2018年4月から嵐の二宮和也さん主演で、ドラマ化される『ブラックペアン』の原著なので再読。すっかり内容が飛んでた。
追記:いよいよ、ドラマが始まりました。原作とは違った展開に、今後も期待です。
1話のラストのレントゲンの画像、ブラックペアンの謎、、、原作を匂わせます。
『ブラックぺアン』が「チームバチスタ」シリーズの20年前の話という設定らしい。
チームバチスタシリーズの田口先生、速水先生がまだ医学生、高階(たかしな)医院長が新任講師、という設定。
あの方々の若かりし頃というだけで、ワクワクしてみる。
あらすじ
高階と渡海
高階は、東城大学医学部付属病院の「佐伯(さえき)総合外科学教室」に帝華医大から派遣された新任講師。高階は、着任早々、その言動から外科教室の秩序を乱す。佐伯教授からの指名で食道癌患者の手術を行うことになるが、その手術で食道自動吻合(ふんごう)器「スナイプAZ1988」という手術道具を使って手術を行うことを公表する。
この「スナイプ」を用いた手術では、リーク(縫合不全)を防止できるという。
これを使えば、若手医師の技術不足が埋められ、すべての外科医が簡単に食道癌の手術をできるようになるのだ。
外科の土台を根底から崩すような革新。
これを佐伯外科のヒラ医局員の渡海征司郎(とかい せいしろう)は快く受け入れない。
「外科医は自分の技術の高みを目指すのがすべて。誰にでもできるんだったら誰が有り難がる。外科技術の安売りになる。」
渡海は「オペ室の悪魔」と呼ばれ、昇進を断り続ける万年ヒラ医局員。
努力さえすれば佐伯教授をも超えられる逸材との呼び声高い、天才的な手術センスの持ち主。だが、努力嫌い、いい加減。
高階に対立する渡海は、自分から佐伯教授に志願し、その食道癌の手術の第一助手となる。第二助手は佐伯教授。
食道癌患者の手術日、
高階に対立する渡海は、自分から佐伯教授に志願し、その食道癌の手術の第一助手となる。第二助手は佐伯教授。
食道癌患者の手術日、
器械台にブラックペアンが置かれる。
佐伯教授の名前があったので、器械出しの看護師が用意したのだった。
高階は、佐伯教授にどうしてペアンが黒いのか尋ねるが、佐伯教授は答えない。
高階は早々と腫瘍を分離しスナイプ使って簡単にリークのない縫合を完了させる。
高階は早々と腫瘍を分離しスナイプ使って簡単にリークのない縫合を完了させる。
渡海は「こんなの手術じゃない、おままごとだ」と言い、手術室から立ち去る。
食道癌患者は、無事手術を終える。
考えの異なる2人。
渡海は佐伯教授に特別優遇されている。そんな渡海から世良は佐伯との因縁を聞かされる。
渡海は、手術が上手なら患者は助けられる、と思っている。
高階は、手術手技がすぐれていてもそれだけではだめで、患者を治すのは医師の技術ではなく、患者自身が自分を治す、医者はその手伝いをしているだけだと考えている。また、神がかりの技術を有した選ばれし一部の人間しか手術をできない仕組みは、弱くてもろい仕組みだと思っている。
考えの異なる2人。
だが、渡海と高階は研修生の世良雅志(せら まさし)を通してつながっていく。
渡海と佐伯教授の過去
渡海は佐伯教授に特別優遇されている。そんな渡海から世良は佐伯との因縁を聞かされる。
それは、17年前、佐伯と渡海の父親の行き違いからはじまっていた。当時、佐伯は、渡海の父親が確立した治療技術の価値を認めるなど渡海の父に信頼を寄せていた。
ある時、佐伯の手術を受けたばかりの患者が腹痛を訴えたが、
そこへ佐伯教授が踏み込んでくる。
「緑剥樹の木の下で」(短編集「ガンコロリン」)で、その後の「オペ室の悪魔」の消息が、、、渡海先生は、内戦が続く南アフリカで治療をしながら、少年たちに勉強を教えている模様。こちらもぜひ読みたい。
追記:「緑剥樹の木の下で」(短編集「ガンコロリン」)を読みました! あらすじはこちら■
ある時、佐伯の手術を受けたばかりの患者が腹痛を訴えたが、
佐伯が海外の学会に参加しており、不在だったため、渡海の父親が診察し、X線写真を撮影した。
患者の腹部に置き忘れられたペアンが写っていた。
