UXの納品調整にお邪魔しました。

 

 

アップライトピアノの調整は

我々がいうところの

"カラ"調整からです。

平たくいうとタッチ調整ですが、

この調整はすごく奥が深いものです。

必ずしもセオリー通りに行えばいい

というわけではなく、

臨機応変な調整が求められます。

 

特に今回のように

バットスキンを交換した場合は、

かなり大幅な変更が必要になり

通常より時間がかかります。

 

カラ調整。

 

カラ調整の後は鍵盤の高さ深さ調整。その後もう一度カラ調整..

 

 

アクション調整は何項目もありますが

ハンマーのど真ん中で弦を打つ調整は

楽器の音響に直結するため

極めて重要です\_(`o´)ココ!

 

指先のハンマー先端が僅かに左へ曲ってます。

 

熱を当てその曲がりを真っ直ぐにします。

 

ところで、

このハンマーを曲げるコテですが

アイロンのように熱くなるので

特にお客様宅でこの工具を使う場合は

コテを何処に置くか悩みます。

 

工具の鉄部分に置いたり

台になる硬いものを持参したり

いろいろ試してきましたが、

今は小さいパイプ椅子を

ひっくり返して使っていて

この方法に落ち着いてます。

 

ある程度の高さもあり取りやすいし

床に熱が伝わりません。

椅子としても使うので

正に一石二、いや三鳥です。

鳥鳥鳥

 

パイプ椅子ひっくり返しの術。

 

 

 

ぺぺちゃんことぺぺロミオイデスが元気いっぱいです。

 

可愛い多肉植物が増えてました。

 

 

全ての作業が終わり

調律の頃にはもう外は真っ暗。

ほんと日が短くなりました。

仕方ないことですが

少し寂しいです。

 

 

 

 

調律の後は

薄暗くなった部屋によく合う?

ベートーベンの曲を

何曲か弾いてくださいました。

 

中でも

月光ソナタ第一楽章を聴いた時は

なかなか感慨深かったです。

 

 

 

 

僕自身、

ピアノを弾くようになったきっかけが

ベートーベンの月光だったので

今この仕事をしていて

自分がメンテナンスしたピアノで

改めてこの曲を客観的に聴くと

また違った感慨があります。

 

なぜあの時この曲を聴いて

ピアノを始めた僕が

なぜ今このピアノを直して

あの曲を聴いているのか

まったくもって人生は謎。。

 

 

ソドミ ソドミ¨*•.¸¸✧

 

 

じつは今回もう一つ調整以外に

ピアノを移動するという

地味に大きな目的がありました。

 

移動といっても

ピアノを僅かに35㎝左へ、

僅かに10㎝だけ前への移動です。

 

お客さんがピアノの置き場所についての

僕のブログを読んでくださっていて

ピアノを少し左へ動かしたい、

あとピアノの背面も壁から少し空けたい

とのことからです。

 

ピアノを動かすついでに

背面に溜まったホコリもお掃除しました。

 

 

これが今は作られていないウワサのX支柱です。

 

 

ピアノの背面を少し空ける目的は

音を出すためです。

 

アップライトピアノの音は

背面むき出しの響板からも出ています。

特にアップライトの場合

前面はパネル類でほぼ塞がっているため

音がこもってしまいます。

調律時に前パネルを開けた状態で弾くと

大きな音が出るのはそのためです。

よくジャズバーなどで演奏者が

前パネルを取り外した状態で弾くのは

より生の音を響かせたいためです。

 

一般的には前パネルを取り外したまま

演奏するわけにはいきません。

だから背面を壁から前に出すことによって

少しでも大きな音を出したい

というわけです。

 

逆に騒音対策など

音を小さくしたい場合は

ピアノ背面に消音材を入れるなど

工夫すると効果大です。

 

 

10㎝空けるだけでかなり音が拡がる。

 

 

そして一つピアノの右側を空ける理由は

高音部の調律をしやすくするためです。

このことはアップライトもグランドも一緒です。

 

ピアノの右側が壁にべったりだと、

腕(肘)が入らないため

特に最高音部1オクターブ分の調律が

ほんとめちゃくちゃしにくいのです。

きっとこのことは

全世界同業者の悩みどころのはず。

 

 

この様に壁べったりだと見た目や収まりはいいが高音部の調律がしにくい。

 

 

もちろん壁べったりでも

調律を行う方法はいくつかありますが

いずれも非常にしにくいのです。

調律しにくいということは

微調整がしにくい

ということでもあります。

腕が入ったほうが断然しやすいのです。

 

ですので、

ピアノの設置を考えている方や

ピアノの移動を考えている方は

最低でも右30㎝は空けてください。

できれば35㎝でお願いします。

なんなら体が入るくらいでもいいです。

右側が空き過ぎて問題がある、

ということはありません。

 

あ、ピアノの左側は壁べったりでも

まったく問題ありません。

 

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今後も生まれ変わったUXで

大好きなベートーベンの世界を

追求してください。

 

 

 

 

 

追記..

メンテナンス後、今回のお客様から嬉しい感想メールを頂戴しました。どうもありがとうございましたm(__)m

 

メモ

先日も長時間に渡り、ご丁寧に作業していただきまして、ありがとうございました。おかげさまで、弾いている時の感触が全く別物になり(まさに「滑らか」という表現がシックリ来ます。カスタード→生クリームのような変化?)、おそらく買った当初の状態は、このような状態だったのでしょうね。 昨日、弾いていて、曲と相まって、不意に涙が出そうになりました。

原文ママ

 

 

 

 

今日も僕のブログを読んでくれてありがとうございましたm(__)m

 

OTO

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