さてU3Gのクリーニングと納品の前に

先に次のメンテナンスが始まっています。

 

今回のオーナー様は陶芸家の方で、

ピアノがあるご自宅にはご自身の陶芸工房や

ギャラリーも併設されております。

 

先生は陶芸お教室の主宰者でもあり

多数の生徒さんがそこで陶芸を学んでます。

先日ピアノのクリーニングへお邪魔した日が

丁度お教室の日で賑やかな雰囲気でした。

 

先生は修行を終えた後に工房を開き

2006年頃にお教室を始められたそうです。

先月4年ぶりとなる陶芸展が開催され

40名以上の生徒さんと先生の作品含め

約1,000点が展示販売されたそうです。

 

 

皆さんとても真剣です。僕は職業柄かこういう雰囲気が大好き。

 

棚に展示してあるたくさんの完成品、

僕には作品にしか見えなかったのですが

生徒さんたちが自分の作品の仕上がりを

イメージするための見本なんだそうです。

 

 

 

 

これら絵の具のようなものが作品に色をつけ

ガラス質の膜をつくる「釉薬(ゆうやく)」

別名「うわぐすり」といわれるやつです。

陶芸品の表面がツルツルしていて

鮮やかな色に着色されている秘密は

この釉薬を塗布しているから。

 

イメージしやすいところで言うと

土器や埴輪(はにわ)の様な

ザラついた茶色い素焼き状態の焼き物に、

この色のついた釉薬をかけ更に高温で焼くと

鮮やかな色がつきツルツルになり

商品や作品になるというわけです。

 

 

様々な色の釉薬をかけた後の状態を表す見本。

 

 

釉薬を塗布した後に

この焼き窯で最終的に1200度以上で焼く炎

 

つまらない素人の感想だけど、電気代が大変そう..

 

 

焼き上がるまでどんな作品になるのか

完全にはわからないという点が

陶芸の一番面白いキモの部分なんでしょうか。

 

素焼き状態の作品たち。

 


 

 

・・・

 

 

今回メンテナンスを行わせていただくピアノは

先生のお義母様が弾いていたピアノで

大切な形見だからということと、

ここでホームコンサートを開催することもあり

その際プロの方に弾いていただくため、

今回思い切ってメンテナンスを

ということになりました(*゚▽゚*)ノ!!

 

ピアノはKAWAI往年の定番機種として名高い

「BLシリーズ」のBL-51です。

少し前にBL-82という

同じシリーズのピアノを紹介しました。

 

このBLはヤマハの定番機種で知られている

初期のUシリーズと同じ位置付けのピアノで

製造されていた時期もかぶっています。

ちょうど先日までメンテナンスしていたU3Gと

ほとんど同じ時期に製造されたものです。

つまり製造後50年前後。

 

 

 

 

 

 

日本のピアノが最も売れた時期は、

1960年代後半から1980年迄の約10年間です。

この僅かな期間に何と我が国では

約400万台!

という途方もない台数のピアノが製造され

そして全部売れました。

言ってみればこの約10年間は我が国において

ピアノ製造の成熟期と言えそうです。

 

とっくの昔にそのピークは過ぎたと言えど、

ピアノは現在も細々と製造され続けていて

その累計台数は約1000万台と言われてます。

しかしその内約8割近くが弾かれることなく

鍵盤蓋が閉じられたままだと言います。。

 

で僕がいつもメンテナンスをさせていただき

ここのブログで紹介しているピアノは、

その日本におけるピアノ製造成熟期に

作られた個体が必然的に多くなります。

今回もこの頃に作られたピアノです。

 

上記の成熟期より前、

つまり50年以上前に製造された古い個体と、

この時期より後、

つまり製造後30〜40年の個体は

比較的メンテナンスする機会が少ない、

ということにもなります。

この時期より古いピアノは

日本では処分されてしまうことが多く、

逆に新しいピアノは

まだ大掛かりなメンテナンスをする必要がない

ということになります。

 