再手術を佐伯の上司に提案するが、それはすべて報告済みの事実で、承知の上で隠蔽(いんぺい)されていたものだった。
海外にいる佐伯に連絡するが、佐伯はペアン摘出をこばんだ。カリスマ佐伯の影響は絶対的で、反対に渡海の父親は非常識と見なされ、大学病院を追われた。
渡海には、そんな父親の無念さがあったのだ。二宮さんの渡海、楽しみですね。
高階はスナイプを使ってリークの無い手術を更新し、大学病院医院長の座を狙う佐伯教授にも協力していく。
佐伯教授とブラックペアンの謎
高階はスナイプを使ってリークの無い手術を更新し、大学病院医院長の座を狙う佐伯教授にも協力していく。
佐伯教授がシンポジウムで留守、高階はスナイプによる下部食道癌摘出術という中、東城大学付属病院に緊急患者が搬送される。
佐伯教授が、ペアンを置き忘れた20年前の手術患者だ。佐伯教授に電話で世良がそのことを伝えると「ペアンを取り出すことは、危険だ」と言う。渡海は「親父が見つけた医療ミスの証拠を時を経て息子の俺が取り出し、あんたのミスとして明らかしてやる」と息巻く。
ペアンを取り出す緊急手術が高階と渡海の手で行われる。癒着がひどく剥離が難しい、この2人であってもなかなかすすまない。高階が手術4時間にして、ペアンの取っ手らしきものにたどりつく。
高階はペアンが見落としで体内に忘れられたのではなく、なにかを噛ませているようだと気付く。
高階は渡海にそのことをいうが「佐伯が怖いのか」という渡海のことばにその異物除去に意を決す。
そこへ佐伯教授が踏み込んでくる。
国際学会の招待講演をすっぽかし、帰ってきたのだ。
ペアンを取り出すことを佐伯教授はとめるが、渡海はペアンを取り出してしまう。
そして、患者の出血が、、、止血を試みるが、2人は血を止めることができない。
佐伯教授は「渡海の父親との件は不幸な行き違いであった、息子のお前に謝罪したい、本当に申し訳ないことをした」と頭をさげた。
かつて手術した際、止むを得ず出血を止められなかったため、ペアンを体内に留置したまま閉腹したことをつげる。
置き忘れではなく、はずせなかったのだ。
家族と本人には伏せて退院させ、フォローを信頼していた渡海の父親にたくし、海外学会へと参加した。
ペアンのことを知らされていなかった渡海の父親は、患者の腹部にペアンを発見しまうことになったのだ。
佐伯が帰国すると、すでに渡海の父親は大学を追われていた。離島の医者になった渡海の父親に東城大学に戻ってきてほしいことを頼んだが、時すでに遅し、かなわなかった。
その時から佐伯はカーボン製のブラックペアンを特注し、手術道具に必ず入れるようになった。
ペアンを使って止血した場合、術後撮影や亡くなった時にペアンの留置がわからないようにするため、ブラックペアンはカーボン製なのだ。
カーボンなら、レントゲンには写らず、火葬されたら、一緒に燃えて後に残らない。
ブラックペアンを使わなければならない時、それは外科医を辞める時。
ブラックペアンを使わなければならない時、それは外科医を辞める時。
あのような出来事が繰り返されないように用意されたペアン。
この件で佐伯は辞任を覚悟する。
このことを知った渡海は声をあげる。「ばかばかしい、やっていられっかよ」
渡海は、研修医の世良に、自身の父親や佐伯の気持ちを理解できなかったこと、ペアン留置患者の手術適応判断の間違いを認めその責任で辞めることを伝え、大学病院を去っていく。
渡海が辞職したことで、佐伯教授は大学に残る。
大学病院長選挙を控えた佐伯教授は渡海を失ったことを少なからず思い置く。
医師である海堂さんのお話は、本当のことも混ざっている感がある。
臨場感あふれる手術シーンに、怖さを感じる。
この作品は、どの人物が善で悪か、というのがなく、それぞれの信念に従って正義を貫いている。
いろいろな考え方があって、どの意見が正しいのかなんてわからない。皆、正しい。
「緑剥樹の木の下で」(短編集「ガンコロリン」)で、その後の「オペ室の悪魔」の消息が、、、渡海先生は、内戦が続く南アフリカで治療をしながら、少年たちに勉強を教えている模様。こちらもぜひ読みたい。
追記:「緑剥樹の木の下で」(短編集「ガンコロリン」)を読みました! あらすじはこちら■