翌日は彩が家の掃除をしている間、佳奈を歯医者に連れて行った。これは甘いもの好きの佳奈を「日頃甘やかしている」自分へのペナルティと彩は言っていて、聞くだけで全身が痒くなるような穿孔器具の音を待合室で漏れ聞いていると、受付に見慣れぬ男がやってきた。


「……あの、困ります」


受付の女の子が、差し出された紙を押し返す。「こういったものは院長に許可を得ないと。今は診察中ですし……」


声をひそめた押し問答の末、男は「後で見て頂いて、よければ貼って下さい」と言って紙を押しつけ出て行った。奥から他の事務員が来て、「なに?」と尋ねる。受付の子は困った顔で呟いた。


「説明会だって。処分場の……」


同時に診察室の扉が開き、仏頂面で不機嫌全開の佳奈が出てきた。これで午前中の診察は終了で、白衣の腕をまくった院長が扉を腕で支えながら智史を見て「よう我慢したが、歯磨きの仕方がなっとらん」と苦言を呈した。


「すみません」


足元からよじ登ってくる佳奈を片手で抱え、智史は事務員からチラシを受け取る院長に頭を下げた。もう八十近い院長はチラシを一瞥し、くしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げ込んだ。


「あちこちに貼りよるで。昨日の今日でようやるわ」


そう言って、はたと気づいた顔になる。


「お宅もそれどころやなかったな、知らなんだか。棚橋の会長、死んだで」

「……え?」


智史は目を見開き、思わず耳を疑った。


「本当ですか」

「棚橋は医療法人もやっとるから、その繋がりから連絡が来た。昨夜やて」


受付のカウンターに腕をつき、院長は「脳梗塞で体はあれやが、頭はしっかりしとったんやけどな。……嘉郎さんの葬式にも来とったんやろ?」

「ええ」

「年寄り連中は“罰が当たった”て言うとるわ。斎場であんな事があったし、田舎やからな」


あの車椅子の老人が亡くなった。医院を出て車に佳奈を乗せ、半ば茫然として義兄の店に向かうと、テラスでテントを干しついでに斎藤と柘植が自分らも椅子を寄せて日光浴していた。


「お、歯医者終わったか? 泣いただろ」

「泣いてない。クリームブリュレ食べる」

「作るけど砂糖抜くぞ、甘いの止めとけ」

「しみない。ブリュレ食べる」

「何と戦ってるんだよ」


かたくなにおやつをねだる佳奈と斎藤が掛け合い漫才のようなやりとりをするのを柘植が笑って眺め、根負けした斎藤が「建兄さん、卵と牛乳と生クリーム使うよ!」と声を張り上げる。こちらも店は休業中で、つい今しがたまで寝ていた様子の義兄が二階から降りてきた。


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夜が更けて、来客や裏方仕事を担ってくれた人々が次々と引き上げていった。


「これからテントを張らなくても、泊まっていけばいいのに」

「平気平気、谷川岳で濡れたから干さないと」


坂下は姉を連れて塩尻まで、双子は奥飛騨まで帰り、群馬の斎藤と柘植は義兄のところに泊まると言う。「今夜は特別待遇で店で寝ろ」と義兄が言い、泊まっていけと言う智史に「夫婦者のいる家で寝られるか」と笑って出て行った。


明日までは自分も彩も勤めは休みで、佳奈も保育園は休ませていた。さすがに家族全員疲れていて、彩が佳奈と風呂に入っている間、智史は床の間に置かれた骨壷の前に座って手を合わせ、包みを開いた。


陶器の蓋を開けると灰白色の頭蓋が目に入った。脆く崩れやすくなった骨をそっと持ち上げ、底の方に小さな守り袋を滑り込ませる。自分が持っていると言った手前こうして隠すのは後ろめたいが、身に着けているよりは彩に気づかれない。再び包みを元に戻し、智史はもう一度手を合わせた。


……奥飛騨の穂高と劔を間近に見て、彩の瓜二つの姉が生きていたらどんな感じだったんだろうと智史は思った。闊達でよく動き、その反面過敏で激しやすい。そんな彩とは対照的なんだろうか、それとも同じ?……


「パパ、お風呂空いたよ!」


座敷を出ると、おざなりに髪を乾かした佳奈が洗面所から飛び出してきた。「佳奈ジュース飲む!」と宣言して台所へ向かう背中を眺め、ドライヤーの音が響く洗面所に入ると、鏡に向かっていた彩が振り向いた。


「また歯が痛くなるからお茶にしろって言ったのに」


その一瞬、智史はその場に立ちすくんだ。ーーー彩はこちらを見ている。それなのに、洗面台の鏡に映る彩はまっすぐ前を向いていた。


「どうしたの?」


キャミソール姿で髪にドライヤーを当てる彩が怪訝そうに呟いた。ある訳がない。そんな事がある訳がない。……だが、鏡の中の彩と確かに目が合った。笑っていた。


「あなた?」


重ねて問いかけられ、智史はようやく我に返った。鏡は彩の横顔を映していて、表情もいつもの妻だった。


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インターバル近所の川。

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水はきれいになってきたけど、これは向こう岸には行けんわ河童ポイント2。


( ̄ー ̄)v- 美濃白川でも水難事故があった。大雨の後で水かさが多い時は深みに行くのはグッと我慢。本流に白波が立ってる時は危ないです。


今日は午前中に河童ポイント2と3をハシゴ。気温は高いですが湿気は少なく、波打ち際に座ってるだけでも快適でした。ポイント2は少し奥に私の背丈くらいの深さの岩溝があるんですが、これは流される(涙)


( ̄∀ ̄;)v-ウォータースライダーにはなるけど、誰か下流でネットでも張ってくれないと河童の川流れ。浅いけど岩にゴンゴンぶち当たるし。


なのでここでは冠水した砂利浜で、きれいな石なぞ集めて積んでました。乾くと何の変哲もない石ですが、濡れるときれい。石英や瑪瑙の原石っぽいのもあります。


( ̄∀ ̄)v- そして広くて緩い流れの河童ポイント3へ移動。今日は小さなお子さんにライフジャケットを着せた家族連れもいて、奥さんとちょっとお喋りしました。


( ̄∀ ̄*) すごく冷たいですよー。

(* ̄∀ ̄)v- 水かさ多いっすからねー。


正直な話、板取川や付知川に比べれば人体に優しい適度な水温。それでも見た目は流れはないですが、広いから巨大な水の塊がゆっくりずっしり体を押してきます。


┏( ̄∀ ̄;)┓おおおおおおおイイ水圧が来るわーーーーーー!!


力を抜くとひたすら下流に押し流される。これはいいカロリー消費ができると思い、流れに逆らって平泳ぎをしてみたら……


┏( ̄∀ ̄;)┓ 前進できない。


なのである程度上流まで歩いて行って、そこから水中滑降。川魚になった気分を堪能いたしました。



( ̄∀ ̄)v- これでまた明日から、汗だくだくでもやっていけそう。河童のお皿に冷たい水を満たして帰りました。


帰宅して、今、冷製パスタを冷やし中です( ̄∀ ̄)v-


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