雑誌やネットの記事の取材を受けるたび、お手軽なストレス解消法を求められます。
「これさえやっておけばうつを予防できる」「悩みから解放される」的な。


私もいろいろ試してきているので、様々な心理療法を知っていますし、効果的なものもは感ケアで紹介しています。
ただ、マスコミの取材で求められると、いつもちょっと抵抗してしまうのです。


というのも、いわゆるストレス解消法のデメリット(副作用的な)を知っているからです。
これまでの何度かお伝えしていますが、ストレス対処の第1原則は、「ストレスから離れる」。第2原則は、「休息する(エネルギーチャージ)」なのです。その次に来るのが、ここで問題にしているストレスケアや現実的な問題解決。


ストレスケアスキルや現実問題解決能力が高いと、中程度までのストレスには強くても、本当に強いストレスにさらされ、逃げなければならない状態になった時にも、まだ必死に問題解決したり、ストレスケアで乗り越えようとしてしまいます。

 

すると、逃げ遅れてしまう。つまり、ダメージがとても大きくなってからしか、根本的な対処ができないことになってしまうのです。


スティーブ・ジョブズは、東洋思想に基づくヨガや瞑想の達人であったばかりに、すい臓がんが発覚した時に、手術ではなく、食事やヨガや瞑想で治そうとしたそうです。そして最終的に手術した時には手遅れだったといいます。逃げ遅れです。


お手軽なストレス解消、ストレスケア知識は、みんなが欲しがる。でも、私がマスコミなどの場で安易に伝えたくないのは、こういうパラドックスを知っているからです。


ただ、それぞれの知識やスキルは確かに何らかの効果もある。できれば第1、第2原則をきちんと理解したうえで、TPOを間違えずに使えるようにしたいものです。感ケアではそんな使い方をお伝えしています。