私の原罪
背徳の物語
>告白致します
>懺悔致します
>今、やっとその時が来ました
私は齢 66歳の尼僧
長崎の聖ルチア修道院士長です
6年前から乳がんでした
私の命の灯は雪が融けるが如く
蠟燭の炎が最後に明るく回りを照らす様に
消えていきます
今こそ
告白致します
懺悔致します
私が11歳の頃、冬だった
ベッドの中で足を重ねていると
妙な気持ちになり
うつ伏せになって、
もっとグッと腰に力を入れた時
何とも言えない快感そして
ドクンドクンと波打つ
下腹の奥底に響く何か
エッ、ナニコレ
気持ちいいのか悪いのか
その時はわからなかったのです
男女の理さえ知らない自分でしたから
でも、なんとなく言ってはいけないモノ?
唯々、これは悪い事の様な気がして
背徳感で体がカっと熱くなりました
誰にも知られてはならない
我が一族は元華族で私は子爵九室戸実為の曾孫
父は九室戸実彦、母は米国人メアリー・グリーン
父の世界銀行ボストン支店赴任中に米国貿易商社長の娘
メアリー・グリーンと米上流階級のパーティーで引き合わされ
国際結婚
私はその両親の間の長女
旧華族子爵九室戸分家の一人娘
家は米国人の母の影響もあり
父も結婚時カトリック教徒になりました
普通カトリックの家では兄弟姉妹が多くいるのですが
両親の願いも虚しく私以外の子を成せません
産まれて間もなく聖ルチア修道教会で洗礼を受けました
父はその後私が3歳の時日本に帰国
世界銀行横浜支店に配属されました
私は聖ルチア女子大学付属の幼稚園から
小、中、高を経て聖ルチア女子大を卒業
その後2年間の米国のコレッジに語学留学
帰国後は、聖ルチア女子大学院に入ります
私のミッションスクールの先生は皆カトリックの尼僧姿です
私は幼いころから此処の独身の先生方に憧れてきました
ゴッドにお仕えする修道女になるのが夢でした
清く正しく神の僕に、その御子イエスに一生を捧げる
告白致します
懺悔致します
この背徳感を知ってしまった時から
悩み苦しみました66年間も・・・
私にはその資格が無いのか?
サンタルチア女子大学院大卒業まで
自問自答の15年間を過ごします
ノンフィクションですが人物・団体名は架空のモノです
一部ミステリー小説的な脚色が入っています
【墨呂空】