巨人の次期監督に「華」はあるのか――4人なら、どんな巨人になるのか

 

 巨人の次期監督候補として、いろいろな名前が挙がっている。

 

 原辰徳。高橋由伸。松井秀喜。桑田真澄。

 

 どの人も巨人にとっては特別な存在だ。だからこそ考えてみたい。

 

 もし、この4人がそれぞれ監督になったら、巨人はどんなチームになるのだろう。

 

 単純に「誰が勝てるか」ではない。どんな選手を使うのか。若手をどう育てるのか。試合をどう動かすのか。そして、ファンにどんな野球を見せるのか。そこまで考えると、4人の違いが見えてくる。

 原辰徳――「勝負に勝つこと」を最優先する巨人

 原監督の最大の特徴は、やはり勝負勘だろう。長いシーズンをどう戦うか。どこでベテランを使うか。どこで勝負を仕掛けるか。ここ一番で誰に託すか。そういう「勝つための判断」を積み重ねてきた。原が監督なら、若手を育てることも大切だろうが、最終的には、「今年、勝てるのか」を強く意識するはずだ。

 例えば、若手が少し調子を落としたら、経験のある選手に戻す。重要な試合では、実績のある選手を使う。勝負どころでは、ベテランに託す。そんな「勝利優先」の野球になる可能性がある。

 これは悪いことではない。むしろ巨人ファンが求めてきたものでもある。ただ、問題はそこだ。

 

「勝つために過去の実績を使う」のか、「未来の巨人を作るために若手を使う」のか。

 

 原なら前者に傾くのではないか。原の「華」は、「この試合を何とかして勝ってくれそう」という華だと思う。

 高橋由伸――「選手の個性を生かす」巨人

 高橋由伸なら、もっと静かな野球になる気がする。現役時代からそうだった。派手に感情を出すタイプではない。しかし、打席に立っただけで球場の空気が変わった。監督になれば、その「静かな華」がチームにも出るのではないか。

選手一人ひとりの能力を見ながら、「この選手は何ができるのか」を考える。無理に型にはめるのではなく、それぞれの良さを生かす。若手にも、「結果を出せ」とだけ言うのではなく、「お前の持っているものを出せ」という野球になるかもしれない。ただし、前回の監督経験がある。だからこそ、今度は何を変えるのかが問われる。前回と同じ高橋では意味がない。

 

 「一度監督を経験したからこそ、今度は違う」

 

というものが見えれば面白い。高橋の華は、「静かだけれど、何かをやってくれそう」という華ではないだろうか。

松井秀喜――「スターを育てる」巨人

 松井なら、まったく違う物語になる。ファンが期待するのは、やはり「スター」だ。自分自身が巨人の4番だった。その後、メジャーへ行った。だから松井が監督になれば、「次の松井を育てられるのか」という期待が自然に生まれる。例えば、まだ実績のない若手打者を4番候補として育てる。若い選手に大きなチャンスを与える。失敗しても、次の打席を与える。そんな「スターを作る野球」を見てみたい。

 もちろん、松井が実際にそうするかは分からない。監督としては未知数だからだ。しかし、そこが面白い。

 

 未知数だからこそ、夢がある。

 

 松井の華は、「この選手を、次のスターにしてくれるかもしれない」という華だと思う。

 桑田真澄――「なぜ?」を選手に問いかける巨人

 桑田なら、さらに違う。桑田は、野球を「考える」タイプだ。なぜ、この練習をするのか。なぜ、この球を投げるのか。なぜ、この場面でこの守備位置なのか。ある意味、巨人の仇敵「野村」に通じる。そういう一つ一つを選手に考えさせる野球になりそうだ。若手選手にとっては、かなり刺激的だろう。

「言われたからやる」のではなく、「自分で考えて野球をする」という方向に持っていく。そして、投手出身だからこそ、投手陣の育成にも注目したい。

若い投手を一軍で使いながら、長い目で育てる。そんなチームになる可能性がある。ただし、理論と勝負勘は別物だ。考えているうちに試合が終わることもある。だから桑田が監督になったら、

 

桑田の華は、「この人なら、今まで知らなかった野球を教えてくれる」という華だろう。 「理論派の桑田が、勝負師としてどう変わるのか」も見てみたい。

 そして、もう一つの選択肢

 ここまで4人を考えてみると、面白い。原なら「勝つ」。高橋なら「個性を生かす」。松井なら「スターを育てる」。桑田なら「考える」。それぞれ違う。だからこそ、監督選びは単純な「実績比較」ではないと思う。

 

 どんな巨人を作りたいのか。

 

 そこを決めてから、人を選んでもいいのではないか。そして、さらに言えば、「この4人の中から選ばなければならない」

という決まりもない。若い人でもいい。巨人OBでなくてもいい。監督経験がなくてもいい。今までの巨人にはなかった発想を持っている人に、思い切って任せてもいい。失敗するかもしれない。でも、成功するかもしれない。何より、

 

 「何かが起こりそうだ」という期待が生まれる。

 野球には「華」が必要だ

 昔の監督には、それぞれの信念の中に「華」があった。長嶋には長嶋の華。野村には野村の華。古葉には古葉の華。森には森の華。広岡には広岡の華。

 同じ野球ではない。だから面白かった。監督が変わるたびに、野球の景色が変わった。

 野球は、会社経営とは違う。勝つことはもちろん大切だ。しかし、それだけではない。

 

 野球はエンターテインメントなのだ。

 

 ファンは、「今年は何が起きるんだろう」「この若手がスターになるかもしれない」「この監督なら、何かやってくれるかもしれない」そんな夢を見ている。

 だから次の巨人の監督には、

 

 「一番実績のある人」ではなく、「一番、未来を想像させる人」を選んでほしい。

 

 原なのか。高橋なのか。松井なのか。桑田なのか。それとも、まだ名前の挙がっていない誰かなのか。大切なのは、誰が一番有名かではない。

 

 「この人が監督になったら、巨人はどう変わるのだろう」

 

 そう思わせてくれること。それが、監督の「華」なのではないだろうか。

 強い巨人だけではない。ワクワクする巨人を見たい。そして、ファンが明日の試合を待ちきれなくなるような、そんな「華」を持った監督を見てみたい。