因数分解というとこれができるかどうかで中学・高校で数学についていけるかどうかのハードルになっています。
確かに数学の基本中の基本である「二次方程式」「二次関数」を扱うときに
まず、因数分解で式を解き、解けないときは「解の公式」で未知数を求める段取りを要求しますから
できないことは致命的かもしれません(でした)。
わたしは何をやっているか分からないとできない人だったので
単に道具として因数分解を教えられたのには大変困りました。
因数分解とは文字通り「因数に分解する」
式を掛け算の形に直して表すことです。
だから
整数の「素因数分解」と整式(文字式)の「因数分解」は原理的に全く同じことです。
整式の「因数分解」は整数の「素因数分解」の考え方を整式の範囲まで広げたものです。
素因数分解はある正の整数を素数の掛け算の形で表すことです。
それを文字式に拡張して複雑な多項式を一番単純な多項式の掛け算の形で表すことが因数分解です。
*素数・・・ 1 より大きい自然数で、正の約数が 1 と自分自身だけであるもの
*多項式・・・ いくつかの単項式の和として表される式
*単項式・・・ 数や文字の掛け算(積)だけで表す式
どちらも「因数」に分解することは同じなので
まぎらしくないように呼び分けているようです。
こんな話をしているのは
生徒は道具として因数分解の訓練を受けるだけで
時々、図から因数分解の説明をする人はいますが
そもそも、因数分解とは何かという説明を聞くことがありません。
もともとの因数分解は文字式にまで拡張した数の性質を追究するものです。
教える方も考えたこともないのでしょうか?
だから、公式とパターンを暗記させるか
ワザとしてパズルのように解き方を身につけさせることが多いのです。
因数分解がどんなことを意味しているか分からなくてもパズルとして解くことはできます。
かつて、中高生のころわたしはそれができなかったので苦戦しました。
道具として役立つことは分かっていても。
因数分解を数学的な美しさや面白さから問題を解くこと自体を求めることもあります。
時には「数論(数学理論)」的な面白さを感じさせるものもあります。
道具だったものが実用を越えてパズルになってしまうと
それが受験問題を難しくするためにつかわれることもあったようです。
解き方の練習の仕方が分かると解けるのでけっこうはまるのですが
やはり、わたしは数学パズルと数学には一線を画した違いがあると思います。
そのことを踏まえた因数分解の学び方がないかと考えています。