めると自信を持っていました。


45歳で役員に昇進し、確かに新しくタフな仕事を任されましたが、自分ならきっとこれまでのように、うまく乗りこなせると信じていました。
ところが、半年でうつになってしまったのです。


確かにストレスフルな仕事だが、これまでの経験や成長してきた自分のストレス対処能力を考えると、十分に乗り越えられると思っていたのに…。
何が問題だったのでしょう。


実は単純なことなのです。歳をとって体力がなくなっただけなのです。
ストレスで破綻するかどうかは、ストレスとストレス対処能力の比較なのですが、ストレス対処能力とは、感受性+問題解決力+ストレスケア能力+自信+体力なのです。


先の公式で、体力以前の項目は、この方は万全だった。一つ一つの事象やストレスには見事に対処できる。でも、そこに慢心して体力の衰えを計算に入れていなかったのです。言い換えると疲労のストレスに、弱くなっているのに気が付かなかったのです。


人は年を取ると疲れやすくなる。この現実を忘れてはいけませんよね。
スポーツ選手でも、経験を積めば積むほどスキルは上がりますが、体力が落ちれば全体のパフォーマンスはどうしても低下してきます。そんなよく知っている現象を自分のパフォーマンスにもきちんと当てはめて考えていきましょう。