( * ̄▽ ̄)v- さあクレイジージャーニーの後編だ。諸星大二郎御大の「マッドメン」の表紙が出たのでたぎりました。《奇界遺産の人》ことフォトグラファーの佐藤健寿さんはこの漫画でグッときたそうです。



 南洋のバヌアツ共和国のタンナ島では、島民が2月15日に米国の星条旗を掲げ軍服を着て、本職並みの行進をするお祭りが開かれる。昔は素肌にUSAとペイントしてやっていたそうですが、近年に米国の人が軍服を送ってくれたそう。銃剣をつけた小銃に見立てた竹筒で行う「捧げ筒」の所作も完璧で、並々ならぬ米軍リスペクトぶりに驚かされました。



 メラネシアと呼ばれるこの地域では近代から「ジョン・フラム運動」というものが興り、それは欧米の宗教学・民俗学では積荷信仰(カーゴ・カルト)と呼ばれるそう。18世紀に西欧の宣教師が来るまで昔ながらの暮らしをしていた人々が、おもむろにキリスト教の価値観を強いられ伝統的な精霊信仰を否定され、さらに英仏の共同統治領になり締めつけられたんですね。

(* ̄ー ̄)v- 抵抗した複数の村の村長が投獄され、そこにジョン・フラムと名乗る精霊が現れる。ジョンは村長たちに「もうすぐアメリカという国がやって来て友になってくれる」と告げたそう。そうしたら本当に米軍が日本軍の南進に備えるために進駐し、英仏に掛け合ってタンナ島の人々が元の伝統的な暮らしが出来るようにはからってくれたそう。なのでタンナ島の人々は精霊のジョン・フラムと米国に敬意を持ち、囚われの村長たちが解放された2月15日に盛大なお祭りを開くそうです。


 前回の放送で分かったのはそこまで。問題は「ジョン・フラムとは何者か?」で、John From America(アメリカから来たジョン)とも、フラムという言葉が箒(ほうき)を意味する事から「英仏を一掃する箒」ではないかと言われたり。前回の放送では第二次大戦時にタンナ島に進駐した米軍の将校じゃないんかなぁ?・・・って印象でした。


(* ̄ー ̄)v- 前回は米軍がいろいろ物資を遺棄していった他の島の「ミリオンダラーポイント」からタンナ島に来て、盛大なお祭りをやる「祭りの村」がメインでした。けれどもタンナ島にはジョン・フラム運動(米国の仲介により島民が固有の文化を守った社会運動)の拠点とされる村が複数あり、どこが発祥地かで裁判沙汰にもなったそう。発祥地は前回の「祭りの村」ではないみたいすね。今回はその村々(ジョン・フラムの足跡)を巡ってました。グリーンポイントというところがジョン・フラムが最初に現れたという場所で、そこが最後になります。


 タンナ島の面積は東京都よりも小さいそうですが、おののいた事にそんな狭い範囲でも地域によって言語が違うそう。撮影隊はまずは各民族の言葉が分かる現地通訳さんに村の言葉をバヌアツ公用語のビスラマ語に訳してもらい、それを日本人通訳さんが訳してくれてました。大変やなぁ・・・

 単語ひとつも地域によって全然違う。これは村々が昔から完全に分離してたんでしょうね。村同士であまり交流してなかったという事か。なのでジョン・フラムの捉え方も似て非なると言うか、そこ独自のものになってました。
 

 まず一行が向かったのは「カヴァの村」。のっけからパンチが強かったので、記事がひとつで終わりません(涙)  カヴァと言うのはバヌアツだけでなくフィジー等でも愛飲される伝統の飲み物で、それを出すバーもある。何故かお店の壁にウィル・スミスが描かれており、ここに来てカヴァを飲んだんですって。原料はコショウ科のヤンゴーナという木の幹や根ですが、製法にパンチが効いてました。


  ヤンゴーナの木の束は三千年前から最もポピュラーなお土産だそうで、それを長老に贈って取材許可を得る一行。村にはナカマルと呼ばれる広場があり、そこは村民の集会場かつ社交場。男性優位の文化のようで、カヴァを作る時は女性は居てはいけないんですって。


 まず皆でヤンゴーナの樹皮を剥ぐ。そして若者が枝や根っこに噛みついて咀嚼。噛むのは若者の役目で、偉い人やお年寄りはやらないそうです。口の中で丹念に咀嚼したものを吐き出すと、それに水を加えてしぼって濾す。く・・・口噛み酒だ。ゴールデンカムイでは米でやってた。古代の日本でも神事で巫女さんが作っていた事があるそうですが・・・・・・・・・・・・・:


 口噛み酒は南米ではインカ帝国がトウモロコシでチチャという口噛み酒を作っており、今は口噛みでは作らないそう。米以外だとデンプンを含む穀物をよく噛んで唾液と混ざったものをいちど煮沸してから発酵させたり、そのまま発酵させるとアルコールが発生してお酒になるそうです。原始的な醸造法で、起源はこの辺りみたい。東京農業大が女子学生に米を噛ませて再現した事があり、アルコール度数9のお酒が出来たそう。けっこう酔えますな。アマゾンでは清らかな処女が作るそうで、探検家の高野秀行氏が飲みに行ってました。(アフリカでヤバげな食べ物しか食べられなくて、それ以来ヤバそうだから食べるになった人。猫のおやつのチュールから人間の胎盤まで飛ばしてました)

(* ̄ー ̄)v- メラネシアのカヴァはアルコールは生成されないとの事ですが、別の意味で酔う。まだ成分に分からない事が多いようですが、麻酔のような酩酊するような、いわゆるトリップする作用があるそうです。長老さんバッキバキじゃないっすか?・・・・・・・


 米国でも口噛みじゃないカヴァを出すバーがあるのだそう。北欧の人が毎日キシリトールとかヨーグルトを摂ってるような感覚で、ここでは男衆が毎日広場に集まってカヴァを飲む。殿方限定なのかはちょっと調べきれませんでしたが、妊婦には良くないのと、あと性別問わず肝機能に良くない影響が出るみたい。地元の方はもう免疫が出来てるんでしょうね。

 飲めと言われて断るわけにはいかない局面。でも佐藤健寿さんは「あ、僕はこの後撮影があるんで」とクレバーに辞退してました。ウィル・スミスはカヴァの後にビールを1本飲んでヘロヘロになったそう。ビールは口直しですね分かります。

 ここは番組ディレクターが果敢に挑む。ぐはぁ!となってましたがその後どうだったのかな?


 体に効いたみたい。そもそも味を楽しむ飲み物ではなく、まったりと精神が解放されるのが醍醐味なんですって。ちなみに日本では口噛み以前にカヴァは禁止されとります。成分にまだ謎の部分があるみたいすね。


 長老ガンギマリ。いやたぶん普通なんだろうけど、なぜ鎌を持っておられるの(涙)  共同統治時代の英仏は島民にこのカヴァを禁じたそうで、あの2国ならそれはそうかなと。


 でもそれはタンナ島、とくにこの村では耐え難い弾圧だったのだそうです。それ以外にもいろいろ制限されたと思いますが、長老が声を大にして熱く語るのはそこでした。


 とりあえずこの「カヴァの村」では最初の「祭りの村」と同じ内容。解放にカヴァが深く関わってるところだけが違いましたね。