( * ̄▽ ̄)v- 日本刀の魅力を熱く語る英国紳士。ご当地モノというのは地元だと暗黙の了解とか共通の認識で済んでるところがありますが、いざそれを文言にするのは難しいっすね。むしろ他県民とか、いっそ外国人の方が言語化しやすいかも。外国人だとまず座学から入るので解説もしやすいように思います。



 文化を総合してるというのは先に述べた「合戦法の移り変わり」が刀身の形状に表れてるのもあるし、鍔や鞘といった刀装具の発達は美術工芸の進化を表してる。彫金や象嵌にはその時代の美術様式が出ますが、それは時代ごとの流行りや美意識や宗教観に依るんすね。単に技術の発達だけでなくいろんなものが反映されてます。


「日本人の精神」と言われると近年は国粋主義のツールとしてお題目化してる気がして、私は個人的には好きではないすね。国粋主義は明治時代の西欧化に反発する意味で唱えられたもので、既に概念としての懐古主義とか復古主義であるような。美徳として唱えられる事が多いですが、本来は良きモノも悪しきモノも包括すると思います。

( * ̄▽ ̄)v-  むしろ事象としての「精神文化」「精神的文化」の方が腑に落ちる。民族ごとの固有の言語や宗教や芸術から生まれるモノで、それが日本刀に表れてるというのはああそうかなと。なぜ日本刀が寺社に奉納されるモノ=聖性を帯びるモノとされるのかを検索してみたら、弥生時代に伝来した時にその切れ味に抱かれた畏怖が源のよう。人を殺傷し得るその鋭さが「邪を祓う」と捉えられたんすね。

 日本には鬼や妖怪を斬ったと伝わる刀はとても多くて、有名なものはよく寺社に奉納されてます。これは栃木県日光市の二荒山神社に伝わる「祢々切丸」。その昔 祢々(ねね)と呼ばれる妖怪が里民を悩ませていたらひとりでに鞘から抜け出して退治してきたのだとか。オートマチックで甲斐性のある刀ですね。


( ; ̄□ ̄)v- でかッ!! 南北朝時代に作られた太刀で、明らかに人が使う事を想定していない。京都の三条宗近または来国俊の作と言われ、もともと奉納刀だったんすね。斬られた祢々という妖怪には河童説がありますが、こんな大太刀で退治されるほど大きかったんだろうか?
 次は東京国立博物館蔵の童子切安綱。源頼光が大江山の酒呑童子の首を斬ったと言われる太刀ですね。平安時代の作で、伯耆国の刀工・安綱が打ったもの。刀工の名が冠される名刀で、酒呑童子の前は坂上田村麻呂が鈴鹿御前と斬り合ったとか。伊勢神宮に奉納されていて、そこで源頼光が鬼退治のために与えられた事から源氏累代の刀と呼ばれます。豊臣秀吉→徳川家康を経たことでも有名すね。


 幕末の絵師・月岡芳年が描いた酒呑童子。角のある鬼ではないですね。鬼は山賊がそう呼ばれたこともあり、うちの方では御嵩町/瑞浪市の鬼岩公園の「関の太郎」が朝廷から討伐された言い伝えがあります。関の刀鍛冶の徒弟が山賊になったと言われ、住みかの岩屋が鬼岩公園に。首塚が御嵩町にある。やはり御嵩町の願興寺で討伐祈願がされており、けど斬った刀は討伐隊が持ち帰ったのかな(涙)  関市の高賀山も鬼退治で有名ですが奉納刀は無し。下呂市金山町の祖師野八幡宮には大狒々を斬った「祖師野丸」という刀があるみたいです。刀は邪や魔を祓うモノで、特に神社では「穢れを祓う」モノと捉えられますね。


( * ̄▽ ̄)v- 逆に「妖刀伝説」ってものもある。その代名詞が村正で、これは伊勢国桑名の刀工集団の作。とくに戦国時代に切れ味が凄絶無比と名高かったのですが、「徳川家に仇なす不吉な刀」とも呼ばれました。


 何でも徳川家康の祖父が家臣に斬殺され、父も家臣に刀傷をつけられ、嫡子の信康が切腹する際に介錯に使われた刀が村正だったとか。家康自身も村正の槍か短刀を見ようとして指を傷つけた事があり、「村正は忌み刀ゆえ持たぬように」と家臣に命じたなんて言い伝えがあります。


( * ̄▽ ̄)v- ただし妖刀伝説は江戸時代以降に生まれたもので、村正は伊勢の刀工だからすぐ近くの三河武士がよく求めて使ってたんですね。だから徳川家康の親族が害されたのが村正でも不自然ではないそうで、実際には徳川家康は家臣に村正の所持を禁じたりしていない。けれども妖刀伝説が風評被害になり、また太平の世になったから需要が減って、すぐれた業物を輩出した刀工集団は衰退したそう。もともと打刀より短刀や槍の穂先を多く打っており、太刀は奉納刀が多かったそうです。刃文が表裏同じなのが特色で、それを凶相とする見方もあり、「一度持てば人を斬らずにいられなくなる」は風評被害ですよねぇ。村正を題材にした歌舞伎の演目とかも多いです。拵えはシンプルで切れ味が凄く、刀身と切先に引き込まれるような美しさがあるのが「魔力を持つ」と思われたのかも。確かに美しいすよね。


