その月の2回目のサークルの時に今日子にとって最も悲惨な事件が起こる・・
その日の朝、何時ものように幼稚園の近くでタヌキと待ち合わせをして幼稚園に向う。
そんな時でも葵はタヌキの息子を何度も叩いていた・・
しかし、葵だけがそうかと言うとそうではなくタヌキの息子も同じくらい葵を叩いていた。
何なのだろう?やはり年をとってからの子供は甘やかせる為だろうか??
今日子もタヌキも30歳をとうに越えている・・・
もう良い年の大人である。
ある意味、若い母親の方が厳しく子供を育てるのかもしれない・・
しかし、葵に息子を叩かれる度にタヌキは今日子と話をしながら落ち着かないようにチラチラ息子を見つめる。
しかし、子供の世界と子供の世界は違うようだ・・
タヌキの子供もそんな葵との遊びを楽しいで居た。
「今日もサークル行くのに乗せて行ってくれないかな~~」
今日子のそんな言葉にタヌキは笑顔で頷いた。
幼稚園に無事に送り届け2時ごろに葵を迎えに行く・・
タヌキ親子と一緒に途中まで帰った。
帰り際に・・
「それじゃ~3時に迎えに来てね!」
今日子は笑顔でそう呟いた。
しかし、自宅に戻るとどうも体調が悪い・・・
ダルと言うか・・何と言うか・・・
なんか・・行きたく無くなった・・・
今日子はタヌキにメールを打った・・
「なんか、調子が悪いので今日は行けません・・・」
丁度、その頃、タヌキは今日子を乗せて行くのに車の中を掃除していた。
そしてそのメールを見た瞬間に殺意に似た怒りを覚えたのだ・・
ふ・・ふざけんな!さっきまで元気だったじゃん!
しかし、人間の体とはとてもデリケートで急に具合が悪くなる事だってある。
そんな経験・・誰でもあると思う・・
きっと、今日子が行けないとメールした事は大した事では無かったのだと思う・・
それはただのきっかけで、タヌキの中のストレスが一気に爆発したのだ・・
「あんた・・ふざけてるの!
もう、一緒に行かないから・・・」
怒りに震えた指先でタヌキはそう返信をした。
ビックリしたの今日子である!
そのメールを見て直ぐに事情を説明する為に携帯電話の番号を押した・・・
数回の呼び出し音の後、電話は留守番電話に切り替わる。
何度も何度も震える手で電話をかけたが全くタヌキが電話に出る気配は無かった。
今日子は急いで娘の葵を自転車に乗せるとタヌキの自宅に向った。
数回、チャイムを鳴らすと笑顔のタヌキがドアから顔を出す・・
そして今日子の顔を見た瞬間、鬼のような形相にその顔は変化する・・・
「何回も電話したのよ!ごめんなさい!急に調子が悪くなってしまって!」
今日子は申し訳無さそうにタヌキに謝罪をした。
何時もならここで・・
「良いのよ!仕方が無い・・・」と言う返事が来るはずであった・・
「あんた・・元気じゃない!私の事、バカにしてるの??」
意外なタヌキの言葉と冷たい視線に今日子は震えた・・
「い・・いや・・ごめんなさい!」
消えてしまう!友達が・・友達が・・消えてしまう・・・
今日子はその場で土下座をした・・
泣きながら・・土下座をしてタヌキに謝罪をした・・
何度も・・何度も・・頭を床に擦りつけながら謝罪をした・・・・
そんな姿を見てタヌキは・・・
あ~この女は自分の下の人間だと思った・・・
友人ではない・・こいつは・・私より下の人間だと・・・
タヌキは含み笑いをしながら・・・
「今回は許してあげるけど・・
次は無いからね!」と呟いた・・
そんな言葉を聞きながら・・
「ありがとう!ありがとう!」と何度も今日子は泣きながら言った・・・
友達って・・何だろう???
友達って・・そんな事までして持たなければいけないものだろうか???
ある意味、確かに今日子にも非がある。
しかし、も直ぐ40歳になるような大人の人間が・・・・
そんな単純な事で涙を流しながら謝罪をしてる人間に対して・・・
言う言葉はあるのでは無いのだろうか???
それ程までになぜに友達を守ろうとするのか???
孤独になると言う事は・・そんなに恐怖なのだろうか???
その日の夜、誠が自宅に帰宅すると真っ暗なキッチンで椅子に座り今日子が泣いていた・・・
さずがの誠も・・
「どうしたんだ?」と声をかける・・・
詳しく話を聞きながらなんとも大人気ない話に呆れてしまった・・・
確かに約束を破った今日子が一番、悪いのかもしれない。
しかし、具合が悪くなったのだから仕方がないと言えば仕方が無い・・
1つ、許せなかったのは今日子が土下座をして謝ったのにそれを止めなかったタヌキの態度であった。
常識・・常識なんて口にする人間に限って本人が常識が欠落している・・・・
40歳にもなる人間が・・普通、相手にそこまでさせるだろうか???
まして、ただ、約束を破っただけなのに・・・
誠には土下座をした今日子も信じられなかったし・・
それを何も言わないで見ていたタヌキと言う女も信じられなかった・・・
誠は今日子に向った言った・・
「何もそんな辛い想いまでしてそんな奴と付き合わなくても良いじゃ無いか?」と・・
誠にしてみれば、別に居なくなっても良いじゃないかと簡単に言いたい気持ちであった。
別に・・・周りに人間は沢山居るのだ!
何時か、気の会う相手が見つかる・・・
なにも、そんな事までして友達で居なければいけない理由が誠にはどうしても解らなかった・・・
「簡単に言わないでよ!ママ友の世界の事なんか!何も解って居ないくせに!
1人に嫌われたら全員からシカトされるんだからね!
色々な陰口を言われて!
私は良いわよ!でも、葵が可哀想じゃないの!葵が・・」
誠は興奮しながらそう叫ぶ今日子を見ながら心の中で呟く・・
違うだろ・・本当は・・・葵じゃないだろ・・お前だろ?と・・
「そうか!なら、別に何にも言わないよ!
それに、俺は、1度もいじめってヤツに合った事がないから・・
何も助言できないしな!
まぁ~頑張れよ!」
本当は誠もその時に今日子と一緒にこれからどうするか?考えようと思っていた・・
しかし、そんな今日子の言葉が誠の開きかけた心をまた閉ざしてしまったのだ・・・
誠は一言・・・言ってあげたかった・・
「誰も居なくなったって良いじゃないか?
お前と葵には・・俺が居るんだから・・・」と
でも、その言葉は・・誠の口から発せられる事なく・・
再び誠の心に閉じ込められた・・・
数ヶ月後、誠はこの時にこの言葉を言ってあげなかった事をもの凄く後悔をする・・
そして、この時に妻の苦しみを少しでも理解してあげようとしなかった事を・・
人生は辛すぎて私の手には負えない・・