製造後30〜40年は特に大きな問題もなく

弾き続けることができるということは、

ピアノという楽器は皆さんの想像以上に

タフな楽器とうことなのです筋肉

 

 

今回はチューニングピンの錆び除去が大変でしたアセアセ

キラキラ

 

 

毎度のペダルはいつもと同じレベルで相当黒い。。

キラキラ

 

キーピンは重度ではないレベルでよかった。

キラキラ

 

他にも弦のサビ除去やプレッシャーバー研磨、

ピアノ内部のお掃除を一通り行います。

 

 

ところで先生のお宅のいたる所には

焼き物の作品が所狭しと展示されていたり

え、こんな所にこんな重ね方していいの?

というくらい無造作に置かれていたりします。

僕なんかが言うのもおこがましいのですが

そのどれもがすばらしく、

こんなぞんざいな扱いされてていいの?

と思ってしまうレベルなのです。

 

でピアノが置かれている広い部屋にも

先生の作品がたくさん展示されていて、

クリーニング作業でゼェゼェ状態の僕を

癒してくれるというわけです(( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )

 

 

 

花瓶たちも先生の作品。

 

 

で僕が必死に作業をしていると

今度は陶芸教室のおねぇさんたちが

どれどれと様子を見に来てくれました。

 

 

「へぇ〜これがピアノの中なの」(°o°*)!

 

 

 

長い1日も終わり、

僕は先生の作品のいくつかを

購入させていただきました。

 

というのも2月に一度お邪魔した際に

実はとても素敵なブルー系のコーヒーカップを

頂いてしまっていたのだm(_ _)m

 

でこの数ヶ月間このカップにコーヒーを淹れ

文字通り毎日使っていたわけだが、

これがまったくもって飽きない!

飽きないどころか

日に日に愛着が湧いてくるのだから不思議だ。

 

いややっぱいいものはいいんだなと

実感した次第でして、

クリーニングにお邪魔した際にはもう絶対に

他の作品を今度は購入させていただこうと

密かに企んでいたのです。

 

 

その時に頂いたカップ。

 

カップと同じ柄のソーサーが欲しかったけどこのお皿も素敵です

 

このレトロポップな雰囲気の器がかなりお気に入り。

そばうどん白米玄米サラダ、何を入れても合うところがすごい。

 

マリ⭕️ッコより飽きないんじゃなかろうか、と思ったり。

 

一期一会、唯一無二な柄が魅力。

この混じり具合と流れ具合?がたまらん。

 

 

↑表と裏↓

 

カップさん兄弟。

 

 

例えば、

千利休が使っていた茶碗だとか

曜変天目茶碗だとか

国宝や重要文化財の陶芸作品を見ると

そりゃ確かにすごいもんだなと思う。

 

が実際それにコーヒーやお茶や米を入れて

日々自分の身体に流し込んで

生活したいとは、思わない。

それらが自分という人間の生活に

馴染むとは到底思えないからだ。

 

今回先生の作品をいくつか実際に使ってみて

つくづく感じたのは

正にこの日々の生活に絶妙に馴染む、

ということだった。

 

その馴染み方というのが、

既製品として印刷されたような器とは

全く異なるものを感じた。

 

なんとか自分が購入できる金額の器なのに

なんかこう、

すごくいい器を使っている感があって

非常に豊かな気分にしてくれるのだ。

 

その豊かな気分というのが

自分の身体の中や生活の中に

スッと入り込んでくる。

 

 

実用的で鑑賞もできて目の保養にもなる、

まさに二刀流の陶芸作品なのだった。

 

 

 

 

 

 

 

陶芸や作品にご興味ある方は..

 

谷利ゆり子 遊里窯工房

ギャラリー遊里窯

埼玉県春日部市不動院野

ギャラリーでは陶芸作品や手芸品などが展示販売されている。

カフェスペースもある。

 

 

今日も僕のブログを読んでくれてありがとうございましたm(__)m

 

OTO

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