和気清麻呂と姉広虫都に帰る
配流先は別々だった
一年前に崩御した女帝の怒りに触れた為
あの道鏡を皇位に就ける？算段
いつの時代も忖度しておべんちゃらを言うやつがいる
宇佐神宮の紛争を収めた中臣アソマロがソレ
女帝がお喜びになる様なお話を持ち込んだ
道鏡さまに国を託せば、この国は安泰・・ってよ
宇佐神宮に神託が降りたってよ
寵法師銅鏡の身分を何とか揺るぎないものにしたい
常日頃考えていた彼女には心地よい囁き
ところが、流石にコレには反対する物が多かった
皇族も豪族も少なからず渋い顔、そこで・・・宇佐八幡神宮へ
出来レースを仕掛けたのだ
出来レースの大失敗
法均（和気広虫）は女帝の側近で
その役を仰せ付かった
しかし、たまた法均は更年期で体調整わず
急遽、弟和気清麻呂が
宇佐神宮まで行ったのだ
姉上、一年間私の為に申し訳ございません
いえ、いいのよ清麻呂、私こそあの時身体の具合が悪かったばかりに
でも、これで良かったと思う、やはりこの国の大君は皇室から出ないと
姉上、さぞ先の帝をお恨みでは？あのように尽くしていたのに
いいえ、恨んだりしていない、・・・配流先も気を遣ってくれた様だし・・・・
あの方は、上げた拳を引っ込める事が出来なかった、立場上にね
道鏡さまも、配流で済んだし････ﾔﾚﾔﾚまぁ
広虫は備後の国
清麻呂は遠く隼人の大隅半島に流された
帰洛
お偉い方は、それなりに苦労があるのよ、でもあの方らしい事
姉上、呑気ですね、あのような屈辱を受けたのに・・・・
酷い名前を付けて楽しむのはあの方の趣味で・・・フフフ
帝なのにそれくらいしか出来なかったのがむしろ・・・それよりキヨマロ貴方、百川殿に⁈
ハイ、藤原式家百川殿に都に帰るや否や呼び出されました
中枢に戻るのだったら、身の振り方は気をつけてね
姉上は？もう出仕しないのですか
エエ、私はもうねｗナカにはあまり、ソレに・・・・・※あの人たちの悲田院を我が里に移すの
もう行くね清麻呂よ、母とそこで見守っていますから
大変だったらいつでも帰っておいで・・・・広虫は故夫葛城氏と孤児を育てていた
※悲田院
光明皇后の造った日本初の福祉施設
狭虫と穢麻呂
セマムシとキタナマロ
姉弟はこんな不名誉な名を女帝から賜り配流となったが
孝謙天皇（重祚して称徳天皇）が間もなく崩御されたので赦免
清麻呂は呼び戻されて６００名の仏僧を集めて
イノゑ廃后を供養しよと百川殿に仰せつかった
それよりも、清麻呂
宮中は上手く泳ぎ回る事よ
参議百川殿は噓つきだから
イノゑ様もあのように惨い事になった
イノゑ様が怨霊って？
今上の姉上難波内親王まで誣告したなんて・・・
イノゑ様は、先の女帝とは異母姉妹だったけど
性根は全然違っていたし・・・どちらも哀れ皇女に生まれるって一体
論功行賞
広虫はその後宮中に戻り、女官の最高の位に就いた
弟の和気清麻呂は、桓武天皇に仕え平安京の礎となり
皇室を守った忠臣として昭和の初めまで称えられた
【墨呂空】