「タイタス・アンドロニカス」
シェイクスピアの中で最も異色、
かつ最も口で発音してみたくなる作品。
そう「タイタス・アンドロニカス」


初演が何年も前なので細かいところは忘れたのですが、
ストーリー云々よりも登場人物の激しい感情そのものが
記憶に残るような、そんな作品でした。
とにかくよく怒り、よく泣く。


最初に読んだときは、凌辱して殺して殺しまくる内容に
「どげんしたとや、シェイクスピア・・・」と不思議に思いましたが、
ある本に「2つの身体」という話が出ていました。


昔、王や権力者には一般的な肉体という意味での「自然的身体」と
不死、不滅の「政治的身体」があると考えられていたそうです。
「政治的身体」に関する罰、つまり王に反逆したり、
名誉を傷つけた罰は肉体の破壊だけでは足りず、
霊的なものまで破壊しなければならならない。
だから昔の拷問や処刑法はエゲツナイものが多かったと。


これがそのままシェイクスピアにあてはまるかはわかりませんが、
あれをああして殺したり、これをこうして食べさせちゃったり
眉をひそめるような行為が多いのも、登場人物にとっては
魂までも破壊しつくための当然のことだったのかもしれません。
今から見れば立派な狂気ですが。


ここまで言うと気落ちするような
陰湿な作品に聞こえますが大丈夫です。
最近の残酷表現の多い映画や漫画が、みなどこか内向きなのに対して、
「タイタス」はスカッとするくらい外向きなんです。

普段怒りたくても怒れない人、泣きたくても泣けない人が見れば
それなりに浄化作用があると思います。
現代人からみれば、異色というよりも癒しの作品なのかもしれません。

しかも今回は「1時間くらいでわかる」なので凝縮され、
かつスタジオでの公演なので人物の感情が直に感じられる
純度の高い作品になるのではないでしょうか。
まったくの憶測ですけどね!

というわけでLABO×EXPO3「1時間くらいでわかるタイタス・アンドロニカス」
3月28日(木)が初日です。
詳しくはこちら
熱帯OffficialWeb



レジで割り込みする人への復讐法を考えつつ、公演の成功を祈っているのです。
北九州で。