ウホッ、これはいい反応。自分の手が操るレバーとそれに連動した背後のアームにズレを生じさせると、被験者からは「後ろに何かいる」という声が聞かれました。


(; ゜д ゜) お願いです、実験を止めてください!


中にはこんなに怯える人もいた。ホラー映画ではこうした「実験モノ」はけっこうあり、悪名高いアイヒマン実験(ミルグラムの服従実験:人はある条件が揃えば他人に苦痛を与えることに抵抗がなくなる)も映画になってますが、これも恐怖への感受性が高い人にはあまり長時間やれないんじゃ。


これは自分もちょっと被験者になってみたい。この実験で証明されたのは、知識としては既に当たり前になっている「人は視覚・触覚・嗅覚などのあらゆる知覚器官から伝わる情報を脳で統合して、目の前にあるものを認識する」と同時に、「人はそうした脳の統合機能から自己を認識する」なんすね。


( ̄ー ̄)v- 外界を認識すること=自己を認識すること。この実験を行ったオラフ・ブランク先生は神経科医なんで、そちらの切り口から「ある条件下では脳の情報統合機能がうまく働かなくなり、その結果 自己の認識に揺らぎが生じて、得体の知れない他者の気配(幽霊)を感じるのではないか」と語っておられました。でも被験者数は12人か、少なくとも100人単位で欲しいかな。


理屈では分かるけど、知識と体験は違う。道理と感情が一致しないのと同じことで、実感として体験してみたい。これもまた恐怖の魅力すね。そこに恐怖があるから惹かれるという志向(嗜好)はいつから生存本能から「別にやらんでも生きとるのに」にシフトしたんだろう?……………


( ̄∀ ̄)v- 生き神ラインホルト・メスナーが超高山で感じた他者の気配は、この実験で説明がつくんですね。酸素ボンベを使ってても高所順化しなきゃならない場所に無酸素で登って、まず脳に酸素が回らない。加えて吹雪とか疲労とかで視界は限定的になる。そこで背中に当たるザックの感触などが、「0.5秒遅れる背後のアーム」と同じ作用になっていたかも。


メスナー級でなくても、日本の田舎の山でもそうした話はある。古くから山で仕事をしてきたマタギや林業従事者はよく縁起を担ぎ、いつもと違う気配にとても敏感。それは宗教的な理由ばかりとは限らず、肌感覚から危険回避のために生まれた知恵なんすね。


( ̄∀ ̄)v- 極限状態から「いるはずのない連れを作り出す」というサードマン現象もそれかも。怖いものも励ましてくれるものもいるそうですが、それを分けるのは当人の資質かもですね。



この実験でブランク先生は、幽霊とは「脳が知覚器官からの情報をうまく統合できなかったから感じた自分自身」だと語っていました。まずは神経医学からの考察ですが、これはこれで腑に落ちますね。