UXのクリーニングへお伺いしました。

 

 

受け取っていただいた

ぺぺちゃんことペペロミオイデス。

かなり元気になっていて嬉しかったです。

 

出窓でたくさんの陽を浴び

前回寝ていた葉もピンピンに立ちワサワサです^^

なかなかカッコよく葉を伸ばしてます。

 

 

OTO式クリーニングはまず

 

チューニングピン

プレッシャーバー

キーピンなど棚板系

鉄骨などピアノ内部系

ペダル

 

と上から順番に行っていきます。

理由は上から削りカスやら何やらが

下へ落ちるからです。

 

ビフォー

 

アフターキラキラ

 

 

OTO式クリーニングお約束のペダルですが、

おそらくお客様が過去にご自分で

少し磨いておられたようでした。

けっこう頑張っていただいたと思います。

 

がしかし!

 

これでは不十分なのです。

 

製造後40年で一度も磨いてないと

腐食がなくてもかなり黒く曇ってしまい

ペダルが真鍮製ということさえ忘れさせます。

 

おそらく真っ黒だったのを手作業でここまでされたのはすごいと思いました。

 

で実際にやってみるとわかりますが、

ペダルの汚れや腐食部分を

新品時のようにピカピカにしようと思ったら

手作業だと何時間もかかってしまいます。

症状の酷い場合だと1日かかるかもしれません。

でたぶん途中で嫌になると思います。

 

それくらいペダルの汚れや腐食というのは

完璧に取り除くのが大変なんです。

よく動画サイトなんかで

「ご家庭でペダルをピカピカに磨く方法!」

としてピカールなどの金属磨きで

磨くようにと紹介されてますが、

あれは嘘とはいいませんが

実は完璧な方法ではありません。

 

ではなぜ完璧な方法をUPしないのかというと

一般のご家庭では現実的ではないからです。

たかがべダル磨きですが、

それくらい大変な作業ということなんです。

 

大きい工房だとピアノを寝かし

底板を取り外し、ペダル本体を取り外し

バフという高速回転で回る機械で

目一杯力を入れて磨きます。

僕も作業には機械を使います。

ペダルを取り外せない分作業は大変ですが

工夫して頑張ればできます。

 

で最初はピカールでは磨かず

もっと目の荒い研磨剤を使います。

ピカールはけっこう目が細かいので

激しい汚れやサビは落ち切りません。

ピカールはあくまで仕上げです。

最後までピカールを使わない人もいます。

 

参考までに1本だけ磨いてみたところ↗︎

 

弊社の売りは

ピアノをご自宅から出さなくても

ピアノ内部もアクションも

かなりのレベルまでキレイにできる

ということです。

 

ピアノを出せばそれだけ作業は楽になりますが

ピアノの往復運搬費だけでも

それはかなりのものです。

クレーンを使わないと出せない環境だと

都内⇆都内でもその費用だけで弊社の

ピアノドック料金くらいにはなってしまいます。

だったらその分アクションの交換部品などに

充てた方がよほどいいですし

ピアノを出すストレスもありません。

 

コンプリートキラキラ やればできる!

 

 

がしかし作業は時間との勝負なので

いつものように現場は殺伐とした

大変な状況になります。

なるべくキレイに作業しようとしても

最後らへんはリアル汚部屋の如く、、

ほんとすいませんm(_ _)m

 

 

 

今回のお客様は4歳からピアノを始めたそうです。

その後とてもいいピアノの先生に8歳で出会い、

社会人になった現在も当時と同じお教室に通い

ずっとピアノを弾き続けておられます。

 

大のベートーベン好きとのことで

お部屋にはベートーベンの胸像や

肖像画が飾られておりました。

 

 

 

お客様曰く、

ベートーベンは苦労してきたから

曲にその人生が投影されているような気がする。

というような内容のお話をしてくださいました。

 

何を隠そう僕自身

ピアノを弾く最初のきっかけとなったのが

ベートーベン様の月光を聴いたからでした。

だからお客様のその感覚がすごく

わかるような気がしました。

 

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鼻高っ!

 

 

僕もベートーベン様の胸像と

ショパン様の胸像が作業場にあるのですが

僕のベートーベン様の胸像は

お客様のと比べると顔の造りがなんだか

平坦というか少しチープ?

高校生が美術の時間に製作したかんじ。

 

鼻低っ!

 

横からの光なので凹凸があるように見えますが、

正面からだと何だか中途半端で

はっきりしないお顔。

 

 

 

お客様所有の胸像は

フラットな柔らかい光でも

しっかり顔の凹凸がわかる。

これを横からの強い光で照らしたら

さらに相当いいかんじに見えるはず。

 

まずこの大理石チックな台がらしいというか

非常にかっこいい。またその下の円形敷物が

ベートーベン様の時代に即しているようだ。

 

 

 

しかも周りには

きれいなお花が飾られていて

彼に対するリスペクトや

想いを感じる。

 

つまり僕とはエライ違いなのだ。

正直僕のはホコリ被りまくりで

たまにエアで吹く程度。。

ほんとすいませんm(_ _)m

 

 

このベートーベン様の横顔を見ると

かなりのイケメンに彫られていることがわかる。

そこが購入の決め手になったとお客様。

 

胸像はその作者によって仕上がりがかなり異なる。

先日UXの作業をしながらテレビを流していたら

徳川家康の彫像を彫るすごい人が出ていた。

家康は写真がない時代の人なので残された史料や

自分の想像力だけを頼りに製作するしかない、

というようなことをおしゃっていた。

 

ベートーベンのはっきりした写真は

やはり残されていない。

故に肖像画や胸像には家康同様に

かなりの違いや作者の想像や主観が反映される。

ある意味自由だ。

 

我々の仕事と比べるのも無理があるが、

ピアノという楽器はたとえ古くても

形として残っているものがほとんどなので

どんなに大掛かりな修復や修理でも

かなり当時製作された楽器に忠実に再現できる。

ある意味不自由だ。

 

やりがいという意味では

そのテレビに出ていた彫刻師の方というのは

計り知れない次元のものなのだろうなと

考えたりした。

 

 

 

 

がしかし、

我々には"楽譜"という

とてつもない遺産が平等に残されている。

 

ベートーベンが感じ書き残した

それら膨大な世界遺産を

我々は時代を超えて200年前の音を

再現することができる。

 

今更ながらこの奇跡を想う

芸術の秋です。。

 

 

 

 

 

今日も僕のブログを読んでくれてありがとうございましたm(__)m

 

OTO

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