 私が好きな赤江瀑の小説「オイディプスの刃」は唯一の映画化作品ですが、そこでは備中青江派の「青江次吉」が稀代の妖刀とされてました。ギリシャ悲劇のように一族が滅んでいくのですが、日本刀に加えて調香が重要な要素になっていて、ラベンダーの香りにも彩られた妖麗耽美な作品です。


 これは刀剣専門店にある太刀・正恒。古備前という分類の刀で、平安時代後期~鎌倉時代の備前の名工・正恒の作。備前は良質な砂鉄が採れて鍛冶業が盛んだったそう。桑名の村正と同様に同名の刀工が複数いたようですが、正恒の刀は鶴岡八幡宮の奉納刀など各地に伝わります。こちらは伊達家伝来とあり、写しでなく古い本物も売られてるんですね。お高いわぁ・・・・・


( * ̄▽ ̄)v- これは立花道雪が雷を斬ったと言われる「雷切丸」。娘婿の立花宗茂が引き継ぎましたが、戦国BASARAでは巨大チェーンソーの2刀流にされてました(笑)  戦国無双では嫁の立花誾千代の基本装備。どちらも雷属性でしたなぁ。


 織田信長やらかし伝説のひとつ、「へし切り長谷部」。山城国の長谷部国重の作で、信長が狼藉をはたらいた茶坊主を成敗した刀と言われます。逃げて棚の下に隠れた茶坊主を刀身で圧し切ったのが名の由来で、言い伝えによっては棚ごと斬ったとも。あとは安土城築城の時も見物に来た貴婦人に狼藉をはたらいた作業員の首を自らはねたとか。ノブはどこにスイッチがあるか分からない事に定評アリ。


(* ̄ー ̄)v- かと思えば「伝・坂本龍馬を斬った刀」も紹介されました。これはあえて研がずに展示してるのね。研がないとこんなふうになってしまうのか。坂本龍馬と中岡慎太郎を暗殺した犯人には諸説あり、これは京都東山の霊山歴史博物館というところ所蔵ですが、京都見廻組の桂早助って隊士の刀だそう。銘は江戸時代の摂津の刀工・越後守包貞ですが博物館の解説では偽銘なのだとか。坂本龍馬を斬ったとされる刀は他にもあり、襲撃者は複数だったからそれはそうかな? 暗殺犯もどんどん変遷してる感。

(;  ̄▽ ̄)v- エンタメの世界では今や競走馬や軍艦も擬人化されてますが、そら日本刀もそうだわなぁ。アニメだけでなく舞台化もされていて、むしろそっちのファンの方が刀剣には詳しいかも。軍艦では「ドリフターズ」のOAVで海軍少将の山口多聞が登場した時、海外のネット民が「後ろに俺の嫁が写ってるから山口多聞だ」と看破してて草も生えない。空母(艦これでは美少女)・飛龍が出てたから分かったんすね。オタクの知力侮るべからず。


 刀剣乱舞の人気キャラの刀が公開されると、外国人観光客がツアーを組んでやって来てこの状態↓  キャラでなくて良いのですね。これは良い観光資源になってるんだなや。


 刀剣店なんて入った事がないけど関市にも複数あるなー。こちらは銀座の老舗だそうですが、何だかお洒落ですねぇ。もとはどんなふうだったんだろ?


 蔦谷書店まで刀剣を扱ってる(;  ̄O ̄)v- 本以外にいろいろある書店なんてヴィレッジヴァンガードしか知らないわ(涙)  200万円以上の日本刀なんて月にどれくらい売れるのかすら。けど全国の刀工さんにとっては販路が広がって良い事なのでしょうね。


 外国人さんが買ってるんかい。すげーインバウンドとか円安パワー? ぐぬぬ、ふなっしー言うところの「円高梨安」はいつ来るのだらう。ふなっしーも刀剣収集家なんですよね、引き出しの多い梨だなあ。


(* ̄ー ̄)v- ネットでも買えるのか。トゥミさんが「Amazonではないです」とキリッと言ってました。これはどうなんだろう。やはり宝石と同様に現物を見て決めたいかなぁ。買えないけど。


 外国の方にとっては世界遺産みたいなモノなのか。「忍者は悟ると光る」とか、ワケ分かんないレベルでファンの人はけっこう好きです(涙)  伊賀市のコンテストに全く忍んでないアクションを披露しに来る人とか。けど日本刀はあんまり買い叩かれたくないなぁと思った時、この私にもそんな部分があったのかとちと新鮮でした。