《書評》『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』 早期教育の神話はほとんど否定されました | 母親ひとり親の医療の学校の受験・修学手助けします

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『赤ちゃんはことばをどう学ぶのか』(針生悦子)

針生さんが否定しているのは次の点です。

①子どもはみなその言語の完璧な使い手になる

②子どもの言語習得は速い(短期間で完成する)

③子どもはラクして言語を身につける

 

この本の内容を読めば早期教育の神話はほとんど否定されることがわかります。

言葉は人間の知能の核心です。

赤ちゃん(幼児)が言葉を手に入れることがこれだけむずかしいのであれば

今まで考えられてきた早期教育がほとんど無意味であることになります。

 

特に、バイリンガルについての神話は完璧に否定されています。

確かに、針生さんの立場が早期外国語教育に反対だから

このような結論になると主張したい人もいると思いますが、

その立場を差し引いても

確実に証明できていると思います。

 

賛成派は

新生児はどんな言葉でも身につけることができること

子どものけた違いの記憶力

という点を盾にとって

拡大解釈して幼児の外国語教育などの早期教育を主張してきました。

しかし

それは思い込みだけで

早期教育の効果には根拠はありません。

 

以下、各章の題名とまとめを抜き出します。

 

第1章 赤ちゃんは本当に「天才」なのか

【まとめ】子どもは「見えないところ」で努力している

 

第2章 まず、聞く

【まとめ】赤ちゃんは「聞く」のにとても苦労している

 

第3章 「声」から「言葉」へ

【まとめ】話せるようになるのにはたいへんな努力が必要

 

第4章 子どもはあっという間に外国語を覚えるという誤解について

【まとめ】子どもも母語以外の言語環境に入るのは「辛い」

 

最終章 必要だから、学ぶ

 

 

特に新しいデータはないという批評もありますが

この本のよい所はきちんとデータが整理されて

主張するところが手際よくまとめられていることです。

 

そして

この本はデータを中心に話を進めているわりには大変読みやすい本です。

「日本人のためのやさしい日本語」にかなったものです。

 

わたしはオトナが学ぶことは子どもを自由にすると考えています。

オトナが自分の思いを子どもに強制することなく

芸術の分野、生まれながら特別の才能をもっている子を除いて

幼児からの才能教育を強制されない

社会になってほしいものです。

 

でも、心配はありません。

「嚢中の錐(袋の中のきり)」という言葉があるように

いくら押しとどめても

才能は表に出ようとします

才能教育を強調するよりも

袋から飛び出てくる才能を

押し戻さないことの方が大切なのです。