慣れているはずの隊員も「ここでひとりぼっちになりたくない」と呟いた。私の好きな洞窟ホラー映画「ディセント」なら岩陰からヌメヌメした地底人が襲ってきますが、その岩さえ見えない(涙)  洞窟ホラー映画に向かない巨大すぎる洞窟です。


(  ̄▽ ̄)v- 中国の創世神話の神は人頭蛇身の兄妹神で、苗族も崇めていたのだそう。とてつもなく巨大で天を支える柱を立てたり、土をこねて人間を作ったと言われます。大蛇=龍と捉えるのは中国も同じで、日本よりも唯一無二のもの、グレート・オールド・ワンな存在。こんな場所があれば、そりゃあ龍の棲みかだと考えますよね。


 隊員たちはまだ限られた照明器具で手探りで奥に進みますが、素敵な機器を持参。3Dレーザー測量機というもので、これで四方八方にレーザーを照射すると内部構造がくっきり把握できるんですって。それをCGで立体的に再現すると、いかにも巨大な龍が3頭もご家族で棲んでたようなデカい空間が現れました。何だこりゃ、真ん中に半端ない巨大ホールがあるぞ。そこに日本最大の秋芳洞がスッポリ入るとかどんだけーーーーー?


(* ̄ー ̄)v- 真っ白な方解石。洞窟はお約束の石灰岩質の鍾乳洞で、人が入ってない鍾乳洞の鍾乳石は純白なのだそう。これは表面にキラキラした粒がびっしりついていて、天の川みたいに光ってました。


( ̄▽ ̄;)v- 日本の地質学者さんが「洞窟の成り立ちを知るには天井がどうなってるか見ないと分からない」と言われましたが、ライトを向けても天井なんか見えない。どのくらい高いのかと風船で測ってましたが、185mいきました。絶句しかないっす。

 見えなきゃ調査にならんという事で、上海万博を手がけた照明のスペシャリストに協力を依頼。お金かかってるわーーーーーな量の照明やケーブルを大陸スケールで運び込んで、世界初、「龍の巣」の内部を照らし出しました!


( ; ゚ Д ゚ )v- 人間がゴミのようだーーー!!


 男塾の万人橋並みの作業を最小限、19人の作業員さんが成し遂げた。なんだこの白い巨大空間は・・・


 高さ37mの石筍。上からしたたる水に含まれた炭酸カルシウムが凝固してできるもので、1年で0.1cm伸びるとの事なので単純計算で37万年モノ。スケールが違いすぎです。


\(  ̄▽ ̄*) ああ、天井にこの洞窟が生まれた頃、ミャオティンの赤ちゃん時代が記録されてますね。

 ようやく照らし出された天井を見て、地質学者さんが洞窟の成り立ちを語られました。天井には無数の穴があり、太古の昔にこの上にあった巨大な湖の水が石灰岩を穿って地下に流れ込み、四方八方から地下の岩を穿ってこの巨大地下空間を作ったとの事でした。


 その成り立ちは普通に鍾乳洞ができる仕組みなのですが、規模がデカすぎ。学者さんは「龍が穴を空けたという言い伝えは理にかないます」と語っておられました。日本でも激しい水の流れ、川や滝は龍と同一視される。ここでは夫婦と子供の3頭の龍がうねりながら岩を穿ち、ここに棲みかを造ったんですね。


(  ̄▽ ̄)v- もう人間には宇宙と深海しか探険する場所がないかと思っていましたが、まだまだ地上にもあるんですね。なんと巨大で荘厳な場所なのかと感嘆しました。

 で、これで探索終了かと思ったら、30年ぶりにまた来たフランス人の洞窟探検家のプタジさんが「まだ先がある」と闇の向こうを指差しました。まだ行ってない奥があり、そこから風が吹いてきてました(うそ・・・)

「龍の巣を照らし出す事など出来ない」という苗族の言葉が再び浮上する。いい締めでした(笑)