期待 | 僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死ぬ日・・生まれる日

僕が死んで・・生まれる日までの記録

女関係の話をまったく誰にも話さない私と違い木村は昔から私に何でも話してくれた。


美香との事もそうだが当時、付き合っていた大勢の女も殆ど知っている。


「隠し事は親友にはしない!」


そう木村に言われた事があった。


きっと、それはだからお前も俺に何でも話せと言う意味だと思う。


しかし、当時の私は決して他人に自慢げに話せる恋愛をしていなかったので・・


私は仲間の中では女に不自由してる哀れな男であった。


美香に依頼をされた後に何気なく木村に聞いてみる。


「お前・・最近、女の方はどうなのよ?」と


木村は少し驚いた顔をしながら呟く


「飲み屋の女はチョロチョロな・・」と


その中に今日子が含まれているのでは?


そんなしょうも無い疑いが頭を過ぎる。


「そうか!まぁ~程ほどにな!お前も人の親なんだから・・」


そう私が言うと少しだけ気に障ったのか・・


「お前に言われたくね~~よ!」と木村は言った。


きっと、こいつは今日子を俺の関係に感づいている・・


そう思わない方が不思議であった。


それは私の勝手な想像なのかもしれないが・・


それから数日後、また今日子から連絡が来た。


「で??何時来るのよ?店に・・」と


私は正直、あまりこの女と会いたくなかった。


友美は私を口には出さないが疑っている・・


そう感じていたからだ。


自分は浮気をしてそ知らぬ顔をしてるくせに・・


旦那の浮気は許せないとでも言いたいのか??


「ああ・・最近、忙しくてな!夜も遅いんだ・・」


そんな私の言葉に


「嘘!今夜・・来てよ!待ってるから・・」


一方的に今日子はそう言って電話を切った。


私は例の暗号を木村にメールした。


今夜はお前と会うことになってる・・


木村から暗号の返事が来たのは数秒後の事であった。


その日の夜、私は蒲田の繁華街を歩いていた。


なぜなら今日子から再び、メールが届いたからだ。


「同伴してよ!蒲田の改札に6時に待ち合わせね!」


同伴??なんとも我侭な女である。


そしてその我侭を受け入れてしまう自分は??


きっと、この女に少なからず、何かを期待しているのかもしれない。


友美が持っていない何か不思議な妖艶な魅力を持ったこの女に・・


私の右手をしっかりつかみながら私の横を夜の蝶が舞っている・・・


すれ違うサラリーマン達が羨ましそうに私を見つめ・・


今日子の体のラインを助平そうに舐めるように見つめた・・


「焼肉!行きたい!焼肉!!」


「えっ???焼肉かよ!」


「そう!最近、肉・・食べてないのよ!肉・・」


なんとなく意味深な言葉に少しだけドキドキする・・・


蒲田には焼肉屋が多い。朝鮮系の住人が多く住んでいる事も関係してるのだろうか?


焼肉を食べて今日子の店に着いたのは7時を少しだけ過ぎた頃であった。


なんか・・俺・・変わったな?


そうグラスを傾けながらそう思っていた。


今までこんな飲み屋に一人で来る事なんか無かったのに・・


そして何時の間にタバコに火を女につけてもらう事にも違和感が無くなっている自分・・


もしかしたら私はこんな世界が好きだったのかもしれない。


夢を売る商売なんだ!お水は・・


私はこんな世界に夢なんてある訳が無いと思っていた。


そしてこんな店に金を湯水のように使っている男を軽蔑していた。


しかし、最近、そんな男たちの気持ちが少しだけ解る気がする。


夢ではない・・ここに存在してるのは・・


この世界に存在してるのは孤独からの開放・・なのかもしれない。


男たちは大金を使いながらこの世界で孤独では無い自分を買っているのかもしれない。


「最近、木村は来るの??」


そう私がポツリと呟くと一瞬、今日子がギックとした。


体が一瞬、硬直したのがわかる。


「な・・何で?いきなりそんな事を聞くの?」


「い・・いや・・なんとなく・・」


「もしかして社長と私との事をやいてるの??

それなら、大丈夫!社長のお気に入りはあの子だから・・」


そう今日子が指差した方向に一人の女が接客をしていた。


私は思わず彼女を見てお驚きの声を上げた・・


「と・・友美・・・何でお前がここに居るんだ!」と


私のさらなる苦しみの序曲であった。


人生は辛すぎて私の手には負えない・・