科学実験への誤解は科学への誤解を生む | 母親ひとり親の医療の学校の受験・修学手助けします

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前回の続きです

 

もともと

実験は何のためにするのでしょう。

 

学問の上では新しい事実を発見するため

そして、発見された事実を確かめて公のものにするためです。

 

では

学校の授業での実験は何のためにするのでしょうか?

結果を確かめるため?

わかりきった事実をですか。

 

たいてい、実験する前に結果はわかっています。

教科書に書いてありますから。

 

結局、追実験をやらせるだけですね。

確かに

追体験をさせることは無意味ではありません。

それはそれなりに経験を増やす、楽しければ悪いことではありません。

 

しかし

本来の科学実験はそれとは全く性質の違ったものなのです。

 

たとえ、それが新発見のための実験ではなくとも

よい実験にはどのような共通の知識(概念)を手に入れさせるかという目標が有り

体験する人にどのようにそれを分からせるかという工夫が必要なのです。

 

自分が予想したことが実験によって確かめられ

それによって

人に新しい見方を与えるのでなければ

それはただの事実の暗記と何も変わらないのです。

よい実験は自分の思い込み(観念)を

共通の知識(概念)に高める機会をつくることが出来ます。

 

実例を挙げます。

「質量(エネルギー)保存の法則」の実験です。

「物はなくなったりしない」ということです。

(現代物理学では厳密には成り立たないとされているが

実際には成り立つとしてもほとんど問題はない)

 

体重を量ったばかりの人に急いで水1Lを飲ませて

すぐにまた体重を測ったときに体重はいくらになるかという実験があります。

結果を言うと「体重+1kg」になります。

「質量(エネルギー)保存の法則」から考えると当たり前のことです。

1L(1kg)のものを体に取り込んだわけですから、1kg増えたわけです。

 

ところが

実験前にアンケートを取ると

たいていの人はなかなかこれを認めることができません。

結果を暗記することは簡単でも

サイエンスの概念を知ることはむずかしいのです。

 

たとえ、それが簡単な実験であっても

予想を実験で裏付けされる体験があって

結果を知るだけではなく

結果に至る筋道を知り

初めてサイエンスというものの見方がわかるのです。

 

学校の理科教育では生徒実験と教師実験どちらがよいのかという議論があります。

わたしの考え方からすると

生徒に体験させるということを目的にしなければ

失敗しやすい生徒実験にこだわるよりも

十分に準備をした教師実験のほうがいいという答えになります。

 

そうすると

慣れない教師実験でなくとも動画でもいいということになります。

サイエンスを学ぶということは

小学校の教員に実験の練習をさせればいいとかそんな次元のことではないのです。

 

実験とは西欧で新しい「真理観」を手に入れるために

500年以上にわたって行われてきた方法なのです。

サイエンスにとって結果を知らせることは無意味ではありません。

 

しかし

サイエンスが独善に陥らないためには

サイエンスが高度化して普通の人に分かりにくくなったこの時代には

普通教育では広くサイエンスを成り立たせているものを知ることが大切です。