イノゑ皇女の最期
村の媼二人が話している
ホレ、ご覧よアソコ
エッ!アノ小汚い小屋に・・・
はぁ~お偉い方にはソレ、それなりのな
そうよのう・・・運の廻り合わせもあるやし
今朝は、都の役人が来ていたが・・・何様で
あっ
二人の媼はあまりの悍ましさに腰を抜かした
ど、毒を盛られたか・・・・・・・・・・・・・・・
イノゑ様か?・・・・あああ恐ろしや、親王様もか
顔中の穴から血が噴き出している女が現れた
天空を仰ぎながら何か言っている
無実です、助けて皇太子だけは・・・帝、・・・赦免のご膳の酒に・・・
小屋の中からは廃太子の断末魔が聞こえる
イノゑ廃后は雲間から差し込む太陽の光と溶ける
その瞬間
震える両手を高く上げながら目をかっと広げた
イノゑ皇女最後の姿だった
【墨呂空】