シメに入るため、結構まっとうな文献を読んだはずなんですが、ここに還るわたくし。


( ̄∀ ̄)v- ハイ「怪奇秘宝」より、元・新耳袋殴り込み。現「スーサイド・ララバイ きめてやる今夜」の心霊&ショックドキュメンタリー。仕込み無しでガチの心霊現象を撮りにいくオカルト自虐系ジャッカスでございます。


平均年齢30代半ば。女の子が混ざると互いにいいカッコしたがるから女人禁制。幽霊が出ると言われる場所でけっこう不謹慎な煽り行為を行いますが、身を守る御守りは所持厳禁。心霊現象否定派ではなく、本気で怖がりながら行くところに好感が持てます。「いい年をした大人が幽霊を見たくて馬鹿をやる」のを愛でるシリーズで、私が一番シャレにならないと思ったのは軍服を着て夜の八甲田山潜入。いろんな意味で危険すぎました。


これは「怪奇秘宝/戦慄編」に載っていた潜入ルポで、文章担当のギンティ小林氏の知人の知人のバイト先に10年以上ほったらかしにされていたビデオテープに映っていた「廃病院トイレの白い顔」を検証しに行ったもの。


( ̄∀ ̄)v- 若者たちが夜の廃病院に肝試しに行って撮ってしまい、気味が悪いからバイト先のロッカーにテープを放置していた。再生してみるとこれはなかなか。トイレの個室の床スレスレの位置から、やけにペラペラとした白い顔がすうっと覗いた。ビデオテープの時代でも、これは合成できるかな……


撮影されたのは1995年で、病院が閉鎖され廃墟になったのは1989年。件の映像が白い顔だったから、我が身で検証するにもわざわざ顔を白塗りにするギンちゃんがご健在で何よりです。


件の映像が撮れた時にはトイレの個室に肝試しの若者が2人入っていましたが、それで狭い個室で床スレスレの高さで顔を出すのは無理と判明。人形を使っても無理だったそうです。


( ̄∀ ̄)v- お約束のように、検証中に回しっぱなしにしていた定点カメラは充電たっぷりなのに電源が切れていた。それも勝手に赤外線モードが普通モードに切り替わってから電源が切れていた。英国御用達のゴーストハンターにお越し願いたいですね。


4枚目は怪奇秘宝の「山の怪談編」の番外に載っていた、今はもう取り壊されて存在しないお屋敷廃墟の潜入ルポ。一夜のうちに家人が消えたとの事で、家の中はマリー・セレスト号状態で通帳などもそのまんま。何とも言えないことに家のあちこちに男物・女物の喪服が脱ぎ捨ててあり、単なる夜逃げとは思えない因縁話つき。取材中に奇妙な声が階上から響き、後日、ボタンを押すと喋る「トイストーリー」のバズの人形だと分かりましたが、その時は階上に誰もいなかった。じわじわ来ますよね、こういうのは。


( ̄ー ̄)v- 最近のバラエティ化した心霊特番では出来ない試み方のDVD&書籍化ドキュメンタリー。彼らは最初から「出る」と噂される場所に「本物の幽霊を撮りに行く」というスタンスなので誤認もあり得そうですが、かなり説得力のある成果をあげてくる。仮にフェイク・ドキュメンタリーであったとしても、昭和オカルト世代の「怖いけど自分も行ってみたい」って憧れに応えている。幽霊が出ると言われる場所は、「恐ろしくも懐かしい場所」なんすね。


ベクトルはたぶん同じだけど、浮わついたところが全くなく、人間拒みすぎのレベルで心霊ドキュメンタリー道を模索する漢(おとこ)あり。5枚目は“心霊探偵”こと小池壮彦氏で、「祟りの正体~四谷怪談はなぜ祟るのか」は名著。この方は幽霊が出ると言われる場所の事件事故の記録をガーッと調べ、その土地の歴史から考察してくるつはものです。


( ̄ー ̄)v- 心霊現象肯定派ですが、本物を知りたいからデマや誤認は徹底的に排除するというタイプの肯定派。と学会の人らも基本的にはそれですな。


( ̄○ ̄) 一般に心霊スポットと呼ばれる場所は、どうでもいい場所にすぎないことが多いものだが、わかりやすい形で時空にゆがみが生じている場所もあるので、その“全体”を問題にしないと意味がない。


フアッ?-v( ̄○ ̄;)


( ̄○ ̄) この場合の時空というのは、時間=歴史、空間=地形と考えてもらえばよい。日頃歩きなれた散歩道は、見た目には二次元の地面にすぎないが、実は隠された別次元の時空がある。


(ノ△T;)v- ……また難解なこと書いてはる………………


小池氏は心霊ドキュメンタリーの制作にも参加されますが、「どこに行けば出てくるとか、どこそこで見た人がいるとかいう発想は、いったん捨てたほうがいい」と語ってます。かつて出ると言われた場所を撮影しに行った時、スタッフさんに「幽霊が出るまで待ちませんか」と言われ、言い終わらないうちに「ふざけるな」と言い放ったとか。すげーなこの人。


( ̄○ ̄) スタッフが本当に幽霊が出ると思っていることを戒めたのではない。幽霊が出なければ絵にならないと思っていることに対して「ふざけるな」と言ったのだ。彼は幽霊と現場の空間を分けて考えている。なんの前触れもなく空間そのものが変異することを知らないのである。この段階でこのロケは失敗すると確信した。

( ̄○ ̄) 現場の地形そのものが、歴史の暗部に由来している。これが私の言う“時空のゆがみ”という言葉の意味である。単に心霊スポットと称する場所を撮りに来たのではない。また幽霊が出たら撮りましょうという話でもない。幽霊として語られる忌まわしい記憶、その目に見えない圧力と温度差を撮りに来たという意識がなければ、心霊ドキュメンタリーなどできるわけがない。幽霊の存在は、その時空のなかにすでに入っている。


すげぇ………(ノ△T;)v-


( ̄○ ̄) 私たちが撮影に出かけた場所(駐車場)は、その昔にお堂だった時代に、長いこと死体置き場として使われていた。近くに川が流れていて、入水自殺があったり、水葬がおこなわれたりもした。それらの死体を一時的に安置するお堂だったのだ。

( ̄○ ̄) いまでは周辺の宅地化が進み、川は埋め立てられている。だが、お堂があった場所だけは、地形をいじっていないので、宅地化されたエリアより地面が低くなっている。奇妙に長っぽい二等辺三角形の敷地が駐車場になっている。そこには家が建たないのである。人が住むような一角ではないことを、まだ知っている人が生存している。


あっ……-v( ̄○ ̄;)


これが、土地の歴史からそこに出ると言われる幽霊の素性を探る小池節。もう昔の事件事故を知る近所の人がいなくなっても出る幽霊はいるが、おおむね事件事故の記憶と共に忘れ去られるもののよう。


( ̄ー ̄)v- 幽霊も風化するんすね。スーサイド・ララバイの病院廃墟の幽霊も、撮ったビデオテープが再び日の目を見なければ、そのまま誰にも知られなかったろう。


小池氏はセルDVDのジャンルとしての心霊ドキュメンタリーについて語っていて、上の引用は「幽霊の存在がなければ心霊ドキュメンタリーとは成立し得ないものなのだろうか」がテーマなのですが、これは「幽霊の存在が証明されなければ幽霊は存在し得ないものなのだろうか」にも通じるやうな。



「存在し得る」と囁くのよ、私のゴーストが。( ̄∀ ̄;)v-