岩の巻き道をあと少し登ると遊歩道終点。観瀑台を兼ねた木道がほんの少しだけあり、そこがこの日のゴールでした。



 落差80mの男滝が真正面にドーン。滝の森の二の谷登山道のラスボスです。狭い落とし口から断崖を浅く幅広く流れ落ちる大滝で、冬は氷瀑になる。2度 ここから雪と氷が剥がれ落ちるのを見ましたが、すごい音でしたね。メキメキともバリバリとも違う剥離音で、落ちた雪や氷は滝の下に溜まります。内側に水は流れていて、淡い青が透けて見えるのがとても綺麗。雪のない季節はヴェールのようです。


 まっすぐ切れ落ちた断崖ではなく、無数の岩が張り出してるのでヴェールの下に分岐瀑があるみたい。薄絹を被った無数の人の頭の集まりにも見えますね。


 浅く広く流れ落ちる滝なので滝つぼはなく、下は2段構えでその下に水の少い川原があります。流れ落ちる水は大半が霧散してしまうので下にはあまり水量がないんすね。ここでまた少しずつ水が寄り集まり、下流で豊かな渓流になります。ここは下りられるようになってて夏はキャンプ客がよく来てますが、滝の近くは浮き石や流木が滑るので要注意。この日は下りませんでした。


 観瀑台の左手からはガチ勢の領域で、ここからは軽装不可になります。ここまでは岩場も浮き石は少なく登りやすいけど、ここからはそうじゃないので登高速度も落ちます。


(* ̄ー ̄)v- 頂上まではあと4kmで、私がいちばん速く登れた時はここまで1時間で来られたとしても 2km先の兜岩まで3時間。そこから頂上まで1時間かかりました。最終水場の孫滝まではそんなに苦ではないけれど、そこから兜岩までが苦行。とにかく「頂上まであと3km」がなかなか切れません。兜岩からはなだらかなので楽ですね。そんなに広くないけど熊笹の高原や樹林帯もあります。

↓この警告板は避難小屋にもあり、まずはそこから登るのになかなか勇気が出ませんでした。その次はここまでで断念した事は数え切れず、踏ん切りがつくまで長かったすね。
 

( * ̄▽ ̄)v- 本当はここからそう遠くない子滝と孫滝にも行きたかったですが、時間と腰の調子を考えてもう少しだけ。警告板を越えてちょっと登ると小さな木梯子がありますが、ついに壊れたか。これがガチ登山道の始まりで、「これくらい行け」って圧を感じます(笑) 遊歩道とのギャップが凄いわー。


 この木梯子の上からイワカガミの群生地。いつもはフライングするけど、今回は登山道の補修で早く来られなかったのが幸いしました。つやつやと光沢のある葉だからイワカガミ。うちの方ではもっと低いところに白花が咲きますが、ピンクの花も紙細工みたいで繊細です。


 群生は登山道からそれた上の方まであり、そこは天然の観瀑台の上。2段まであって斜め横から男滝を見られますが、ちょっと他人様にはお勧めできません。↓ほぼ垂直なこういう箇所を攀じ登るようになっていて、登るのはともかく下りる時が危ないのと、決して滝側にバランスを崩すわけにはいかない所です。


 まずは1段目。男滝の下に平らなテーブル状の岩棚があり、そこから3筋の細い滝が流れ落ちてるのが見えます。その下にも瓦礫の積もった岩棚があり、そこまでは下から行けます。


( * ̄▽ ̄)v- ちょっとスリル満点だけど、男滝は正面より斜め横から見る方が好き。光量が今ひとつで残念だけど、ここは新緑の青葉と共に見ると爽やかです。咲いていればシャクナゲのピンク色もよいアクセントになりますが、花は見えませんでした。


 これが最下段の3筋の滝。この基部までは行けますが、2段目のテーブル状の岩棚までは滝登りの装備とスキルが無いと無理ですね。積雪期間はここが落ちてきた雪と氷で埋まり、雪崩の跡のようになります。


 上段の観瀑台。青葉の向こうに狭い落とし口があるけど見づらいすね。登山道はあの落とし口の上を通るようになっていて、落とし口の手前に小滝と深い淵がある。そこから近いところに子滝があり、30分ほど先に最終水場の孫滝があります。初めて行った時は「まだ滝があるの?」と驚きました。登山道は孫滝から渓流を離れますが、もっともっと上から流れて来ています。辿れるものなら辿ってみたいなぁ。


 いちばん上の観瀑台から見上げるとイワカガミが咲いている。ここは岩棚列になっていて、登っていくと足場が安定します。傾斜は強めだけどホッとするところ。この岩棚列にイワカガミがたくさんあります。


 滝とイワカガミ。満開の時期は過ぎた感じだったけど、昨年は見逃したので嬉しかったすね。よく見ていくとつぼみもあり、これから咲く株も多そうでした。


(;  ̄▽ ̄)v- ここまで来る人はそこそこいるようで踏み跡もありますが、うつむき加減の花を下から撮るのはちと難しい傾斜なので接写でもこのくらい。イワカガミはもっと上にも自生してて、登頂目当てならこの先でもあちこちで見られます。


 今年は花に間に合ってよかった。自生範囲がもっと下まであると分かったのも嬉しい収穫でしたね。