木道に入ってすぐにライトグリーンのちょっとした深みがあり、いつもここがひとつの指標。この日は午前中は晴れるとの予報でしたが、峡谷なので日射しはまだ今ひとつ。それでもここでその日の淵の青みの見当がつきます。うん新緑だわ。



 久しぶりに来たら木道に新しい建材と入れ替えた箇所が多く、なるほどこれでしばらく通行止めだったのねと納得しました。湿気が多いのと落石で弱った箇所が安全に歩きやすくなってました。管理者さんに敬礼です。


 おお、乙女淵に日が当たって白光してる。ここはキャンプ場からすぐ来られる場所に見どころがあり、これは1つ目の乙女淵。低い斜め滝の脇に箱型の深い淵ができていて、そこは光を当てる前のアレキサンドライトのような暗緑色が綺麗です。


 斜め滝の水量は多めで、まだ明暗のコントラストの暗い方が強いので淵の色はよく見えず。滝の下でなく脇の岩を水が穿って淵になってます。


( * ̄▽ ̄)v- 深さは2m弱かな? 透明度が高く底までクリアに見えます。名の由来は「御留淵」が乙女淵に転化したものかと。尾張藩が地元民に木の伐採を禁じた山を御留山とか御料山と呼びましたが、ここもそうだったんじゃないかな。有名なのは木曽ですが、ここは長野県から見ると裏木曽と呼ばれる地域で、同じように尾張藩の管轄でした。木曽は木曽ヒノキ、こちらは東濃ヒノキの産地です。


 そこからすぐ上にあるのがめんぱ淵(碧翠湖)。こちらは名の由来がよく分かりませんが、深くて広いところが少ないここでは極上の淵。晩秋からは青葉が無くなってしまうので寂しいですが、新緑の季節から美しくなります。


 ふと右手を見て「あら?」。岩壁がコンクリートで補強されており、崩れたのかしら。表面にボルダリングの壁のように石を埋め込んでいて、これは手間がかかったろうなぁ。ちょっと近代的な眺めになってました。


 淵の脇に階段があり、上りながら撮影。水面が見えてくると「おおー」と思います。ここは木道から下りてはいけない箇所だけど、クッソ潜りてぇ。淵から水が溢れ出すところはすぐに浅くなっていて、潜るには最適なんすけどね。ここは人通りも多いので叶いません。


( * ̄▽ ̄)v- 上から見るとエメラルドグリーンの濃淡が綺麗。これから日射しが強くなるともっと鮮烈になります。深いところの黒みから木洩れ日が底光りするようで、水面には鉱物めいた光沢が出る。水中に噴き出す細かい泡もクリアに見えて、まさに「谷間の宝石」という感じ。


 淵には狭くて見えない滝から水が注ぎ込んでいて、白いしぶきが青い淵に変わるのが何だか不思議。ここから上にも広くはなくても綺麗な淵がたくさんあります。


 めんぱ淵の上は段瀑の群れ。渓流の段差だけど、これが続くので谷全体を巨大な段瀑と見る事もできるかも。ラスボスは落差80mの男滝ですが、そこから先にも水がほとばしる子滝や孫滝があり、孫滝が最終水場になります。そこからは体が干上がる登りだけど、二の谷登山道はかなり上まで渓流沿いなので人気がありますね。


 ここも晩秋には青葉がなくなり、積雪期だと水墨画のような眺めになります。今は新緑なのですごく爽やか。滝の森の始まりです。


 ずいぶん前に落石で木道が落ちたところ。ここは岩壁側に寄って進めます。この渓流の水源は小秀山の南南東にある前山(1815m)で、ここは加子母から東白川村に流れる白川の源流域にあたります。


 行く手が眩しい峡谷の通り道。ここは流紋岩が多いところで、小秀山流紋岩と呼ぶみたい。階段の上の青葉がヴェールのようですね。


 木道の左側には尖塔のような岩壁が連なっていて、隙間から冷たい風が出てきます。雪解けの頃は内部がまだ凍ってて、穴の前に残雪が残ってたりします。落石があるのは岩壁の隙間が氷で押し広げられたのが溶けて脆くなるからかな? 大雨の後でもきっとそうで、本来はヘルメットが要るかなぁと思ったり。


 階段の手前に名無しのお気に入りの淵があり、ここも日当たりが良いとすごく綺麗です。今だと早朝と午後13~14時が良いかもしれない。早く日が翳る場所なので、登頂して戻って来る頃には日陰になってますね。登り切らない楽しみ方は男滝までか、もう少しだけ登る孫滝まで行って引き返してくる事です。とくに夏ですね、これからです。